『教授のパン屋さん』/近江泉美 〇

教授のパン屋さん ベーカリーエウレカの謎解きレシピ (ポプラ文庫 日本文学 516) [ 近江 泉美 ] - 楽天ブックス 神出鬼没の移動パン屋さん、「エウレカ」。英国風紳士の店主で工学部教授・亘理が、パンの食べ歩きが趣味の警察官・あさひを相手に、工学知識と抜群の推察力を駆使して、日常の謎を解いていく。『教授のパン屋さん』というタイトル、パンになぞらえて(?)の謎解き、パン好きの私にとって読み始める前から期待大でしたね~。近江泉美さん、初読み作家さんです。 ただ・・・なんか、ちょっと違うな~って感じですね。謎とパンが今ひとつうまくまとまってない。作中であさひも「そこでパンの話をしなければ、最高にカッコいいのに」と、言ってますし。パンと工学は人を笑顔にする・・という亘理教授の論理、合ってるけど・・・、合ってるけどなんか違うんだよなぁ。 あさひに掛けられた容疑の釈明、派手な身なりの青年の思惑、厄介な老人が起こした傷害事件の謎、少年の家に出没する「おばけ」の正体、これらの謎に対して、亘理教授は「三つの質問」をし、そこから謎の答えを導き出す。工学の知識と卓越した情報整理によって、するすると解き明かされる解答は、「なるほど!」って思えるけど、パンとは繋がりがあまりなくて、ただ亘理教授のこだわりとして、「このパンと同じですよ」てことになるんだけど、どうにもちょっと・・・。 まあ、物語の主人公は、新人警察官であるあさひで、どのエピソードも彼の「仕事への情熱と心構えと成長」をそっと支え前に進むきっかけにな…

続きを読む

『あの子とQ』/万城目学 〇

あの子とQ (新潮文庫) [ 万城目 学 ] - 楽天ブックス たまたまですが、先月から万城目学さん続きです。軽快に進む物語、〈血を吸わない吸血鬼〉という設定など、大変楽しく読めました。『あの子とQ』っていうタイトルも、シンプルでよいですねぇ。ラストも爽やかに終わって、それはそれでよかったけど、続きというかその後が知りたいです!! 人間社会に適応化した吸血鬼たち。彼らははもう、〈人間の血を吸わない〉し〈太陽の光にも適応して普通に生活できる〉し、〈ニンニクもOK 〉。17歳になったら〈脱・吸血鬼化〉という儀式を受け、人血を吸っても体の変化は起こらず「不味い」としか感じなくなる。その17歳の儀式前に「一度でも吸血すれば〈血の渇き〉に耐えられず、必ず吸血行動をしてしまうから、それがないかを監視する」役目を持つ「Q」という存在が、それぞれのもとに現れるという。そして、日本の平凡な吸血鬼女子高生・弓子のもとにもQが出現し、儀式までずっと彼女を監視するという。 Qがトゲトゲの球体でしかもなんだかぬめってるというのが、けっこう不気味な見た目。確かに、あまりお近づきになりたくない気もする・・・。そんなQに監視されながら、親友のヨッちゃんの恋の発展に協力する過程のダブルデートで、バスの落石事故にあった弓子は、瀕死の男子を救うために、吸血行為をするのだが・・・。病院で目が覚めた弓子は、すでに「儀式」を終えたと告げられる。自分は吸血したはずなのに、それをQが見ていたはずなのに儀式を受けて脱・吸血鬼化が成立したのは…

続きを読む

『おしごとそうだんセンター』/ヨシタケシンスケ ◎(絵本)

おしごとそうだんセンター [ ヨシタケ シンスケ ] - 楽天ブックス 宇宙船の墜落によって、記憶喪失になってしまった宇宙人くん(性別は不明ですが、便宜上宇宙人くんと呼ぶことにしました)。おまわりさんに、「地球でしごとをみつけて生活してみなさい」と『おしごとそうだんセンター』を紹介されて、訪れる。「しごと」とは何か?すらわからない宇宙人くんに、センターのおねえさんは様々な〈めずらしいおしごと〉を紹介する。ヨシタケシンスケさんの、ほのぼのとした画調とひねりの利いたアイデアとウィット溢れる説明、どのお仕事も素敵だなって思いました。 44個もの〈めずらしいおしごと〉。どれも色々な意味で魅力的で、〈おしごとをする人〉の方も、〈そのおしごとのサービスを受ける人〉の方も、経験したくなりますねぇ。特に、「かしきり島」は、提供する側でやってみたいですね。お客さんが、貸し切りの島でリラックスしてバカンスを楽しめるようにアテンドするって、色々大変そうだけどやりがいはきっとすごくありそうですもん。まあ・・・、難しい要求をされそうな気もするけど(笑)。「たべられツアー」も、ぜひやってみたです(笑)。利用者はアクリル?玉の中にいるのに、操縦してるスタッフさんは多分ガードがほとんどない状態で、笑顔で操縦。これは、襲われない何らかのコツがあるのか、猛獣よりすごく強いのか? そしてもちろん、「長い棚書店」は、利用する方の側で(笑)。ただ書棚が長くて移動してる書店、ってだけじゃなくて、本のセレクトが変わるってのがいいですね。…

続きを読む

『クロエとオオエ』/有川ひろ ◎

クロエとオオエ [ 有川 ひろ ] - 楽天ブックス 横浜の老舗宝石商〈大江〉の御曹司・大江頼任と、〈大江〉と取引のある彫金工房の職人・黒江彩。2人の丁々発止のやり取りがテンポよくて、そして出来上がってくる予想外のジュエリーの描写にドキドキして、とても楽しく読みました!有川ひろさん、ド直球の有川節、ありがとうございます!!『クロエとオオエ』、めくるめく宝飾のお仕事小説、世界が広がりました!! 私、あまり宝飾には興味なくて。アクセサリーは着けることもありますが、いわゆる価値のある宝石とかほとんど持ってませんし、頼任のいう価値基準もよくわかりません。一応、物語中で説明はされてましたが、まあそんなもんかなぁぐらいで。なので、作中に出てくる専門用語は、ほぼチンプンカンプン。まあそれでも、物語の流れに沿って想像したり、ちょっと調べてみたりするぐらいでも、ちゃんと物語を楽しめました! 何がよかったって、各章の最後に出てきたアクセサリーのイラストがあり、そこにQRコードがついてるんですよ。それを読み取ると、moie.xx(モイメメ)というジュエリーブランドで実際に作ったジュエリーのインスタグラムにつながるんですよ。そのジュエリーが一番きれいに見えるように、様々な角度から撮った画像を見て、「なるほどな~綺麗だな~斬新だな~カッコいいな~」とウキウキしてしまうのでした。宝飾に興味がなくても、綺麗なものって見てて心が豊かになりますもんね。 それにね、クロエの言う「自分のつけたいものをつける」って、大切だなって…

続きを読む

『フォワード ~未来を視る6つのSF~』/ブレイク・クラウチ編 △

フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) [ ブレイク・クラウチ ] - 楽天ブックス 私ってば、どうして超絶文系人間のくせに、書評に乗せられてSFを選んじゃうんでしょうねぇ(笑)。本作『フォワード ~未来を視る6つのSF~』も、読み始めて〈SFのサイエンスがわからん・・・〉とアタマを抱える羽目に。編者のブレイク・クラウチさん、本当にごめんなさい・・・。 「夏の霜」/ブレイク・クラウチゲームのNPCであったAIが自己進化を続け、現実世界へ。「エマージェンシー・スキン」/N・K・ジェミシン滅亡したはずの地球を訪れた来訪者が知る、真実とは。「方舟」/ベロニカ・ロス地球への惑星衝突を目前に、植物の遺伝子を保存する計画に参加する学者たち。「目的地に到着しました」/エイモア・トールズデザイナーズベイビーを選ぼうという男が見た、可能性の未来。「最後の会話」/ポール・トレンブレイ記憶を失った「あなた」が、隔離収容されていた部屋を出ると。「乱数ジェネレーター」/アンディ・ウィアーカジノの乱数表に量子コンピューターが使われる時代に、詐欺師は。 「サイエンスがわからなくても、〈物語〉として読むのだ!」と自分を鼓舞しつつ、何とか理解しようと頑張ったのですが・・・。・・・うん、難しいよ(笑)。「乱数ジェネレーター」の量子コンピューターの話なんか、ホントに全然わからん。だけど、ラストにカジノのオーナーと詐欺を働いたインド系女性の鬼気迫るやり取りは、面白かったです。最終的に、本当にギリギリのところで彼女が…

続きを読む

『60歳から女性はもっとやりたい放題』/和田秀樹 〇

60歳から女性はもっとやりたい放題 (扶桑社新書) [ 和田 秀樹 ] - 楽天ブックス 該当年齢はもうちょっと先なんですが、『60歳から女性はもっとやりたい放題』というタイトルがすごくいいな!と思えたので、読むことにしました。和田秀樹さんは、3年ほど前に『つかず離れず婚 ~定年世代の新しい生き方~』を読んで、「そ~だよな~、定年夫が一日中家にいるとか、息が詰まるよな~」「つかず離れずのコツはこういうことか~」と、感心しました。そして本作では〈やりたい放題〉ですよ(笑)。さてさて、どんな〈やりたい放題〉が出てくるのでしょうか。 まず、更年期以降の女性の体内では、「男性ホルモン」の絶対量が増えて、より意欲的・活動的になっていくのだそうです。新しい友人を作ったり、新しいことに挑戦してみたりすることを、後押ししてくれるという。なるほどね。そして、新しいことに挑戦すること、好奇心を持って行動することで、前頭葉が活性化し、それが老化を食い止めることが出来ると。 先日、『終活シェアハウス』を読んだ時に、「元気で好奇心旺盛な老女になろう!」と思ったのですが、つまり私の目標はそれに向けて活動することで、老化を食い止めることが出来るってことです!やったね!! しがらみや〈かくあるべし思考〉にとらわれず、介護をプロの手に委ねることも問題なし、痩せてる方がいいなんてことはなく小太りの方が長生きしやすい、高血糖や高コレステロールを恐れ過ぎず、薬の多量摂取で転倒のリスクがあるから減らす相談をした方がいい・・・などな…

続きを読む

『六月のぶりぶりぎっちょう』/万城目学 ◎

六月のぶりぶりぎっちょう [ 万城目 学 ] - 楽天ブックス 前作『八月の御所グラウンド』にを読んだときに、「何故〈その場所〉なのか、何故〈彼ら〉なのか」は、次作でわかるのか・・・?」という疑問があったのですが、本作『六月のぶりぶりぎっちょう』では、まだそれは明かされていません。十二月、八月、三月、六月と来たので、十二か月全部のエピソードがあり、その中でだんだん謎が明かされていき、更には全体をまとめ上げた最終章があったらいいなと期待してますよ!万城目学さん!! 「三月の局騒ぎ」、面白かった~。この章は、かつて(二十年前)「にょご(女御)」だった主人公・若菜の回想。と言っても平安時代の話ではなく現代の話で、とある京都の女子寮マンションでは、寮生のことを何故か「にょご」と呼んでいたのである。そこで若菜が短期間だけ同室者として一緒に過ごした、十四回生以上であるらしきにょご・〈キヨ〉の思い出を語っているのだけど・・・。キヨは、「私ほど、その篇首を知られているものは他に存在しない」と言い、鴨川デルタの突端で「春はあけぼのッ」と叫び、「猫の耳の中」というサイトにエッセイを書いていた。それらを総合すると、彼女は「清少納言」だったのでは?と、のちにエッセイストとなった若菜は想像している。かつて誰とも知れない読み手から酷評された若菜が書いた文章を、キヨは「悪い出来じゃなかった」と言い、姿を消す。若菜は、キヨからの言葉を胸に、文章を書く人になったんだろうな。素敵な話だと思います。若菜の語る、女子寮生活の色々も、…

続きを読む

『終活シェアハウス』/御木本あかり 〇

終活シェアハウス [ 御木本 あかり ] - 楽天ブックス ずっと友達でい続けた同級生4人で、ルームシェア暮らしをする・・・って言うと、そういえば先月読んだ『たぶん私たち一生最強』と大まかな設定は同じ?なんて思ったんだけど、こちらはまた違った展開。地元名士の娘・歌子の持ち家である、マンション6階のペントハウスに集うは、小学校の自然観察グループ結成から60年の友情を築き上げている、初老女性4人組。『終活シェアハウス』というタイトルだけど、68歳なら人生100年時代だもの、まだまだですよ!御木本あかりさんが描く、仲良し老女4人+秘書(雑用係)大学生・翔太のドタバタ日常。面白かったです。 料理研究家の歌子、元教師で職探し中の厚子、医者と離婚してただいま婚活中の瑞恵、元セレブで認知症予備軍の恒子、そして雑用係として出勤してくる大学生の翔太(とその彼女・美果)。老齢の職探しの困難さ、恋愛願望と詐欺騒ぎ、忍び寄る認知症の恐怖、家族のための借金、翔太の就職活動。色々なことが起こるんだけど、割と軽めに物事は進行していく。というのも、彼女たちは根本的に「お金持ち」なのよねぇ・・・。生活に困るどころか、普段からさりげなく贅沢をしていて、「根がお嬢様なんだよなぁ・・」と、ちょっと妬みが生まれちゃったり。 歌子の息子の借金の肩代わりで、ペントハウスに住めなくなりそうになっても、歌子以外の3人が1000万を持ち寄ったり、歌子が所持していた絵画が不動産会社の会長の欲しいものだったという偶然で取り戻せてしまうのは、少々出…

続きを読む

水無月・Rの《2025年 大阪・関西万博》備忘録 ③万博が終わって思うこと編

注:当記事は、読書と全く関係のない記録です。 《2025年 大阪・関西万博》が、半年にわたる祝祭の日々を経て、10/13日に閉幕しました。ネットニュースやYouTubeで、「万博ロス」なる症状になっている方も多いと紹介され、「そこまで喪失感があるわけじゃないけど、私もちょっと寂しいな」と思ってしまったのは、事実だったりします。 当初は「まあ、一回ぐらい行っておくか」という気持ちだったのに、一度入場してみれば、見るもの体験するもの楽しくて仕方なくて、もっと万博を味わいたい!という気持ちが盛り上がり、結局3回も行ってしまいました。でも、「通期パスを買って、もっと頻繁に行く気概を持てばよかったな・・・」という後悔も、ちょっとあります。まあ、それもまた、めぐり合わせだったのかな、とも思います。足りないぐらいが、ちょうどいいのかも。負け惜しみかしら(笑)。 全く知らなかった国のこと、何となく程度しか知らなかった国、それらの文化・産業・自然・技術・歴史・そして未来への取り組みなど、色々なことを知ったり体験したり、とても有意義な経験が出来ました。海外の方から、日本語で説明を聞いたり教えて頂いたりするのもとても興味深かったですし、各パビリオンの建物や衣装も特徴的で素敵でした。海外パビリオンだけでなく、日本館をはじめとした、日本の技術や取り組みを紹介するパビリオンでも、学びがいっぱいありました。 万博公式サイトだけでなく、YouTubeなどのSNSで情報を集めて計画を立てるのも楽しかったですね。色々、前情報…

続きを読む

水無月・Rの《2025年 大阪・関西万博》備忘録 ②当日記録編

注:当記事は、読書と全く関係のない記録です。 今回は、3回行った《2025年 大阪・関西万博》での行動記録&ひと言感想などを。 1回目・ソロ万博(6月初旬・平日)7:04 夢洲駅到着、9:00入場、21:00ごろ退場。入場パビリオン 「いのちの未来」  :自分の記憶をアンドロイドに移して、ずっと存在し続けたいかどうか…私は、死んだら消えたいかな。 「英国」  :建物内は英国の技術芸術、外のイングリッシュガーデンが素敵だった。 「ポーランド」  :理想を選んで「想像の花束」作成。ショパンのピアノ演奏、心地よかった。 「オマーン」  :水は大切。 「WASSE ベーカリーエキスポジャパン」  :世界一のベーカリーを決める大会。大会はちょっと見ただけ、会場内に出店してるパンに関する企業の展示が、興味深かった。 「ロボット&モビリティステーション」  :ミャクミャクペイントのロボットが可愛い。 「フランス」  :素晴らしい展示がたくさん。中庭の、樹齢千年のオリーブの木に感嘆。 「UAE(アラブ首長国連邦)」  :スタッフさんがとてもフレンドリー。ナツメヤシの巨大柱が印象的。いい匂いがした。 「TECHWORLD」  :大人の都合で「国」として出展できない、半導体生産世界一の地域。半導体は、世界を救うよ。 「ドイツ」  :環境保全や住人の健全な生活のための仕組みを紹介。サーキュラーちゃん可愛い。 「大阪ヘルスケア・リボーン体験・人生ゲーム」  :現在の身体データをもとに、25年後の自分に出会う。 元気な…

続きを読む