『古生物 ビジュアル大図鑑 ~生命誕生から古生代まで 進化の謎と生命の神秘に迫る!~』/洋泉社MOOK ◎

先日『わけあって絶滅しました。』を読んで、なんて残念で愛おしい生物たちよ・・・と思ったものですが、こちらの『古生物 ビジュアル大図鑑 ~生命誕生から古生代まで 進化の謎と生命の神秘に迫る!~』は、CG復元イラストで描かれる、オールカラー図鑑です。真面目です(笑)。これ・・著者は誰だと言えばいいんだろう?・・・執筆・編集・CG制作・・・色々な方がいらっしゃるようなので、洋泉社MOOKで括ることにしておきます。 内容はもう、タイトルに全部書かれちゃってます(笑)。つまりは古生代(5億4千年前~2億5200万年前)に生息した生物たちの中で、代表的なものを取り上げてCGイラストで描き出し、説明書きがあるという、オーソドックスな図鑑スタイルそのもの。人類が誕生するずっと前というか、ほ乳類が誕生してない頃のこと、我々の想像を超える形状・サイズ感(大小ともに)のこの生物たちを眺めていると、なかなか面白いです。なんでこんな形に?何でそんなに大きいの?えッ、メタリックなの?!扁平な頭に寄り目って、微妙にかわいいじゃないの・・・などなど、楽しい驚きに満ちてましたねぇ。 謎な形状の生物が多いんですが、その中でも群を抜いて謎なのは、カンブリア紀のオパビニアですね。目が5個。・・・何故に奇数(目は対になってるべきという私の固定概念か、4つだったらそんなに謎じゃなかったかも?)。象の鼻みたいな触手、口は体の底面にある。謎だわ~その形状、謎過ぎる(笑)。デボン紀のミメタスターも、何の種類か全然わからないところが凄い。虫?甲…

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『ゆらぎの森のシエラ』/菅浩江 〇

読んでて、違和感があったんですよね。あれ、私何読んでるんだろうって。菅浩江さんの作品のつもりで読み始めたのに、何か違う。この違和感は何だろうと思いながら、『ゆらぎの森のシエラ』を読み進めていきました。 違和感の正体は、私の勝手な期待だったことが判明します(笑)。私にとって今までの菅作品は〈ひと〉と〈機械〉狭間で揺れ動く物語だったり、遠い未来の機械文化が進んだ世界に持ち込まれる情緒だったりしたのです。本作では、機械はほぼ出て来ません。出てくるのは「ファンタジー色の強いバイオテクノロジー」を駆使したキメラ化物や、不老不死の黒幕など。私、ファンタジーも好きなんですけど、何故かこの作品はあまり響きませんでした・・・。 不老不死の黒幕・パナードとヒロイン・シエラがかつて姉弟だったこと、彼らの異能に頼り過ぎた人間達が増長し自然を壊していき、それを悲しんだシエラは死に、憤ったパナードは人間達に復讐を誓う。シエラは何度か転生し、今生でパナードの配下であったけれど理性を取り戻した「金目」という男と巡り合う。パナードの力は強大で、金目の戦いは苦戦と敗戦を続けるけれど、最期にはシエラの力や犠牲により、辛勝を得て、そして金目も海へと消える。 金目はアレですね、仮面ライダー一号ですね(笑)。悪の組織に捕まって改造されるも、理性と正義の心を取り戻し(維持し)、逆に悪の組織に対抗する存在となる、という。そこに気付いたときは、ちょっと笑ってしまいました。 シエラの住んでいた村の少女・ラチータが、好きです。周囲に流されず、…

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『CAボーイ』/宮木あや子 ◎

あ~、面白かった!!楽しかった!!この作品は宮木あや子さんのノリテンポ良し系ですねぇ!読みながら色んなツッコミを入れたり、爆笑したり、大変忙しい読書となりましたよ♪主人公・治真は20代後半なので、『CAボーイ』というタイトルにはちょっと「ボーイ・・・???」ってなったんですけど、途中で『校閲ガール』をはじめとする〈校閲ガール〉シリーズとの意外?な関係が分かって「そっか、お仕事小説として対になる作品なんだ!だからボーイなのね!」と納得。 ていうか、『憧憬☆カトマンズ』とも関わりあるじゃん!!紫絵が鯛焼き買いに行った鯛焼き屋って、『カトマンズ』のパティの実家だし!更に言うと、不動産屋兼鯛焼き屋店主?の加奈子は『セレモニー黒真珠』のトホホ系眼鏡美男子・木崎の妹だし!!ハ~イ、水無月・Rの〈高感度過ぎる木崎センサー〉が発動しましたよ!『黒真珠』の木崎が好き過ぎて、ちょっとでもその影が差しただけで、脳内で紙吹雪を散らして狂喜乱舞を繰り広げるという、大変ヤバい人になるんです、ワタクシ。残念ながら、加奈子しか出てこなくて、木崎は登場しませんでしたが。宮木さん・・・お願いですから、どこかで木崎の消息を・・・出来たら登場を・・・!!(↑強力電波を飛ばしています…宮木さん、キャッチしてくれたら嬉しいです…) いいなぁ、宮木作品てあちこち繋がってて。時々「これってメタ展開じゃないの?」って疑問がわくこともあるけど(笑)。あの登場人物は、あの作品で終わりじゃなくて、宮木さんの作品世界でずっと暮らしてるんだな、って思う…

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『神様の暇つぶし』/千早茜 〇

物語の終盤に差し掛かって、「わからない・・・理解できない、いや、理解したいのかどうかも分からない」と思ってしまったのです。千早茜さんの描く、焼けつくような情動とそれが一気に去ってしまってもなお生き続けてしまったうら寂しさに、焦燥と共に突き放されたような気持ちになりました。『神様の暇つぶし』というタイトル、誰が何が〈神様〉で〈暇つぶし〉とは何だったのか・・・、何重にも意味が感じられて。 主人公・藤子の元に、「あなたにとって先生とはどんな存在でしたか」と尋ねる男が訪れる。その男は、かつて藤子が激情のひと夏を共に過ごし、何も言わずに去って行った写真家・廣瀬全の遺作となった写真集を、彼女に渡す。藤子は、全との出会いから、共に過ごし身も心も深く繋がりあった日々を思い出す。 藤子は、写真集に自分の写真を使うことを許可したにもかかわらず、その写真を見たことがないという。それだけで、どれだけ苛烈な別れがあったかが予想出来てしまい、いかにして二人が出会い、互いの個性や感情をぶつけ合いながら繋がりを持ち、そしていつしか二人の間にカメラが介在するようになった・・・という藤子の回想を読み、息苦しくなってしまいました。 ここまで、誰かや何かを求めたことがないから。「わからない」けれど、〈読むことで経験できてよかった〉なのか、〈経験できたような気になっているだけ〉なのか、そして〈理解したいのかどうかも分からない〉という思いに気付いてしまいました。若かった頃なら、〈経験したい・理解したい〉という思いで、むさぼるように読み…

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