『氷獄』/海堂尊 ◎
あの【バチスタ・スキャンダル】の裁判を描く『氷獄』。・・・実をいうと、「え~、今更バチスタ・スキャンダル??」って一瞬思ってしまいました、ワタクシ。ホント、海堂尊さん、ごめんなさい!この物語は、〈桜宮サーガ〉には絶対必要なエピソードでした・・・!
表題「氷獄」(中編)と3つの短編からなる本作。今まで発表されてきた〈桜宮サーガ〉の物語の合間を縫うようなストーリーや登場人物の別の側面が描かれていたりして、〈物語の登場人物たちの人生は続いていて、そしてその後(あるいは物語以前)が読める〉という、私の大好きな展開になっています。この〈桜宮サーガ〉は、登場大学医学部病院を中心とした「医療と現実の壮大で重厚な歴史絵巻的」になっちゃってて、〈一見さんには優しくないシリーズ〉と評価されることもあるんですけどね。私は、ワイドショーの「あのときのあの人は今!」的なノリで追っかけてる部分もあるシリーズなんですよねぇ(笑)。私が、海堂さんの作品を初めて読んだのは『螺鈿迷宮』なんですが、あれからもう13年ですか・・・びっくりです。その間に、現実世界でも物語世界でも、色々なことがありました。今現在、世の中を蔓延している〈新型肺炎・コロナウィルス〉とか、そういえば『ナニワ・モンスター』で新型インフルエンザ・キャメルが流行したっけ・・・なんてことも思い出しました。
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