『ババア上等! 大人のおしゃれDO!&DON'T!』/地曳いく子×槇村さとる ◎

『ババア上等! 大人のおしゃれDO!&DON'T!』というタイトルと、表紙の凛としてカッコいい女性のイラストが目を引く本作。スタイリストである地曳いく子さんとスタイリッシュな女性を描かせたらピカイチの漫画家である槇村さとるさんがタッグを組んで、「おしゃれ更年期」でおしゃれ迷子になっている女性たちに、手を差し伸べてくれました!「おしゃれ」だけじゃなく実際の体感覚的にも「ガッツリ更年期」な私、どんなことが書いてあるのだろうと、ちょっとドキドキしながら読み始めました。 「おしゃれ更年期」とは、おしゃれの「キツい・重い・かたい」に耐えられなくなったときのことだそうです。あ・・・私だいぶ前から、この3つに耐えられなくなってる(笑)。基本、楽な物しか着なくなってたわ~。ここで下手に若作りに走ると「痛いファッションの人」になってしまうので、どう折り合いをつけていくか、どうやって新しいものをカッコよく取り入れていくか、大変参考になりました。 お二方の語り口もサバサバしてて気持ちがいいし、槇村さんのイラスト(マンガ)もカッコよかったり私みたいなオバサンの状態に寄り添ってたりして、とっても読み易くて、2日で一気読みできました。まあ、何と言ってもタイトルの迫力ですよねぇ(笑)。ババア、って自分で言っちゃう。いやでも、これぐらい正面切って言い放ってたら、気分がいいですよね。それにね、ババア(BBA)は「Beautiful Briliant Age」の略称なんだと「あとがき」にもありましたから。経年劣化ならぬ経年美化な…

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『Another 2001』/綾辻行人 ◎

図書館でこの『Another 2001』 を受け取った時、正直「ヤバい・・・」と思いました。まず、京極作品張りに分厚くて重い(笑)。そして、前作『Another』及び『Another エピソードS』で語られた、繰り返す理不尽な〈災厄〉や〈死者〉の存在の不気味さを思い出して。これは、心してかからないと、とんでもなく難航する恐れがあるわ・・・、と。実際、10日以上かかってしまいました。そして・・・なんていうかもうホント、怖いとかそういうレベルじゃなくて、震撼させられました。綾辻行人さん、どれだけ畳み掛けてくるのよ・・・。 正直、実際には起こるはずもない〈現象〉なわけですよ、〈夜見北中学3年3組の災厄〉って。だから、自分に降りかかることへの現実的な怖さは一切なかったんですけどね。とにかく、次から次へと、3年3組のクラス構成員及びその2親等までの関係者に「死」が訪れる。事故死、病死、自死、他殺・・・、発生は多様と言えども、不自然なほどに数多くの死が彼らの周辺で発生し、彼らを怯えさせる。「対策」はちゃんとしたはずなのに・・・と。 前作『Another エピソードS』の登場人物、比良塚想が主人公。3年ののち、彼は夜見北中学の3年3組構成員となり、3月の「対策会議」で〈いないもの〉の役割を自ら買って出たことから、物語は始まる。 実は、物語が始まってすぐに「1998年度の〈災厄〉による(と思われる)死亡者一覧」があり、その中に今年度の3年3組の構成員がいることが既に分かってしまいます。つまり、死者が誰かとい…

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『完璧じゃない、あたしたち』/王谷晶 〇

たくさんの「あたしたち」の関係を描く、王谷晶さんの『完璧じゃない、あたしたち』。新聞の書評を見て、面白いかなと思ってリスト入り。23もの短編があり、様々な「あたしたち」がいて、理解出来たり出来なかったり。軽い文体で、するすると読み易かったですねぇ。 最初の物語「小桜妙子をどう呼べばいい」は「自分の1人称を選択できない女」の話。実を言うと最初は正直どうでもいいわ~と思っちゃったんですよね、私。主人公・小桜妙子が、職場の飲み会で〈自由過ぎる帰国子女・夏実クラーク横山は一人称を決めてない、アタマの中ではI,My,Me〉ということを知り、目の前が開けるという展開は、なるほどなと思いました。そして仲良くなって英語を習う、なんて物語的にはベタなんだけど、現実にはあんまりないよなぁ・・・なんてね。この「あたしたち」な関係は、結構好きですね。 「ばばあ日傘」の語り手老女が、雇い主のお嬢様を「あの女」呼ばわりしながら過去を回想する。そして彼女が犯した罪を引き継いで仕上げた「あの女」が、刑期を終えたのを迎えに来たことがわかるラスト、なんだかふんわり心が温まりましたねぇ。すっかり忘れ去って、或いは忘れることにして、関係を断つことも出来たのに、待ってるバス停で彼女を貶しながらもきちんと迎えに来る、心から嫌ってたわけじゃないんだろうなと思えて、よかったです。出来たら、刑期を終えた「あの女」はどう思ってたのか、という物語も読んでみたいですね。 「戯曲 グロい十人の女」は結構長かった(笑)。普通に始まったように見えて、途…

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『シーソーモンスター』/伊坂幸太郎 ◎

2021年、最初の読了本は伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスター』です。まあ、本当のことを言うと、21年になってから読んだのはほんの十数ページなのですが・・・(年末は忙しい、と言い訳させてください;;)。この作品は、「人と人の対立」というキーワードで、「海族と山族の血筋をひく者同士はぶつかり合う運命にある」という設定を共有させた、『螺旋プロジェクト』という連作短編企画の中の2編だということです。巻末に他の作品も紹介されてました。「対立」がテーマということで、ちょっと重い感じもしますねぇ。 「シーソーモンスター」嫁姑の対立から疑心暗鬼に陥る嫁、夫の危機に二人は手を取り合うが・・・海族と山族はどうしても対立するもの。 「スピンモンスター」子供の頃自動運転の車に乗っていて、事故に遭った二人。再会してはお互いをビリビリと警戒しあう仲に。人工知能に関する事件に巻き込まれた「僕」と対立する一族の「檜山」、どちらの記憶が正しいのか? 「シーソーモンスター」の方は、姑の前職の予想はちょっとついちゃいましたが、それでも面白かったです。夫の危機に手を取り合うものの、解決した後に同居解消、でも二人で絵本を制作して出版するという共同作業をするという、はたから見ると矛盾してるような行動も、「海族」と「山族」だから。顔を合わせない方が、平和にやっていけるからなんですねぇ。 「スピンモンスター」は基本的な主人公・水戸直正の視点で話が進んでいくので、ついつい水戸の方に肩入れをしてしまいがちなのだけど、水戸の恋人であるヒナタ…

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水無月・R的・2020年読了作品 ベスト10!

さあ、2021年になりました。皆さま、あけましておめでとうございます~!! 去年は、本当にいろいろなことがありました。早春から水面下でうごめいていたコロナ禍が一気に世の中を変え、非常事態宣言、新しい生活様式、そして未だにコロナに対する有効手段がほとんどない、私たち。そんな中でも、〈本を読み、物語の世界を楽しむ〉ことは私にとって、とても大事なことでありました。今年もきっと、一つ一つの作品を大切に大切に読んで行くことで、心の平静を維持できるのだろうと思います。 たいへん個人的なことなのですが、実はワタクシ、11月の半ばに腰椎ヘルニア、続いて12月末に頸椎ヘルニアを発症してしまいまして、立ち歩きは出来るのに椅子に座れない、腕力が低下して重いものが持てないという、踏んだり蹴ったり状態の年末でございました。だんだんに快方に向かっているとはいえ、未だ足や腕の痛みに悩まされておりまする。年も改まったということで、早く完治して欲しいものです。まぁ、読書にあまり影響がないのは、ありがたいことですな(笑)。 さて、去年の読了作品数は59作品でした。去年より、ちょっとだけ多くなりました。ここ数年、少しずつ増えてきているので、今年も増やしていきたいですねぇ。まあ、読了作品数が多ければいいというものでもないのですが。 それでは、年間ベスト10の発表をいたしましょう。 〈水無月・R的・2020年読了作品 ベスト10!〉 1位 『四畳半タイムマシンブルース』 森見登美彦酷暑の京都、繰り返す一日。すべては、エアコンの…

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