『キリングクラブ』/石川智健 ◎
サイコパスたちの社交場である、『キリングクラブ』 。都心の地下に広大な空間を持ち、あちこちに多数の秘密の出入り口を持つそのクラブは、大儲け(キリング)の出来る成功したサイコパスたちが集う。運営元は不明、運営方法も目的も不明、所属する従業員、入会者(ゲスト)の数も不明、そんな謎だらけで壮大な組織で発生した殺人事件を追う物語。石川智健さんは、初めて読む作家さんです。サイコパスの物語ってちゃんと読んだことなかったので、なかなか興味深かったです。
そう、いろんな物語を読んできた私ですが、ここまで真正面からサイコパスを扱った物語を読むのは、初めてだと思います(『羊たちの沈黙』は読んだことがありますが、あれは主人公は常人だったし)。サイコパスとは〈他人の感情に共感できず、自分にとって一番合理的な手段を取る〉とか〈超越した能力を持つがゆえにそれを発散させるために暴力に走るか、支配にする側に回るかの2種に分かれる〉とか、色々と定義されていましたが、まあなんというか・・・凡人かつ小市民の私にはその区別はわかるけど、その心情には理解が追いつかないというかなんと言うか。とは言いつつ、なんとなく(私にもサイコパスの片鱗はあるのかも・・?)なんて、疑わしく思ってしまう面も・・・。いや、でもこれは多分、私の中に残ってる〈特別になりたい〉欲が掻き立てられて、そう感じるだけなんだろうなぁ(笑)。うん、やっぱり私は凡人ですわ。
フリージャーナリストの藍子は、知人に誘われて〈キリングクラブ〉の給仕を始める。藍子は、関わりのあった…