『ヴィオレッタの尖骨』/宮木あや子 ◎
余すところなく、宮木あや子さんのR-18系というか、ダークサイド系ですねぇ。でも、歪んでるって、言ってしまっていいの?何をもって、歪んでいる、いないを判断する?小市民を自認する私だけど、私の身の回りにある〈普通〉が、本当に〈普通〉?そんな疑いにじわじわと侵食される感覚と、甘く爛れた香りが充満してくる、『ヴィオレッタの尖骨』。読んでいる最中にふと我に返っては深呼吸をしなくてはならないほど、息を潜めていました。
「ヴィオレッタの尖骨」美術コースと音楽コースのある高校で出会った、少年少女たち。彼を傷つけたものに、少女たちは復讐を遂げる。「針とトルソー」母に束縛される娘と母に執着される娘、琵琶湖で棄てて来たもの。「星の王様」戸籍もない少女たちが、色街で生き続け、訪れた転機に取った別々の行動。「紫陽花坂」紫陽花坂を上って行った先にある女子高での、美しく残酷で痛ましい少女時代。
はぁ・・・。4つの物語は、それぞれ全く違う設定にありながら、〈少女〉という存在の生き辛さや残酷さ、矛盾する不安定さや儚さが、目いっぱい詰まっていて・・・なんというか、本当に消耗しました。少女たちが、衝動のままに暴力行為を行うシーンが結構あり、その辺もだいぶ疲弊しました。衝動的な暴力でありつつも、彼女たちの芯は冷え切っていて、そこが本当に怖ろしかったです。
まだ、自分の力だけでは生きていけない年頃の閉塞感。抜け出したくてあがく彼女たちは、狭い世界の中でお互いに執着し、窺い、傷つけ合い、愛を求めあう。
自分の少女時代はこんなに苛烈…