『わざと忌み家を建てて棲む』/三津田信三 ◎
本作『わざと忌み家を建てて棲む』は、『どこの家にも怖いものはいる』の続編で、作家・三津田信三氏と怪異譚愛好家の編集者・三間坂氏がとある怪異を読み調べるうちに、身の回りに怖ろしい怪異が迫ってくる・・・という展開は同様ですが、まあ、相変わらず油断が出来ません。三津田信三さんの当時(?)の著作の状況や、『どこの~』の反響についてなどがさりげなく挟まれるが故に、微妙に現実的な感じがして、前作の時も「いやいや、これは実話じゃないし、怖がってる自分がアホらしいし!」と言いつつも、だいぶビビりながら読んでたんですけど、本作もやっぱり怖かった・・・。
三間坂氏の実家に怪しい女が訪れ、とある記録があれば買い取りたいと申し出たという。だが、応対した三間坂氏の伯母はその女に朧げな印象しか思い出せない・・・と言う。実家の蔵を探索した三間坂氏は、いわくつきの住居を無理矢理継ぎ接ぎし建設した〈烏合邸〉という邸宅を調査した記録を2つ発見し、三津田さんと調査を始めるのだが・・・。
「黒い部屋 ある母と子の日記」烏合邸の「黒い部屋」と呼ばれる部屋に居住することになった母子。「白い屋敷 作家志望者の手記」「白い屋敷」と呼ばれる家屋に居住し、怪異に対する記録を取りながら、小説を書こうとしていた青年。「赤い医院 某女子大生の録音」「赤い医院」と呼ばれる歯科医院兼住宅を、録音しつつ調査する建築系学科の女学生。「青い邸宅 超心理学者の記録」「青い邸宅」と呼ばれる家屋に心霊現象調査のため訪れた女性心理学者は、そこで「サトオ」と名乗る少年と…