『コロナ狂騒録』/海堂尊 ◯

はぁ~~、読むのホントに大変だったですよ~。本作『コロナ狂騒録』は、海堂尊さんの『コロナ黙示録』の続編。2020年9月から2021年7月(オリンピックの開会式が始まる瞬間)までのリアルとフィクションがせめぎ合う、濃密な物語でした。なんというか、〈桜宮サーガ〉の登場人物がどんどん出てきて、ビュンビュン事態を振り回すもんだから、しがない一般市民のワタクシなんぞ、理解がなかなかついていけなくて、息切れしながら読んでました。いやマジで海堂さんすごいわ・・・。 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、実は水無月・R、O阪市民でして。父や自分や夫の転勤で転々としてきた末にたどり着いた、エセ関西人なんですけどね。なので、この作品の〈浪速パート〉を読んでると、とにかくいろんなことに心当たりがありすぎて、ううう~ってなってしまうんですよ。鵜飼知事ことY村知事、マジでこんな感じで「思いつき発言乱発、勢いだけの口先知事」なんですよ。未だにこの人府知事ですけど。私はこの人及びこの人の党大っ嫌いなんで、小説内で自業自得の痛い目にあってくれたの、ちょっと溜飲が下がりましたよ。我々の現実世界に、村雨さんのような人が出てきてくれないもんかなぁ。もちろん、それを盲信しちゃダメなんですけどね。いろいろ調べて、情報を自分の中に取り込んで、しっかり考え抜いて、自分のものにすることができないと、結局は利用されるだけになりますからね・・・て、全然物語と関係ないこと書いちゃいました(笑)。 毎度のことながら、〈桜宮サーガ〉の登場人物たちって…

続きを読む

『トヨタで学んだ「紙一枚!」にまとめる技術』/浅田すぐる ◯ (実用書)

ネットで紹介されてるのを見て「私のとっ散らかったアタマを整理し表現する手立てになるかも」と読むことにした、本書『トヨタで学んだ「紙一枚!」にまとめる技術』 。著者浅田すぐるさんは、新卒でトヨタに入社し、様々な「トヨタ方式」を身に付けたのち独立。現在は〈伝わるカイゼンプランナー〉という肩書で活動してらっしゃる方なんですね~。実用書ではありますが、小難しいことは書いていなくて、〈とっ散らかった〉私にもできそうな内容でした。 ただし、思考の整理法として使える技術ではあったけど、企画や報告が必要でないパートのおばちゃんである私が活用しまくれるかというと、ちょっと違うかもしれません(笑)。残念!!とはいえ、「うまく説明する」ことではなく「理解してもらえる」事が大事というのは、(私的には)忘れがちな視点だったので、忘れずにいようと思いました。 本書は「なぜ、トヨタはナンバーワンなのか?」「トヨタで学んだ「紙一枚!」にまとめる技術~基本編~」「トヨタで学んだ「紙一枚!」にまとめる技術~応用編~」の3章で構成されています。この本が書かれたのは2015年でして、その頃ってトヨタはナンバーワンだったのだろうかという疑問は、ちょっとありますね(^_^;)。まあ、国内ではナンバーワンかな、今でも。たしかに、どんな書類も「紙一枚」にまとめて、検討したり評価したり出来るというのは、冗長な書類がたくさんある会社よりスピーディーに仕事が進みそうです。そういう企業文化が根付いているってのは、すごいなと思いますね。2章の基本編の…

続きを読む

『魔偶の如き齎すもの』/三津田信三 ◯

本書『魔偶の如き齎すもの』(まぐうのごときもたらすもの)は、三津田信三さんの〈刀城言耶『◎◎の如き●●もの』シリーズ〉の中短編集。長編じゃないせいか、ちょっといつもの〈土着民俗系ホラーミステリー〉の中の〈土着〉色は薄めだったかな。どれも「長年に渡る因縁と怨念が云々」というストーリーではなく、短い期間の出来事が怪異と絡まる謎解きだったからかもしれないですね。とはいえ、推理を二転三転させながら、最後には合理的解釈を提示して事件を解決、・・・したはずなのに「でも・・・本当に?」と引っかかりが発生してしまうラストという展開は健在で、読んでいて楽しかったです。 「妖服の如き切るもの」 (ようふくのごとききるもの)坂の上下にある家で起こる連続殺人事件。凶器の移動はどう行われたのか?「巫死の如き甦るもの」 (ふしのごときよみがえるもの)戦後間もない村で生まれたコミューンで失踪事件が起き。「獣家の如き吸うもの」 (けものやのごときすうもの)一つの家のはずなのに平屋と2階建てに見える。「魔偶の如き齎すもの」 手に入れれば福と禍を齎す土偶。密室のはずの「卍堂」での、撲殺未遂事件の犯人は? 実を言うと、「妖服~」と「獣家~」のトリックは、読んでるうちに気づきました。あ~これかな~と見当をつけ、謎解きで正解だったときは喜んだんですけどね。例によって最後の最後で「でも・・・本当に?」とか「あの現象は結局なんだったのか?」という不可解さは残され、密かに戦慄する言耶・・・なんて終わり方をしたら、やっぱり怖いじゃないですか~…

続きを読む

『レスキューナースが教える プチプラ防災』/辻直美 ◎

最近、南海トラフ地震が起きる確率は30年以内に9割・・・、富士山は近々に噴火する可能性があり甚大な被害が出る・・・など、とにかく大規模な自然災害が発生するだろうという情報が、よく入って来ますよね。我が家の防災準備、大丈夫だろうか・・・いや多分大丈夫じゃないよな、と反省しつつ色々調べ始めたところです。この『レスキューナースが教える プチプラ防災』 は、そんな防災初心者に優しく、取り組みやすいことをたくさん紹介してくれる、とても参考になる書籍でした!著者の辻直美さんは、〈国際災害レスキューナース〉として活躍されている方です。 〈国際災害レスキューナース〉という資格があることも知らなかったですね~。日本だけじゃなく国際的にも災害時の状況を知っていて、どのように対応するのが良いのか、被災後の生活の向上なども書かれていて、本当に学ぶところが多かったです。 防災というと、〈災害時持ち出し品〉のリュックを買うことから始めそうですが、まず大事なのは〈地震に強い家づくり〉なんですねぇ。家具の固定、電子レンジや炊飯器などの小さな家電の下に滑り止めマットを敷くこと、水や食品を日常保管(&ローリングストック)する方法、いろいろな知識が、写真とわかりやすい文章で簡潔に書かれているので、頭にも入りやすいです。非常時持ち出し袋、職場での備え、自宅避難生活の準備、被災クッキング、衛生やメンタルを整えるアイデア、いやはや、本当に〈使える技〉がたくさん。職場での備えなんて、考えたことなかったです。ロッカーが小さいのでこの本通りに…

続きを読む

『蛇鏡』/坂東眞砂子 ◎

いやぁ、〈ザ・土着民俗学系ホラー〉だわ~。ていうか、民俗学を超えて、古代神話学も含んでてて、なかなかに壮大でしたね。坂東眞砂子さん、『死国』を読んでその土着民俗学系ホラー(そしてあの作品もやはり古代神話を含んでましたね)のリアリティとその押し寄せる恐怖に震撼したことを、私は忘れられませんよ・・・。そして本作『蛇鏡』でも、畳み掛ける奇異な現象、忍び寄る恐怖、絡まり合う因縁・・・と、たいへん怖い思いをさせられました。 仕事で地方に行く婚約者・広樹に、奈良の実家まで連れてきてもらった玲は、自殺した姉の形見の〈赤い蛇の鏡〉を見つけてしまう。それを磨きながら、自分から求めてばかりの広樹と自分の関係性に不安を覚えるようになってしまった玲は、学生時代にほのかな憧れを抱いていた考古学者・一成と再会してしまう。一方、近隣の鏡作羽葉神社の宮司・東辻高遠は、神社内の池が赤く染まり始める現象に悩んでいた。これが100回目を迎えると、〈蛇神〉が復活し、大変恐ろしいことが起きてしまうと代々言い伝えられており、そして今回がその100回目なのだ。一成が発掘調査をしている遺跡ははなびらの形にとぐろを巻く蛇を模しており、玲の持つ鏡の蛇もはなびらの形をしており、更には鏡作羽葉神社の〈みいさんの祭り〉で使われる藁で編んだ巨大な蛇もまたはなびらの形で制作される。いくつもの符合、予兆、関係者にだけ訪れる偶然のような必然、それらに導かれ池は赤く染まる。高遠が池の水を抜き、玲の自殺未遂が防がれたことで危機は脱したかと思われたが、その水は遺跡の…

続きを読む

『未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし』/りっつん ◯

去年ぐらいからよく見ているYou Tubeチャンネル〈両学長 リベラルアーツ大学〉で紹介されていた、『未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし』 。著者のりっつんさんは、30代で配偶者を失ってから、小学生だった子供二人を育て上げ、ひとり暮らしになり、この本のもとになるブログを始めたシニアブロガーさん。にわかリベ大ファンとしては読んでみるべし、と図書館で予約を入れて半年以上待ちましたね(笑)。人気作ですなぁ。 リベ大では、「年金収入だけで生活が出来、ゆとり費を字幕制作の仕事とブログの収入で賄っている、収支バランスが良くそして自由に生きているシニアさん」という風に紹介されてたんですが、まさにそんな感じ。シニアになってもチャレンジ(ブログで広告収入も得ている)ができるんだ、という可能性の素晴らしさを紹介されてたんですね。それももちろん素敵なことなんですけど、今回私がこの本から得たのは、「年をとるに連れ、生活や持ち物をミニマムにシンプルにしていくこと」の大切さです。 りっつんさんは、ひとり暮らしの62歳。夫も子供もまだ家にいて、主婦として手抜き家事を繰り返し、パートに出てはバタバタと働くという私の毎日は、りっつんさんの落ち着いて丁寧な暮らしとは、全然違うんですけどね。りっつんさんの穏やかな暮らしには憧れるものの、それが叶うかどうかはまだ、わかりません。ただ、第4章「年を取るのも悪くない」で、「金もゴミも残さない」という一言があり、「ホントそれ!」って思ったんですよねぇ。残せるほどお金はないし、ならば…

続きを読む