『二人のクライディス』/タニス・リー ○

前巻で動き回る迷宮<ライズ>から脱出した主人公、クライディ。恋人であるアルグルの元へ戻ろうと、スターに乗って移住の民ハルタのところへたどり着く。ところがハルタの一族には、クライディがさらわれた振りをして「シティ」に戻ったと思われていて、冷たい態度で拒否された上に、アルグルが一族を離れた事を聞かされる。アルグルを追って、旅を始めるクライディ。ある町でアルグルにめぐり会うが、アルグルはクライディに対して冷たい態度をとり続ける。クライディを追ってきた謎の男、ゼリーはアルグルと旅を続けるクライディに付かず離れずに付いてくる。

町についたクライディとアルグルは、宿を取る。そこへ、ウインターと名乗る少女が現れ、クライディとゼリーを<北の地>へと連れ去る。アルグルが実は機械人形だったと分かる。

<レイヴン・タワー>に連れて来られたクライディは、母と言われている「プリンセス・トワイライト・スター」と面会し、真実を知る。本物のクライディ(トワイライトの娘)はウインターであり、クライディは奴隷の娘であったこと、トワイライトとウスタレスの<狼たちの女王>計画、そして・・・ゼリーが変装したアルグルであること。

トワイライトは、<狼たちの女王>計画のため、<レイヴン・タワー>でのクライディとアルグルの結婚を早急に推し進めるが、トワイライト達のゲーム手駒にされるのが嫌な2人は、式の最中で混乱を巻き起こし、<レイヴン・タワー>から脱走する。

『二人のクライディス』で、クライディは更に波乱万丈な目にあう。タワーズの聡明で計略的なプリンセスたちの計画に振り回されて。でも、この巻の最後で、クライディはトワイライトにしっぺ返しを食らわせる。そして、アルグルと旅立つ。どこへ?まずは、<ぺシャムバ>で、結婚式を挙げよう、と。

1巻から3巻へ、だんだんに成長していくクライディ。ありきたりでない経験をしているから、というのもあるんだろうケド、生まれ持った根性の据わり方で、色々な事態をのりこえていくのだ。明るく健全なファンタジーだな~。こういうのも読みやすくていい。水無月・Rがタニス・リーに待する、耽美なダーク・ファンタジーでないのは残念だけど。次の巻『翼を広げたプリンセス』も楽しみだ。

(2007.3.9 読了)

二人のクライディス
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ウルフ・タワー 著者:タニス・リー/中村浩美出版社:産業編集センターサイズ:単行本ページ数:331p


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