現代日本にありながら、人知れず鎖国する島。
予言し、喋るカカシ、島に足りない「何か」。
150年振りに、島に外界の人間が訪れる。
そして、カカシは殺される。カカシの断片的な頼みを実行する、島人たちによって。
島人たちは知らない。そのちいさな行動一つ一つが何を生み出していくのかが・・・。
どうして、カカシは、殺されたのか。
伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』は、何本もの伏線が絡み合いながら、終末に向かって、ゆっくりと着実に進んでいく物語であった。
ただ、惜しむらく、喋るカカシの誕生(発生)のエピソードがあまりにも苦しく(こじ付けなのかなんなのか・・・)、そのせいで、物語が突拍子もないものになってしまっている。変にカカシを作った男の話を入れるより、いつの間にかカカシに人格が舞い降りていた、みたいな方が、まだ収まりが付いたような気がする。そのせいで、◎ではなく○。
(2006.12.12 読了)