あの、【バチスタ・スキャンダル】(『チーム・バチスタの栄光』)から9ヶ月。桜宮市の東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が入院し、そこからいろいろな事件が巻き起こる。(『ナイチンゲールの沈黙』)。
その出来事の裏側で、この事件(『ジェネラル・ルージュの凱旋』)は起こっていた。
えぇ~!!田口先生、大丈夫?!「ナイチンゲール事件」でも八面六臂の大活躍だったのに、実はその裏でもう1つ別の事件に巻き込まれてたなんて!ああ~、田口先生こそ、怒涛のアンラッキー中年です~。ガンバレ、田口先生(笑)。
ああ~、絡み合うストーリーと人間関係と医療問題。何と言ったらいいのかわかりません。
すごいです、海堂尊先生。医師と作家の兼業で、こんな力量のある作品を作り上げられるなんて。
衝撃&感激で、まっとうな感想・レビュー、書けそうもない・・・(-_-;)。すみません。
いや~、ストーリー紹介すら無理ッ!でございますよ。とにかく前作『ナイチンゲールの沈黙』と同時進行で、こういう側面があったのか~!なんだよもう~、田口先生、大丈夫ですかい?
とにかく今回も、キャラ立ちまくりな人間関係&論戦関係が入り乱れ、大混戦状態です。我らがグッチー・田口先生、火喰い鳥・白鳥、救命救急センターの将軍(ジェネラル)・速水、がんがんトンネル魔神・島津、食い逃げ三船な事務長、曳地教授の血脈のパワーアップ版泥沼・沼田、タヌキ院長・高階、千里眼・猫田小児科師長、ハヤブサ・花房師長、爆弾娘・如月翔子、ミス・ドミノな見習い看護師・姫宮。そのほか弁護士先生や大学倫理学教授、伝説の歌姫や廊下トンビ(出番少なッ!笑)、ダジャレの佐藤…枚挙に暇がないとはこのことですな。
しっかし、東城大学医学部付属病院て、とんでもなくいろんな波乱を内包してるのね。どこの病院も、こんな確執や内紛を孕んでるんでしょうか。だとしたら怖いな~。病院内政治や力関係、いや、そんなことより治療の方、ヨロシクお願いしますよ・・・・(^_^;)。
昼行燈、愚痴外来のグッチー先生は、「病院長をアゴで使い(?)、バチスタ・スキャンダルで自分だけ昇進(?)し、胡散臭さではタヌキ院長に匹敵」という評価が出てます。一つの事象はいろんな見方があるわけだ。チガーウ!!
エシックス・コミティ(倫理審査委員会)の田口先生包囲網。速水の医療ヘリ導入への熱意。東城大医学部最大の不良債権を立ち直らせようと孤軍奮闘するジェネラルの収賄疑惑を告訴する投書。次期総師長選をにらんだ、オレンジ新棟の師長2人の思惑と動き。
なんと、今回はアクティヴ・フェーズの論理怪獣(ロジカルモンスター)・白鳥を凌駕する、アグレッシシヴ・フェーズの将軍・速水の登場。もちろん白鳥も口八丁でエシックスを引きずりまわしてますが。
事件は会議室で起こってるんじゃない!現場で起こってるんだ!(踊る大捜査線より)な、救急の戦場っぷりがとんでもなく、臨場感。そして、速水の救急医療直感&的確な瞬時判断の凄さ、人間離れしてますね。口紅を引き、大惨事で運び込まれる患者を次々に処置し、指揮を執る孤高の将軍、速水。
なんか、今回すっごくかっこいい話でしたね~。ジェネラル速水が、ダンディーで有能で。その速水との付き合いが長かったから、パッシヴ・フェーズに優れてたことが判明した田口先生。
ジェネラルがハヤブサを伴って向かった、「北」。アレ・・・『螺鈿迷宮』の死の女王・小百合が逃走したのも、「北」。
もしかして、このシリーズの次巻は、ジェネラルVS小百合の戦いが繰り広げられる中へ乱入する白鳥?ジェネラルと火喰い鳥は共闘するのか、対立するのか?!みたいな感じになるのでしょうか。うわっ、面白そうだな~(←勝手に次巻のストーリーを作るな、水無月・R)。
今回のテーマの一つに、「医療は採算を旨とするべきか否か」があったと感じたんですけど、難しいですよね。採算を考えれば、適切な医療ができず、また受け入れ態勢も整わない。かといって、すべての患者を受け入れ採算を度外視した場合、その資金をどこから引き出すのか。医は算術にあらず仁術、の理想はなかなか到達できない、医療従事者たちの苦しい胸の内が描かれていた様に思います。
(2007.10.20 読了)
この記事へのコメント
すずな
本当に沢山の個性的な人物たちが入り乱れたお話でしたねぇ;;;水無月・Rさんのレビューを読んで改めて感じました。
速水医師を通して、現実の医療従事者のやるせなさとかもどかしさみたいなものを感じたお話でもありました。
エビノート
でも、そのおかげで終始楽しめる作品になってると思います。
今回はやっぱり速水先生のカッコよさにしびれてしまいました~(^_^;)
水無月・R
海堂さんが現役のお医者さんだからこそ、この作品が描けたんだと思います。医療は人の為にあるのに、うまく機能しないもどかしさ、海堂さんの、いえ、きっと医療に従事する全ての人が持つジレンマなんですね。
>エビノートさん。
速水先生、カッコイイですよね~。そのカッコよさで「毎月のチュッパチャップス代が収賄」・・・(笑)。是非「北」でも、チュッパチャップス舐めててほしいですね(^^)。
雪芽
たくさんTB&コメント頂いてありがとうございました。
個性的なキャラばかりで、こんな病院がほんとうにあったら楽しい、いや怖い、いやどっちなんだ。ともかく面白くて面白くて。
みんな「北」へ向って行くのですよね。
ということはこっちへ来るっていうこと??
作者が現役のお医者様だけあって、医療現場で感じる心境なんかも作品に反映されているんでしょうね。
水無月・R
「逃避行」と言えば「北」なイメージで小百合が旅立ち、「愛の再起?」をかけジェネラルとハヤブサが飛び立ち、そして火(論理)を噴きながら白鳥が「北」へ向かう。
さぁ~、そちらは大乱戦開始ですよ、おほほほ。
海堂さんの作品を読んでいると、医療について考えさせられますね。
ふなち
ってのも伏線なんですかねぇ~。
続編が楽しみです。
水無月・R
コメント、ありがとうございます。
この後「北」での激しい戦い、是非読みたいですよね。白鳥の火喰い鳥っぷりも、期待値大です。
香桑
まだ小百合のことはよくわかりませんが、速水&白鳥コンビは暴走っぷりが怖くて楽しみです。攻撃力は抜群ですが、防御しない捨て身の攻撃ばかりになりそう……。焼け野原というか、爆発炎上というか……。
やっぱりパッシブ・フェーズ要員もぶちこまないと、ツッコミばかりの漫才のようになってしまいます! これで、田口医師の出張が決まりましたかね。(^^
なんだか、螺鈿を置いて、ジェネラルをもう一度読みたくなってしまいました。
水無月・R
アクティブ(アグレッシブも?)・フェーズばかりの「北」・・・て、スゴッ!想像しただけで、凄惨な様相が・・・。
そうですよね、ツッコミは重要ですが、ボケがいないと光りませんものね!(←何かがチガウ)