『姑獲鳥の夏』/京極夏彦 ◎
言わずと知れた京極夏彦さんのデビュー作、『姑獲鳥の夏』。これが初めて書いた作品だとか、・・・マジですか、京極さん。とんでもない量の薀蓄、多分野に渡り繰り広げられる博覧強記・・・、前半なかなかそのペースについて行けず、アワアワしながら読んでおりましたよ。しかし後半になって、惹き込まれること惹き込まれること!!
何故今更、〈百鬼夜行シリーズ〉かといいますと・・・。水無月・Rの住むO阪市の図書館、今春のコロナによるステイホーム期間、休館しておりまして。先の見えないステイホーム期間は伸び続け、次第に手元に読む本はなくなり、如何したものかと思った時に「そういえば、京極さんの本は分厚いよね…」「いいタイミングだし、〈百鬼夜行シリーズ〉、そろそろ行くか!」と、ネットで購入。が、その直後(笑)大量の予約本の到着通知とともに図書館は開館し、まずはそちらを読まねば(次の予約の人が待っている)・・・てな感じで、ズルズルと取り掛かりが遅れてしまいました。
で、読み始めたらばまあ、難しい話のオンパレード。会話がぽんぽん弾むので何とかその勢いで読むものの、教養が足りてないワタクシにはついて行くのが大変でございましたよ。でも、やっぱり京極堂の〈憑き物落とし〉が始まると、様々に点在していたエピソードが再編され、闇に紛れていた〈事実〉が明らかにされていく。ただし、〈真実〉は容赦なく、すべてを暴く。それによって、今まで不穏を含みながらもなんとか過ごしてきた日々は霧消することもある。
文筆家の関口(語り手・私)は、友人の古書舗店…