『ずうのめ人形』/澤村伊智 ◎
2年半前、『ぼぎわんが、来る』で私を恐怖のどん底にたたき落としてくれた澤村伊智さん。本作『ずうのめ人形』も、最初はグロくはあるものの普通のホラーに見えていたのが、途中からとんでもない展開に。「ホラー読むなら、夏だよな」と思って意気揚々と図書館から借りて来たんですが、背筋凍りましたわ~。
オカルト雑誌編集部でバイトをしている青年・藤間は、原稿が間に合わなかったライターの様子を見に行かされ、そのライターの変死体を見付けてしまう。後日、一緒に様子を見に行った岩間が現場から盗み出した原稿のコピーを、彼から渡され読んでしまい、その物語に出てくる〈ずうのめ人形〉に追われることになる。死んでしまったライターの代役・野崎とその婚約者・比嘉真琴が編集部に来た時、岩間から「今、怪異に襲われている」と助けを呼ぶ電話が入るが、彼を救出することは出来ず…。
4日かけてだんだん近づいてくる、顔を赤い糸でぐるぐる巻きにされた日本人形。その起源を描いた作中作『ずうのめ人形の思い出』。その原稿を読んだ人は、ずうのめ人形が見えるようになる。
人形がだんだん近づいてくるのも怖いし、4日後の死にざまの無惨さはかなりグロテスク。それが怖い・・・ところまでは、普通のホラーどまりだったのですが。原稿の中に「比嘉美晴(真琴の姉で能力者)」が出てきた辺りから、作中作がリアルさを帯びてくる。しかも、作り話のはずの「ずうのめ人形」が呪いを発動するようになったことが明らかになる。
いやあ、怖かったです。人形が怖いという単純なものから、「ずうのめ…