ここのところ、『大カナリヤ航路』や『シェルシーカーズ』などの重厚な作品を読んでいたため、非常にあっさりと読了してしまった。だが平安寿子、なかなかに喰わせものだった。
『もっと、わたしを』はさらさらと読み進みながらも、一癖も二癖もある男女達のど~しようもない恋愛(ドロドロではない)に「なんじゃそりゃ~?!(笑)」とツッコミを入れてしまう。各章の登場人物が少しずつ重なっていて、関係あるようでないような、変な人間関係を解きほぐしつつ、「あ~、こういう人っているんだよなぁ・・・。」と妙に納得してしまったり。
ただ、「いけないあなた」や「涙を飾って」に出てくる男性陣の情けなさには、呆れを通り越して怒りすら覚えた。二股の決着を、二股かけてた女達に任せるなんて、無責任でしょ?誘われたら断れない、ズルズルに付き合う、父親の自覚全くなし男、まずいでしょう?
でも、そんな男を愛してしまう女もいるわけで。共感は出来ないんだけど、納得は行くような、行かないような・・・。
あっさり読めて、トホホで、面白い。以前、『愛の保存法』を読んだ時も思ったのだが、平安寿子の描く「ど~しょ~もない恋愛」は、性に合わなくて水無月・Rには出来ないのだが、読む分には「こんな男(女)はダメだ~(笑)」と、突っ込みどころ満載って感じでいい。世の中、いろんな恋愛があるものだ・・・。
(2007.2.23 読了)
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