初めて、歌野晶午の作品を読んだ。その、記念すべき1冊目が『ジェシカが駆け抜けた7年間について』。
なんと!の一言に尽きる。
まあ、ちょっと読者に不親切かな、という気もする・・・・。ストーリーの要である「エチオピア暦」、普通の読者は知らないだろう。「エチオピアの1日が始まる時間は標準と違っている」という、ヒントになりそうにもない、伏線があるにはあるんだけど・・・。
主人公であるジェシカ、潰されたランナー・アユミ、マラソンクラブチームのカントク兄弟、エチオピア時間&暦。これらが絡み合って、エチオピア暦と西暦の7年のギャップに全く気がつかないまま、「この殺人事件はどういうトリックなんだろう」と思っていたが、殺人のトリックではなく時間差の認識(しかも単純な年数の問題ではない)によって、物語が構成されていたわけである。
こういうのは、ミステリーとして、ズルイのかスゴイのか?
読後にちょっと調べてみたが、賛否両論あり、判断は難しい。
ただ、水無月・R個人としては「ええ~?どうなってるんだろう?」と気になって気になって、どんどん読み進んでしまった。そういう意味で、ぐいぐい引っ張られ、面白く感じる小説だと言えると思う。
また、全てが判明した時、「騙された~!」よりも「なるほどね~!そういうことかぁ。」という爽快感があったと付け加えておこう。
(2006.12.06 読了)
この記事へのコメント
すずな
まさに「なんと!」でしたね~(笑)いや~まんまと騙されたよぅ^^;という気分です。
個人的には、こういうのもミステリとしてアリかなと思います。ハラハラドキドキ出来て面白かったし。
水無月・R
そうなんですよ、「ヤラレタ!」なんですよね、歌野作品の凄さは。
その騙され感が、気持ちイイです(笑)。
yoco
ミステリー作家さんって、トリックのネタを本当にいろんなところから見つけてくるんだな・・・と読み終わって改めて思いましたね。しかもそれを組み立てるのとか、ほんとすごい。
歌野さんはまだ2作品しか読んでないですが、『葉桜の季節に君を想うということ』でノックアウトされたのはいい思い出です。笑
水無月・R
いやあ、ホント凄いトリックでした(^_^;)。
未だにこれはアリなのかどうか、難しいところです。
歌野さん、最近は読めてないのですが爽快に騙される(内容あんまり爽快でもないことも)作品が多く、いつもびくびくしながら読んでます(笑)。そして、たいてい見事に騙されます♪