『ニャンニャンにゃんそろじー』/有川浩 他 (アンソロジー) ◎

有川浩さん目当てで、図書館で予約したこのアンソロジー。他の作品も、良かったわ~。あえて言えば猫派、という程度の私も、がっつり心を持って行かれましたねぇ。猫飼うのもいいかなぁ、なんて思ったり(笑)。『ニャンニャンにゃんそろじー』、猫好きさんにはたまらないであろう、素敵なアンソロジーでした♪ 「猫の島」/有川浩『アンマーとぼくら』番外編。撮影のため、猫の島を訪れた親子が出会ったのは。「猫の島の郵便屋さん」/ねこまきじーちゃんとばーちゃんと猫、の島の郵便屋さんが配達で島を巡ると。「ファントム・ペインのしっぽ」/蛭田亜紗子色々なものを失った私は、猫と暮らし始めた。とある人と再会し、猫と人の暖かさに気付く。「ネコ・ラ・イフ」/北道正幸普通のおじさんの日常に、溢れかえる猫(笑)。「黒猫」/小松エメル元新選組隊士が老年になり、かつての日々を思い出す。「鈴を鳴らして」/益田ミリ増田さんが、外を歩くときに見かける猫。猫が好きだけど、飼わない理由。「まりも日記」/真梨幸子運命の猫と出会った作家は・・・。猫を飼うのって、すごく大変なのね・・・。「ヅカねこ」/ちっぴ宝塚歌劇団好きの猫たちの、「ヅカ語り」。「諧和会議」/町田康人が滅びたその後に。言葉を持つようになった動物たちと、猫。 「猫の島」を読んで、真っ先に思ったのは「お父さん、相変わらずだな…」でした。やっぱり私、このお父さんダメだわ~。晴子さんの包容力、素晴らしい・・・偉い、私には無理。そして、父より大人なようでいて、やっぱり子供なわだかまりもある「ぼく(リョ…

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『魔王城でおやすみ(2)』/熊之股鍵次 ◎(コミックス)

先日読んだ第1巻が、可愛くて楽しくてニヤニヤしちゃったので、『魔王城でおやすみ(2)』もそれはもう、期待大で読ませていただきました。・・・熊之股鍵次さん、素晴らしすぎる。期待の数段上を行く、姫の〈安眠を求める徘徊〉、今作も大いに楽しませていただきましたとも!! 前作のレビューでも書きましたけど、ホントすごいわ(笑)。人間界からさらわれてきたスヤリス姫が、魔王城でひたすら快眠を求める・・・だけなのに、なんでこんなにバリエーション豊かなの(笑)。どのネタも、〈姫の快眠〉という本質から外れることなく、それでいて魔族たちを恐怖と混乱の極みに叩き落すという、安定感。眠りに落ちる姫の安らかな寝顔に癒される魔族たち、可愛すぎる。そして、姫はホントに帰る気ないですよね~。魔導書が「ボクを使って魔王城を脱出・・・」と言いかけると、「いいから」を何度も重ねるぐらい、魔王城ライフを満喫してらっしゃいますよ。 本作での注目は「人間と仲良くなりたいハーピィちゃん」ですね。ハーピィの方は姫に興味津々「恋バナ」やら「パジャマパーティー」やらやりたくて仕方ないのに、姫に全く関心を示されないという(笑)。でも、彼女の背中にあるふわふわの羽には心動かされた姫、言葉巧みに彼女の羽を布団代わりに。でも、必要なのは羽だけ(笑)。背を向けさせられ、「体だけを求められました」と魔王様に報告するハーピィに、フリーズする魔王様(笑)。うん、そのセリフは間違ってない、間違ってないけど・・・誤解は生むよね。 今まで出てきた魔族は、性別があるもの…

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『魔王城でおやすみ(1)』/熊之股鍵次 ◎(コミックス)

水無月・R家の次男は、アニメ・マンガ好きの高校生です。そんな彼が先日、お年玉を握りしめて大型書店へ行き、大量のコミックスを購入してきて、リビングに広げて悦に入っている姿を見てしまった母(笑)。彼の戦利品の中で、面白そうだなぁと気になったのが、この〈魔王城でおやすみ〉シリーズの9巻。次男が貸してくれるというので、さっそく『魔王城でおやすみ(1)』から、読み始めることにしました。いや…これ、すごい漫画ですよ。ぶはぶは笑いながら読めました、熊之股鍵次さん!!すごい才能ですな! 人間界の統一王国の姫・スヤリス。魔王に攫われて、囚われの身に。普通の姫なら、勇者による救出を願って泣き暮らすはずなんだけど、この姫「寝る以外・・・することがない」「なのに、睡眠の質が悪い」と、快眠グッズや快眠シチュエーションを求めて、城内を徘徊。可愛らしい姫なんだけど、ちょっと無表情。口数も多くないので、姫の無謀を止められない心優しき魔族たち(笑)は、彼女の真意が分からず右往左往。姫、人間界に帰る気、全くないよね(笑)。とにかく、良質な睡眠を求めて様々なチャレンジを続ける姫も、それに振り回される魔族たちも、みんな可愛いです(笑)。 我が家の隠れヒットメーカー、次男おススメのこの作品、ほっこり可愛くて楽しいです。魔族たちがトホホすぎて、愛おしい。そして、質の高い睡眠を求めて、グッズを自作したり宝物庫に侵入したりする姫の発想と行動力の高さが、ホントに素晴らしすぎます。まくら、シーツ、睡眠薬替わりの毒薬、棺桶ベッド、宝具を改造したエ…

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『ことことこーこ』/阿川佐和子 〇

離婚して実家に出戻って来たフードコーディネーターの香子と、認知症の症状が出始めた母・琴子。2人の名前を合わせたのが、この作品のタイトル『ことことこーこ』なんだけど、香子のフードコーディネーターという職業柄、料理を煮込んでいる音のようにも感じられます。こっくりとよく味が染みた、美味しいお料理のイメージが浮かびますねぇ。阿川佐和子さん、お腹が空きました~♪ 香子が認知症の母と言った言わないのキツイ言い争いをするとか、母の介護を一人でやろうとシャカリキになるとか、弟からのメールを無視するとか、そのせいで母を老人ホームに入れる話が勢いで進んじゃったりとか、そういう展開には、実を言うと正直「え~・・・」と思わざるを得なかったです。もっといろいろ慎重にやって、頼れるところには遠慮なく頼らないとダメなんじゃない?って。 とはいえ、今までなんだかんだ言って気持ちの上では頼りにしていた母が、だんだん緩んでくる(壊れるという言い方はちょっと違うかな)のが、しんしんとツライのも分からなくはないです。私自身は介護を担ったことはないのですが、結婚で家を離れた後に実家の両親が祖父母を介護しているのを垣間見てたので、介護の難しさは何となく知ってます。まだまだ琴子さんの症状は序の口なんだとは思うんですけどね。それでも、親が認知症になるのって、辛いと思います。救いは、人が変わったように暴れたり当たり散らしたりするような変わり方じゃなかったことかな。 最初にちょっと書きましたが、香子はちょっと抱え込みすぎ。介護認定を受ける、介…

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『転生!太宰治 ~転生して、すみません~』/佐藤友哉 〇

なんで佐藤友哉さんが、太宰の転生モノを書いたんだろう・・・?という疑問から、この『転生!太宰治 ~転生して、すみません~』を読み始めたんですが、そんな疑問はどうでもいいぐらい、面白かったですね。これは・・・分類的にはライトノベルなのかしら。表紙のイラストは明らかに、ラノベです。でもちゃんと、太宰の顔なんだよねぇ(笑)。ちなみに読んでみた結果、私の疑問の方は全然解決しませんでした(笑)。 玉川上水で心中死したはずの太宰治が、何故か三鷹の街をさまよっているところから、物語は始まります。とあるコンビニにずぶ濡れのまま迷い込んだ太宰は、現在が2017年だと新聞の日付から気づき、本能的に眠気に襲われ、その場に倒れる。 まあ、ここまではいいんですけどね、何故か次に彼が目覚めると、とある成金の家で、そこの家の下の娘・乃々夏(女子高生)が目の前に。コンビニで倒れた時に隣にいた女(成金の家の長女)が、彼をこの家に連れてきたという。いやいやいや、普通コンビニで隣で立ち読みしてた男が倒れたら、自分の家には連れてこないよね?店員に報告して、救急車呼んでもらうよね?ここの家の長女、おとなしそうに見えてどっかズレてるようですよ・・・。ズレついでに、太宰にそそのかされて心中未遂起こしちゃうし。収監された病院から脱出した太宰は乃々夏に再会し、姉からの金だという50万も受け取り、更に乃々夏からカプセルホテルを紹介される。カプセルホテル暮らしをしながら、彼の平成生活が始まるんだけど・・・、順応速いな、太宰!(笑)。 平成の世に…

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『ガーデン』/千早茜 〇

本作『ガーデン』装丁の、密集する植物の森。噎せ返るような濃密さが感じられ、ドロドロ系の物語かと思ってました(笑)。どっちかというと、主人公・羽野自身はそういったドロドロを、ガラス一枚隔てた場所から温度のない目線で眺めているような男でした。千早茜さんって、時々こういう体温の低そうな男性を描きますねぇ。 密集する植物の森、と書きましたが、これは自然の森じゃないですね。たぶん。この絵はきっと植物園だなぁと思いました。野放図に生えているようで、たぶん自然界は、こんなに多種がバランスよく見栄えよく生えてたりはしないんじゃないかしら。私がよく知ってる植物園をもっと鬱蒼とさせたら、こんな感じ。幼少時、こういう庭しか自由にできる戸外がなかったとしたら、羽野の植物にしか執着できないという嗜好もなんとなくわかるような気がしますね。 幼少時、父の仕事の都合で海外で生活していた羽野は「帰国子女」だが、そのくくりをあまり好いてはいない。彼がいたのは、高級住宅街しか治安の良い場所がなく、学校も送り迎えされ、外出もできず、自由に過ごせる戸外は自宅の庭だけ、というような国。帰国して大人になりライフスタイル誌の編集者となっても、心を寄せるのは植物だけ。仕事は出来るし、深く踏み込むことはなくてもそれなりに人間関係もこなせる彼は、淡々と生活している。 う~ん、なんだかなぁ。たぶんモテると思います、羽野。物腰柔らかなイケメンのイメージ。最初は、好きになっちゃうかもしれないな、私。だけど、どうにも現実感がなくて、物足りないなぁと感じ…

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『AX』/伊坂幸太郎 ◎

伊坂幸太郎さんの〈殺し屋シリーズ〉第3弾。本作『AX』の主人公は、一流の殺し屋だが、殺し屋稼業をを引退したくて仕方ない男・兜(かぶと)。兜は妻の不機嫌をいたく恐れており、高校生の息子にまで心配され呆れられるレベルの恐妻家なのだが・・・。 殺伐とした殺し屋稼業、量産される死体と度重なる死闘。・・・だけど、読了後のこの胸の暖かさは何だろう。伊坂さんの〈殺し屋シリーズ〉って、〈殺し屋〉という酸鼻極まりない職業の者たちを描いているのに、その殺し屋たちが妙に人間味あふれて魅力的で、本作の兜も、妻に気を使って気を使ってなんでそこまで?って思っちゃうくらいだし、息子に対する愛情とぎごちなさ(でもちゃんと息子には通じてる)なんか、ホント普通のお父さんなんですよねぇ。息子が生まれたころからずっと、手術(仲介者の医者による隠語で、殺しの依頼とその処理)を止めたいと言い続けて、「退院(殺し屋稼業を引退)するにはお金が必要です」と言われ、仕方なく殺しを引き受ける日々。 彼が引き受けた手術、彼をつけ狙う同業者との死闘、妻の不機嫌を回避するための情けない彼の言動、家族のために仕事(裏稼業の方)と日常の板挟み、様々な出来事が積み重なるなかで、より「引退」を意識する兜だが、今までに多くの人の人生を断ち切って来たことの罪悪感もちゃんと覚えている。自分一人が安穏と引退することは出来ないかもしれない、という覚悟もある。だけど、家族を思えば引退したし、しかし家族に危害が加わることは避けたし・・・・と苦渋の中で、彼が迎えた結末。そして…

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