『怪談のテープ起こし』/三津田信三 ◯
はぁ・・・、読んじゃったよ。読み終えちゃったよ・・・。フィクションなのは、わかってる。わかってるけど!!三津田信三さんの実録風ホラー短編集、何が怖いって〈フィクションなのはわかってるのに、なにか自分に障りがあるんじゃないかという気がしてくる〉ことが怖いんですよ!!『怪談のテープ起こし』、何度もホラー短編小説の合間に挟まれる〈念押し〉にビビらされました。小心者の水無月・Rでございます。
三津田信三さんのこういう実録風ホラー短編集と言えば、『どこの家にも怖いものはいる』とか『わざと忌み家を建てて棲む』とかありましたけど、また新たな方向性が出てきましたね~。
ホラー短編の雑誌連載のため、集めていた怪談の取材テープだったり自殺者の遺言テープだったりを、担当編集者・時任女史が書き起こしてくれたのだけど、だんだん時任女史の身辺におかしなことが起こり始める。その危機を察知した三津田さんが、時任女史に「もうテープ起こしはしてはいけない」と注意するも、女史はなんだかんだと理由をつけて書き起こしをしては、三津田さんにその原稿を送ってくるのであった。その原稿を参考に6つの連載短編を書き上げ、それらを1冊にまとめようということになり、それらの短編に加えて時任女史に起こった怪異やそれについての三津田さんの意見を加えるという構成が決まり、校正も終了する。そして、最後の最後に、怪異のテープがこつ然と現れ、時任女史は体調を崩し、三津田さんはそのことを終章に書き加え、物語は幕を閉じる。~読者の皆さんが〈水〉にかかわる薄気味の悪…