『魔王城でおやすみ(4)』/熊之股鍵次 ◎コミックス

人間界から魔王に攫われてきたスヤリス姫。勇者による救出を涙ながらに待って・・・ません、全然。相変わらず、帰る気ナッシングだよね~、姫。熊之股鍵さんが描く〈魔王城でおやすみ〉シリーズ第4弾『魔王城でおやすみ(4)』、魔王城からさらに「旧魔王城」に攫われたって、姫は快眠を求めることは怠りません(笑)。 魔族も実は一枚岩ではなく、現魔王が魔王を継いだ時に反乱分子として出て行ったハデスという魔族がいて、旧魔王城に本拠を構えていた・・・なんていうと、熾烈な権力争いが勃発してるみたいですが、まあこの物語世界のユルさから想像がつく通り、何というかほのぼのしたじゃれ合いを見てるようで、楽しかったですよ(笑)。 しかしハデス君、ニブイにも視界が狭いにも、ほどがあるだろう・・・。姫に着ている服を奪われても、会議中にウロウロされても、全然気が付かないし、姫の凶悪さ(笑)をスルーして「震える姫」と呼ぶなんて・・・。嗚呼、可愛いいおバカさんの香りがする・・・。かってる地獄の番犬?のケル・ベロ・スゥ達も、おバカな子犬たちで可愛い・・・。 姫の徘徊の行動範囲が魔王城だけじゃなくなって、よりアクティブになったよねぇ・・・。しかも、ハデス陣営にいる睡魔が「快眠の師匠」となって、眠りの質を上げることに全力で協力しちゃってるし、もうホントみんな姫のこと大好きだな!!旧魔王城に姫がさらわれて魔王城は静かになり、みんな寂しくなっちゃって「勇者が姫を奪い返しに来たら」と不安になって、経験値上げの魔術修練大会を早めちゃうとか 、「姫を返…

続きを読む

『異人館画廊 ~当世風婚活のすすめ~』/谷瑞恵 〇

イギリスへ留学し、スキップで図像学を修めた此花千景は、祖母の営む「異人館画廊」で暮らしている。千景と画廊に集うキューブのメンバーが関わる、図像が使われているという絵画にまつわる事件を描く〈異人館画廊〉シリーズ。本作『異人館画廊 ~当世風婚活のすすめ~』では、千景の幼少時の誘拐事件の関係者も登場するのですが・・・。谷瑞恵さん、千景の誘拐事件の真相はどうなってるんでしょうか?!気になってたまりません! 隠れキリシタンを守って来たという〈禁断の絵〉を継承してきた成瀬家から、盗まれたその絵を探してほしいという依頼を受けた透磨と千景。その絵を持ち出したのではないかと思われる成瀬家の次期当主候補者が死体で見つかり、直前に異人館画廊に立ち寄って、ホガースの6枚つづりの版画と婚活イベントのパンフレットを置いて行ったことが判明。その婚活パーティーに潜入したり、婚活パーティーの主催者の私的パーティーに潜入したりした結果、成瀬家に出入りしていた女性が監禁されていたのを救出。しかし、当の女性が千景を襲い、取り押さえられた後も千景をなじる。 成瀬家にあったのは、幻の禁断の絵ではない。禁断の図像のモチーフを分けて描いた6枚つづりの版画。その6つのモチーフにもう一つの図像を足して、どんな影響のある絵画が完成するかを、千景は理解してしまった。 婚活パーティーで千景から指名されなかった京一のガックリぶり、透磨の密かな苛立ちが可笑しかったですね~。千景が選んだのは、社会学の調査で婚活パーティーに潜り込んでいた童顔の青年だったの…

続きを読む

『我らがパラダイス』/林真理子 〇

超高級介護付きマンションで働く3人の中年女性。彼女たちにも、介護が必要な親がいるのだけど、自分の職場の老人たちとのあまりの格差に、悩みを通り越して憤りを感じている。そんな彼女たちの、ハチャメチャな行動を記したさ林真理子さんの『我らがパラダイス』。中年女性たちとは同年代だし、うちの親はまだ介護は必要ないけど、いずれは・・・と思うんですが、共感できない部分が多々ありまして、その点は今一つでした・・・。最後の方は、爽快で面白かったんですが・・・。 ボケた父の介護を放棄した兄と兄嫁に代わって、急に父を引き取ることになった細川邦子。広尾の超高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」の受付係。だんだん弱ってきた母との二人暮らしに離婚出戻り弟がニートで乱入、生活のためにセブンスター・タウンに看護師として再就職した、田代朝子。一緒に暮らしていた両親のうち父が死去し、母とアパートに越すことになった、ダイニングのウェイトレス・丹羽さつき。この3人の介護事情を中心に、セブンスター・タウンの居住者やスタッフも絡めた群像劇。 3人の介護状況が大変なのは、わかる。セブンスター・タウンの居住者たちとの格差も、ひどい話だよなぁ、とは思う。ただねぇ・・・、長期不在の居住者の部屋で休憩するぐらいはまあアリとして(ホントはいけないけど、理性ある大人だから面倒は起こさないでしょ?)、そこへボケてしまった父親を住まわせようというのはちょっと・・・。案の定、本革ソファーにおしっこしちゃって、その後の片付けのバタバタで、この不正は施設…

続きを読む

『八咫烏シリーズ外伝 烏百花 ~蛍の章~』/阿部智里 ◎

阿倍智里さんの〈八咫烏世界シリーズ〉の、各長編の合間にあった、愛の物語6編。それぞれにとっての愛が、美しく力強く、描かれてていました。素晴らしかったです。『八咫烏シリーズ外伝 烏百花 ~蛍の章~』ってことは、他にも短編集が出るという認識でよろしいでしょうか。是非に、こういう本編とは別のサイドから描かれる物語も読みたいので、期待して待ってます! 「しのぶひと」真赭の薄に押し寄せる縁談、最有力候補は雪哉だったが。「すみのさくら」浜木綿が南家を放逐されていた、子供の頃の話。「まつばちりて」落女(女性殿上人)・松韻の生涯にあった愛。「ふゆきにおもう」雪哉の実母・冬木と育ての母・梓、そして雪哉の子供時代。「ゆきやのせみ」誤認逮捕された若宮と澄尾を救った雪哉が、そのあと・・・。「わらうひと」真赭の薄と澄尾の間にあるもの。 私が『烏に単は似合わない』の時から大好きだった、真赭の薄。賢く美しく、度胸もあり、何より金烏夫妻を大事に思う気持ちの強さをもった、素晴らしい女性ですよね。その彼女の心にあるのは、金烏夫妻に仕え、山内の平和と安泰を願うという、確固とした高い志。それでも、澄尾の気持ちは嬉しく思うし、真剣に返答するその誠実さに、本当に心打たれましたねぇ。いつか、彼女と澄尾が、すべてから解き放たれて、幸せな日々が送れるようになったらいいと、願ってやみません。 愛の物語6つ、と書きましたが、「ゆきやのせみ」が〈愛〉をテーマにしているのかというと、どうなんでしょうか(笑)。主従愛ってことでいいですかな(笑)。喰い…

続きを読む