『れんげ野原のまんなかで』/森谷明子 ◎

『七姫幻想』で感激した森谷明子さんの、現代小説です。
秋庭市のはずれに建つ、秋庭市立秋葉図書館におこる、ささやかな事件。図書館員の知識を動員して謎解きをする図書館員たち。図書館好きとしては、たまらない作品でしたね~。

タイトルの『れんげ野原のまんなかで』から、ほのぼのとした感じを受けたので、人情話系なのかな?と思ってましたが。案外シビアな面もあり、いい意味でびっくりしました。ほのぼの一辺倒ではつまらなく感じたと思います。ただそのシビアなところがちょっと唐突かな、って気もしましたが・・・。

すすき揺れる秋口から、れんげ咲く春まで。図書館におこるささやかな事件は、ゆったりとした時の流れと共にひっそりと現れ、ほとんど騒ぎになることもなく、新人図書館員・文子や博覧な先輩・能瀬や語学堪能レファレンスもばっちりな日野などによって解決していく。
その中で、主たるストーリー要素ではないんだけど、文子が成長しているのが、爽やかだ。途中、能瀬に対する憧れの感情に気付いてしまい、アタフタするところも可愛らしい。物語の最後にはちゃんと、その感情を自分の中でうまく昇華できてたので、良かったわねぇ~とオバちゃん的なコメントを(笑)。

あ、そうそう。大地主・秋葉氏のバイタリティにはびっくり。70歳を超えるというのに、あちこちへ顔を出し、事件にもかかわりを持ち、すすきを刈り取ったかと思えばれんげの種をまき、終りあたりでは来年は田んぼを復活させるとか言ってます。大雪の日に文子を泊めてあげて、自分の家のミステリーを話したりして、「気さくでガハハなじい様、かっこいいじゃん」とか思ってしまいました。

秋葉図書館のちょっとした事件、これからも起こりそうなので、ぜひ続編を期待したいですね。読んでみたいです。文子の下にトンデモ新人類(←今時こういう言い方しないかな?)な後輩がつくとか、「グリーンニュース」の佐竹氏がもうちょっと頑張る・・・とか色々。個人的に気に入った秋葉氏もどんどん事件に絡んでいってほしいですねぇ~(笑)。
あ、でもそうなると次回作は『水田のまんなかで』になっちゃう?それはそれで、のどかでいいかも~。

ところで、最近、「図書館員」といえば「戦闘する図書館員」(図書館戦争シリーズ)だったので、最初の方「ほんわかし過ぎや~」と突っ込み入れてたのは、内緒です。
で、現実の図書館員はどうなの?といえば、M市図書館!もうちょっと秋葉図書館を見習ってくれ!著者名の並びがめちゃくちゃ、カウンター内でおしゃべりに興じて利用者が来ているのにも気がつかない、レファレンスも全然あてにならない・・・。勘弁してくれよぅ~。

(2007.11.14 読了)

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この記事へのコメント

  • すずな

    こんにちは。
    図書館好きにはたまらない作品でしたね!ついつい自分が利用している図書館と比べてしまったりもしましたけど^^;
    続編、読みたいですね~。『水田のまんなかで』には爆笑させてもらいました!
    2007年11月15日 10:22
  • エビノート

    この本に登場する本も、何だか素敵な感じの本ばかりで、そちらにも興味が出てきちゃいますね。
    登場する司書たちが皆、本が好き、読書が好きだからこそだなぁ~と思いました。
    こんな図書館があったら入り浸りたいです。
    続編、読みたいですねぇ~。
    2007年11月15日 20:46
  • 水無月・R

    >すずなさん。
    ウケて頂き、ありがとうございます(^^)。
    まじめにやれ!というツッコミが来るかと・・・(笑)。
    水田だったら、カエルの声とか聞こえてきそう・・・。のどかだ~。

    >エビノートさん。
    私も気になる本がたくさん出てきました。能勢さんの奥さんの言ってた本、特に気になります。誇り高い女性が主役、ってだけで非常に興味が。あちこち読書ブログ巡りしたんですが、この本についてはみなさん、情報ナシのようです。
    ああ~、気になる~。
    2007年11月15日 22:43
  • まみみ

    こんばんは。
    そうだ、森谷さんは「七姫幻想」出してた人だ!!とこちらで気付きました。そちらもぜひ読んでみなくちゃ!!
    日常の謎系ミステリは最近かなり出てますけど、本好きの心の琴線に触れるいいお話でした^^
    2007年11月16日 00:02
  • june

    確かに図書館戦争の図書館を想像してしまうと、ツッコミを入れたくなるかも(^u^)
    もう「水田のまんなか」でも「稲穂のまんなか」でもいいから、続編だしてくれるといいですね。
    2007年11月16日 16:04
  • 水無月・R

    >まみみさん。
    『七姫幻想』、良かったですよ~。ぜひぜひ読んでください!
    図書館好きにはたまらない、内情満載・ニヤニヤし処たくさんな、良い作品でしたね~♪

    >juneさん。
    図書館戦争、最終巻が出ましたねぇ。只今購入リクエスト中です。…って、M市図書館、リクエストされる前に発売日に買ってくれよ・・・(-_-;)。
    秋葉図書館の、ささやかな事件、ぜひ読みたいですよね~。そして、司書さんのお仕事をもっと知りたい!出してほしいな~、出してくれないかな~(笑)。
    2007年11月16日 20:57
  • やぎっちょ

    水無月・Rさんこんばんは♪
    今度は森谷明子さんを読んでみました。明日はまた長野さんを読んでみます。いろんなブロガーさんのを読んでいるとやはり図書館が舞台であるのが大きなポイントのようですね。本隙さんならそれだけで心動かされてしまいます。
    めでたくも近日図書館を覚えたところなので、年末にもう一度借りに行く予定です!
    ご紹介ありがとうございました!
    2007年12月24日 19:14
  • 水無月・R

    やぎっちょさん、ありがとうございます(^^)。
    本好き、図書館好きにはたまらない作品ですよね!
    水無月・Rは、経済的事情(笑)から全くの図書館派なので、転勤のたびに、引っ越し先の市役所ホームページを探し、真っ先に図書館のページに行ってしまいます(^_^;)。
    最近M市図書館も多少進化しまして、インターネット予約ができるようになりました。ありがたや。
    2007年12月24日 21:56
  • 苗坊

    こんばんは^^
    今更ながら読みました。
    図書館と本好きにはたまらない素敵な作品でした。作品の中で図書館員なら知ってて当たり前と言って数作作品が出てきましたが私は読んでいませんでした^^;ちょっと悔しい。
    続編が楽しみです。人間関係は変わっていないのか、文子の恋愛模様に変化はあるのか、色々楽しみです^^
    2015年01月22日 20:16
  • 水無月・R

    苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
    続編、ホントに楽しみですね。
    等身大の図書館のほっとできる物語だといいなぁ。
    あぁ、そういえば『図書館員なら云々』という本、ありましたねぇ。なんという本だったかは覚えてないんですが、私も「読んでない…」と思った記憶があります。いえ、図書館員だったことはありませんが(^_^;)。
    2015年01月22日 20:41

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