『落日』/湊かなえ ○
う~ん・・・。湊かなえさんらしい、といえば非常にらしい作品ですよねぇ。「映像脚本絡みのミステリー」という分類が・・・。港さんの得意分野を存分に生かした(映像脚本系なだけでなく、微妙な田舎具合の地方都市が舞台ってとこも)作品だなあと、感じましたね。ところでこの『落日』 って、新人脚本家・甲斐千尋と気鋭の映像監督・長谷部香のダブル主人公ってことになるのかしら。
大御所脚本家・大畠凛子の元で働く甲斐千尋。彼女のもとに、国際映画祭で受賞したほどの気鋭の映画監督・長谷部香から「新作の脚本について相談したい」というメールが入る。訝しみながらもその打ち合わせに行った千尋に、長谷部は「あなたの故郷の笹塚町で起きた一家殺害事件」についての映画を作りたいのだ、と申し出る。何故長谷部が、犯人も逮捕され刑も確定済みなその事件を調べようとしているのか、千尋の家族内の問題の微妙さ、だんだんに不穏化してくる事件関係者とそれぞれの後悔。長谷部の悔恨。そして、明らかになる関係性と、推察されプロット化される物語。最後に長谷部に差し出された、過去の真実。
うん、きちんと書こうとすると長くなるので、あらすじは止めておきます。非常に、映像が見える物語ですねぇ、湊さんらしいなぁ。これ、映画化される予定ありそうだなぁ。
姉に対して、要所要所でメールを送ってる千尋、というのが最初からもうビクビクものだったんですよね。千尋が姉に対して非常に負い目を感じてるっぽくて。もしかして、原因が千尋にあって、それで?と思ったら、そうじゃなかったのは逆に…