『三千円の使いかた』/原田ひ香 〇

人によって、三千円の価値はそれぞれ。御厨(みくりや)家の祖母・琴子、母・智子、長女(既婚)・真帆、次女(独身)・美帆、それぞれにとっての〈お金とは〉を緩やかに描く原田ひ香さんの『三千円の使いかた』、それぞれ違う彼女たちの事情、考え方、その考え方の変わって行く様子、興味深かったです。 アラフィフで主婦の智子の章が、一番刺さったかな~。離婚したら、生活ってすぐに立ち行かなくなっちゃうという、その計算のリアルさ・・・怖いわぁ。離婚したいとかそういうことじゃないんですが、主婦だと年金も少ないし、生活費って結構かかるし・・・老後のぼんやりとした不安がはっきりしてしまった感じ。それと、家事をしないダンナというねぇ・・・、うん、今まで教育してこなかった私が悪いんですけどね、教えるの面倒臭くて・・・ははは。 真帆は堅実ですねぇ。証券会社で働いていたこともあるからかな。とはいえ、彼女のプチ稼ぎの方法は、私にはちょっと無理だな。手間の割に、成果というか結果が虚しいというか。いや、お金入ってくるし、いいのかな・・・。ううむ。 琴子も、一千万円をあちらの金融機関からこちらの金融機関に移し替え・・・でマッサージチェアを買えるだけの差額を得たっていうマメさには、頭が下がりますね。それよりも「価値のあること(人に感謝される)」に気付いて、「73歳のハローワーク」するそのバイタリティも素敵です。そして何より、植物を育てるのが上手いの、うらやましいわぁ。あまりストーリーに関係ないかもしれないけど。ベランダのハーブすら枯らして…

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『姑の遺品整理は、迷惑です』/垣谷美雨 〇

ううう、身につまされすぎて、胃が痛いです、垣谷美雨さん(笑)。いや、まだ現実には両親・義両親ともに健在ですが、いずれはたぶん・・・、我が身です。『姑の遺品整理は、迷惑です』 は、急死した姑の住んでいた団地の3DKを引き払うために、その遺品整理をしなくてはならなくなってしまった望登子の奮闘物語。 最初の頃は、ひたすらため込み気質の姑を恨む望登子と一緒になって、「うっわ~、それはやってらんないわ~」と思っていました。ていうか、望登子優しいわ~。偉いわ~。私だったら、その物量を見た途端、片付け業者いくつか呼んで相見積もりとりますわ。もちろん、そのまえにざっと貴重品類を確保、ダンナに「手伝えないなら、何が必要かだけ言って。それから何か取って置くというならあなたのスペース内でね。リビングになんか置かないよ」と宣言、グズグズ言おうもんなら、「じゃあ私はやりません。あとはあなたが一人でコツコツどうぞ」って言うわ~。・・・って言いたいところだけど、そうも行きませんね。たぶん。・・・はぁ。 ここ半年ぐらい、とある片付け業者のYouTube動画を見てるんですけどね、やっぱりプロはすごいですよ。ガンガン片付けながら、貴重品や写真などは取って置いてくれるし、ゴミの分別もちゃんとしてくれるし(回収してくれるし)、可能なら家具や電化製品を買い取りもしてくれるし。それをみちゃったら、私は「自分で片付けられる物量」を見極めたうえで、頼んじゃうな。 まあ、この物語の趣旨は、どちらかというと「片付けながら、故人を偲ぶ」「片付け…

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