『千年図書館』/北山猛邦 ◎
以前、『人外境ロマンス』で、ほのぼのした[人と人外のロマンス]の数々を読んで、ほっこりした北山猛邦さん。本作『千年図書館』では、「ラストにどんでん返しがある」ことが裏表紙で先に暴露されてるにも関わらず、どんなどんでん返しかを想像しながら読む楽しみ、そして驚かされる楽しみがきちんと体験できる、良い短編集でした!
『人外境~』のとき、「北山さんは本格ミステリの人らしいけど、こういう作風の作品ほかにもあるなら読んでみたいな」と思ってたのですが、本作も本格ミステリではなく、ほのぼのとはまた違った、不穏さを孕みながらも爽やかさもある軽やかな物語展開が良かったです。
「千年図書館」のラストに出てきたマークに驚き。ていうか、図書館の地下にそんな物保管してたわけ?うわぁ・・・。多分、それのせいで文化文明がが衰退したという時代設定なんでしょうね。大きな図書館を作って、沢山の本を収納していたけれど、それのせいで利用するものも利用できる状況も失われた・・・と。さて、あの箱を開けてしまった村人たちは死滅してしまったけれど、汚染はそんなにすぐにはなくなるものじゃないはず。ペルとヴィサスはどうなってしまうのかしら・・・。
「今夜の月はしましま模様?」の知的音楽生命体・ラジーと佳月の軽妙な会話に乗せられ、このまま侵略されちゃうのもしょうがないかな~なんて思ってたら、新たな生命体の存在が?その生命体も、ずっと昔から地球に存在して人類と共存し、侵略の機会を伺ってた・・・そしてそれがこの物語で結実して?!さあて、私は侵略された…