『エクサスケールの少女』/さかき漣 〇
あら~?なんか、思ってたのと違うなぁ・・・。人間とAIの未来を描く、という書評に惹かれて読み始めたんですけど、なんか、凄くもったいない感じが・・・。日本からシンギュラリティを起こそうとする最高の頭脳を持つ青年と彼が手にした最高の環境、不可思議な体質の少女、日本古代神話とのかかわり、AIやAGI(汎用人工知能)の発展、人間の欲とそのコントロールなど、一つ一つの題材がいいのに、上手くこなれてないと感じてしまいました。残念。テーマ的には、好きなんですけどねぇ・・・。奥付見たら、著者のさかき漣さん、本作『エクサスケールの少女』が初の単著だそうです。なるほど・・・。
SFのような、リアルにファンタジーぶっ込んだような、激甚災害とテロとシンギュラリティをごた混ぜでご都合に集約した・・・って感じがしてしまったんですよねぇ。う~ん、ちょっと辛口すぎるかな。前半、主人公・青磁の過酷な境遇と、彼が自らの能力を磨いて(引き取ってくれた相手が良かったのもあるけど)そこから脱してAIの研究所の筆頭研究員になるまでを描いた辺りまでは、冗長ながら堅実な展開でした。ただねぇ、激甚災害のあと青磁の恋人・千歳の万能とその理由が明かされ、青磁の妹・萌黄を巡る陰謀が急展開、怒り狂った青磁がとった禁断の技術利用、そして彼の狂気を収めた「悪意の価値システム」の終了、エピローグ。この後半部分が、エピローグへ向けてのご都合主義感満載で、かつ端折りすぎ。もったいない。
千歳に関する説明がもうちょっと深かった方がよかったし、千歳と萌黄になんらか…