『女たち三百人の裏切りの書』/古川日出男 〇
世に流布している『源氏物語』の「宇治十帖」は贋物であるとして、没して百余年の紫式部の亡霊が立ち現れる。「ほんものを語ろうぞ、物語として書にし、世に広めよ」と宣言して・・・。古川日出男さんが描き始めた〈本物の「宇治十帖」〉は、亡霊の語る物語の域を超え、夢と現と虚と実を増幅させながら、時代をの趨勢を飲み込んでいく。『女たち三百人の裏切りの書』というタイトルに違わず、裏切る女たちの物語であり、読者である私も何度も裏切られる、魅力的な物語でした。
とは言えですね~、非常に難しかったですわ~。最初の方は絡まない別個の物語がいくつもあり、たぶん本筋であろう「語る紫式部の怨霊」の物語も謀りと偽りを幾つも内包し、その果てに増えていく・・・。更に、文体や使われる言葉が難しい(笑)。そして、自分の事情ですが図書館の延長できない予約本を先に読まなきゃだったり、外出のお供にしにくい大きさ重さゆえになかなか読み進められず。たぶん1か月以上かかって読み終えたという状況。・・・時々、筋を見失ってたため、物語の流れを理解するのに時間がかかってしまいました。でも、それでも「読むのや~めた」とか「時間があるときにまとめて読もう」とかにはならなかったんですよ。「紫式部の怨霊が語る」という設定の妙であり、古川さんの筆力の凄まじさですなぁ。
きちんと筋を追って行こうとすると、複雑すぎて私には文章化できません!こういう時は、とっとと白旗を上げてしまうに限りますな(笑)。文章は独特だし、使われる言葉も難解なものがたくさんあり、展開も複雑・…