宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに、『賢治先生』が駅で「銀河鉄道」の夢を見る、という物語。
長野まゆみらしい美しい文章で、幻想的な雰囲気を語った、すがすがしい作品です。
しかも、出てくる「カンパネッラ」や「ジョヴァンナ」の、スレたナナメ加減と来たら。モチーフ元の『銀河鉄道の夜』の「カンパネルラ」や「ジョヴァンニ」の幼さゆえの純粋さを大きく上回っているのに、なのに美しい。何故だろう。長野作品に出てくる少年の透明感は、とても素敵だ。現実にこんな透きとおるような、あえやかで、芯の通った少年がいるはずもないのだけれど。
BLは、ほとんどありません。カンパネッラとジョヴァンナの関係が、ややそういう感じがしなくもないのですが、生々しさが全くなく、とても気持ちよく読めました(水無月・RはBLが苦手です)。
以前も書いたけど、美しい文章や言葉遣い、ゆったりとして幻想的な長野まゆみ作品に、とても憧れる。・・・もちろん、こんな駄文しか書けない水無月・Rだから、とてもそこに至れるとは思っていない。でも、こんな美しい作品を沢山読めることに、感謝する。たとえ書けなくても、読めることは、幸せだと思う。
(2007.3.27 読了)
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