『ヴィオレッタの尖骨』/宮木あや子 ◎

余すところなく、宮木あや子さんのR-18系というか、ダークサイド系ですねぇ。でも、歪んでるって、言ってしまっていいの?何をもって、歪んでいる、いないを判断する?小市民を自認する私だけど、私の身の回りにある〈普通〉が、本当に〈普通〉?そんな疑いにじわじわと侵食される感覚と、甘く爛れた香りが充満してくる、『ヴィオレッタの尖骨』。読んでいる最中にふと我に返っては深呼吸をしなくてはならないほど、息を潜めていました。 「ヴィオレッタの尖骨」美術コースと音楽コースのある高校で出会った、少年少女たち。彼を傷つけたものに、少女たちは復讐を遂げる。「針とトルソー」母に束縛される娘と母に執着される娘、琵琶湖で棄てて来たもの。「星の王様」戸籍もない少女たちが、色街で生き続け、訪れた転機に取った別々の行動。「紫陽花坂」紫陽花坂を上って行った先にある女子高での、美しく残酷で痛ましい少女時代。 はぁ・・・。4つの物語は、それぞれ全く違う設定にありながら、〈少女〉という存在の生き辛さや残酷さ、矛盾する不安定さや儚さが、目いっぱい詰まっていて・・・なんというか、本当に消耗しました。少女たちが、衝動のままに暴力行為を行うシーンが結構あり、その辺もだいぶ疲弊しました。衝動的な暴力でありつつも、彼女たちの芯は冷え切っていて、そこが本当に怖ろしかったです。 まだ、自分の力だけでは生きていけない年頃の閉塞感。抜け出したくてあがく彼女たちは、狭い世界の中でお互いに執着し、窺い、傷つけ合い、愛を求めあう。 自分の少女時代はこんなに苛烈…

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『東京自叙伝』/奥泉光 〇

時に多数の鼠や地下生物や鳥などに拡散し、時に一人の人間に凝縮しながら、長きにわたって「東京」という土地に意識があり続ける存在の〈私〉。その私が語りだす、5人の人間に凝縮していた時代の物語、『東京自叙伝』。いやぁ、読むのに時間がかかってしまって、ちょっと疲れました、奥泉光さん。 この作品、感想難しいです…。面白かった、と一言では言えない。幕末あたりから東日本大震災まで、人間の意識に凝縮しながらも、鼠の習性から地震や火災に狂乱する〈私〉が、様々な事件に関わり合い、ひそかに時代を動かすこともあったり…。という物語なんだけど、人間に意識が凝縮している時ですら、話題があちこちに飛び、細かく分かれる段落でその人間の人となりや来歴を語るという落ち着きのない展開が、ちょっと読みづらかったです。確かに少々厚みのある本ではありましたが、読み終えるのに3週間以上かかったのには、結構参りました。 幕末の辻斬り男・柿崎幸雄、日露戦争時代の軍部参謀・榊春彦、戦後混迷期の裏社会の男・曽根大吾、高度成長期に暗躍した友成光宏、バブル崩壊前後の徒花・戸部みどり、そして原発労働者・郷原聖士、この五人それぞれが「東京の地霊」として東京や東京に関する場所で活動し、暗躍し、掻き乱し、東京という土地の栄枯盛衰を担っている・・という話、で合ってるのかな~、違うのかな~(笑)。 途中から、様々な事件に関連する人物が「私」(当の5人以外でも)であると主張し始めたのには、ちょっと食傷してしまいましたが、後半ぐらいからは「ハイハイ、三島由紀夫もア…

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『魔王城でおやすみ(6)』/熊之股鍵次 ◎ コミックス

熊之股鍵次さんが描く〈魔王城でおやすみ〉シリーズの6冊目、『魔王城でおやすみ(6)』。魔族たちみんなが姫を大好き過ぎて、ホントに可愛い・・・。この連中、ホントに魔族?ホントに悪役?どうなの(笑)?そして、そんな魔族たちに対して、全力で傍若無人モードを発揮する姫も素敵です♪ 人間界でしか手に入らない「すやすや☆低周波くん」が欲しいと、魔王城脱走を図る姫。魔王城幹部たちの追撃を全て見事にかわし切るアクティブさ、本気モード全開である(笑)。魔王様作成「おふとんトラップ」で捕獲された姫は、「一人で行くのがだめなら、一緒に行こう」と魔族たちを人間界に誘う。・・・いやいやいや、なんかチガウだろ!それ!!でも、「君たちやさしくていいひとだし」の姫の言葉に流されて(笑)、魔王・あくましゅうどうし・レッド・シベリアンの3人(魔界トップ3)が、姫のお供をして人間界へ。まあ・・・いろいろあるわな(笑)。そして、姫と魔王城幹部たちの絆?愛?がまた深まるのも、きちんと一緒に魔王城に帰っちゃうのも、読んでて落ち着く~(^^;)。 食堂でプリンを作ったり、鳥ガール(ハーピィちゃん)に誘われてパジャマパーティーに参加したり、何故か対勇者戦の新エリアを発案したり、ハロウィンで人間の仮装をした魔族たちの区別がつかなくなってく覚えるためのメモ作ったり、淫魔のさっきゅん(新キャラ女子・姫にそっくり)を影武者として育てたり(←違う)、何故か魔王城・突発腕相撲大会に参戦したり、アイスゴーレムの入眠用酸素カプセルを奪いに行ったり・・・。姫…

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