『異形のものたち』/小池真理子 〇
『怪談』を読んだ時に「小池真理子さんならドロドロの恋愛ものの方が好きかも」とか言ってたにも関わらず、本作『異形のものたち』も、ホラー系です(^^;)。書評や帯の惹句に仄昏いものを感じると、ついつい〈読みたい本リスト〉入りさせちゃうんですよねぇ、私(笑)。
『怪談』同様に、物語の人物たちは切実な恐ろしさを体験しているのに、読んでいる私はそれと距離があって、妙な感覚でした。大抵私がホラーを読むと、〈私の後ろに何か蟠っている・・・、振り向いたらダメだ・・・〉とか〈しんしんと怖いんだよッ・・・!〉とか、そういう感じになるのですが、小池さんの描く「怖ろしい話」は何故か、ガラスの向こう側で起きている出来事のようで、リアルなのに私に迫って来ない。いえ、物語としては、とても良いのですけど。小池作品と私の相性は、いいのかしら、悪いのかしら(笑)。
どの物語も、あまり怪異を信じないタイプの人が主人公。最初はそれらを否定する主人公たちは、いずれ受け入れざるを得なくなり、そしてその怪異に引きずり込まれる。何かが起こるラストもあれば、何も起こらないまま(ただし怪異は厳然として彼らを飲み込んでいる)終わる話もあり、オチのつかない居心地の悪さを感じたりもしました。
う~ん、どれが良かったのかなぁ・・・。「面」の、農道を歩いていたら突然無音になり、向こうから白い着物の女が歩いてきて、すれ違う時にみたら般若の面をつけていた・・・というシチュエーションは、全くリアルじゃないのに、その一瞬の無音状態が想像できてしまって、怖かった…