コーンワルへ同行したのは子供たちではなく、知人の娘アントーニアと庭の手入れを手伝ってくれる青年デーナスであった。
話が進むにつれ、ペネラピの戦時下の秘められた真実の愛が明らかになる。彼の戦死により、愛は終わってしまい、心通わぬ夫との結婚生活は続くことになってしまった。デーナスは、その青年によく似ていた。
アントーニアとデーナスの恋愛、デーナスの病気とその検査結果、そして、ペネラピの穏やかな死。ペネラピの遺言に、長女ナンシーと長男ノエルには青天の霹靂ともいえる項目が加えられていた。「父ロレンスの下絵14枚をデーナスに遺贈する」と。動揺した姉弟から次々と出てくる非難の言葉をピシャリと止めたのは、次女のオリヴィアであった。「ママは常に理性的だった。そのママが遺贈すると決めたならちゃんとした理由があったに違いない」と。
登場場面は少なかったオリヴィアだが、雑誌編集長として自立して忙しい日々を過ごすキャリアウーマンながら、母ペネラピを理解し、その行動を敬意を持って受け入れることの出来た、唯一の子供といえる。また、アントーニアとペネラピを最初に引き合わせたのも、オリヴィアだった。私には、オリヴィアが『シェルシーカーズ』という物語を動かす原動力となっていたように思える。それは、最終章で「不思議ねえ、まるでもつれた何本もの糸が解きほごされて、未来にまで伸びている1本の太い編み紐が編み上げられている過程を見守っているようだ」とオリヴィアが独白していることからも分かる。
この独白こそが、『シェルシーカーズ』のテーマではないだろうか?
『シェルシーカーズ』は、重厚な作品だ。読み終えるのにとても時間が掛かってしまった。だが私は、それをちっとも悔やむことがない。ペネラピが愛した美しい自然、心温まる人間関係、そして穏やかな愛情。とてもいい物語を読んだと、心から喜んでいる。
(2007.2.23 読了)
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