あの【バチスタ・スキャンダル】から遡ること約20年。(←どっかで書いたようなフレーズ(笑))
医療現場が掻き乱されていた『ブラックペアン1988』の裏側で、医学生たちの華麗な戦いは繰り広げられていた。
うおぉぉ~、海堂尊さん、相変わらずの作品間リンクが複雑だ~!でも、全然破綻がないから、すごいわッ!
『チーム・バチスタの栄光』を始めとする『バチスタ』シリーズでジェネラル・ルージュとして君臨していた速水晃一が、学生剣士として真摯な思いをぶつけ合う、その相手は『ジーン・ワルツ』で曾根崎理恵に陥れられた、あの清川吾郎。
イケメン対決ですね!しかも剣道ですよ!武士道ですね!
最近『武士道シックスティーン』や『武士道セブンティーン』で私的にすっかりおなじみになった、剣道という青春武道の物語です。
飛び散る汗!好敵手と対峙して盛り上がる緊張感!そして自尊心をかけてお互いが影響し合い、高みを目指して飛翔する、その高みの輝き!いや~、爽快でございました。
『ブラックペアン1988』では熱血だった高階、こちら『ひかりの剣』では顧問として、腹黒タヌキぶりをご披露。若者たちに心の中で「オッサン」やら「ジジイ」と呼ばれてたりします。「帝華大の阿修羅」という通り名は、阿修羅みたいに幾組も腕があるように見える、電光石火の斬り込みという剣道学生時代の型からだったのか!
そして今は、竹刀ではなくメスで患者の命をやりとりする、真剣勝負の世界にいる高階。
・・・高階院長(私的にはバチスタ時点での呼称が一番しっくりくるので、あえてこう呼びます)、カッコいいじゃん。
しっかし、あの帝華大の清川や東城大の速水も、学生時代は普通にサークル(体育会系だけど)で青春してたんだ~。なんだか医学生さんなんて、実験・解剖・国家試験などで忙しくて、こんなに部活動を極めるなんて想像だにしませんでしたね。ちょっとだけ出てきた、田口センセもがんがんトンネル魔人な島津も、マージャンなどしたりと、フツーに学生っぽい生活を送ってます。そうそう、病院実習で、田口センセらしい抵抗があったところ、ちょっと嬉しかったですね。
飄々としつつも、一度負けた相手に再度負けるわけにはいかないというプライドを持って成長する清川。部員たちに対する責任感の余り、自分を狭めていたことを高階に指摘され、伸びゆく速水。そして、どちらにも情報開示したり、漏らしたりと学生たちを翻弄する、高階。ううむ~。青春だなぁ。
新キャラ、清川の弟・志郎、朝比奈ひかり、帝華大剣道部女責の塚本なんかも、今後別の作品に出てくるんじゃないかしらん。ていうか、期待してます。みんな非ッ常~に、キャラが立ってるんだもの。
今回は医療問題というよりは青春武道もの。でも、医大の部活動に人材不足をもたらす入学者数減は、「医療費亡国論」に影響されたもので・・・という、医療界の問題提起も一応含まれてました。こういう因果で、今の医療界にこんな問題が、というのを素人にもわかるように小説化してくれる海堂さん。しかも面白い。素晴らしいですなぁ。
・・・さて、そろそろ白鳥が暴れる作品も読みたくなってきました。ここのところ、ご無沙汰ですもんね。
火喰い鳥な白鳥が暴れまわり、トホホな田口センセが状況に押し流される、あの爽快なストーリー展開、すっごく面白いもん。
(2008.10.07 読了)
この記事へのコメント
じゅずじ
まぁ確かに真剣勝負なんでしょうけど、設定にちょっと笑えました。
若きしの日々、みんながそれぞれ青春していたようで楽しめました。
「医療費亡国論」、医者の実態をちゃんと把握して法整備して欲しいものです。
水無月・R
・・・竹刀をメスに持ち替え、日々鍛錬してるから剣道の腕は鈍ってない、という設定は突っ込んでもいいんですかね(笑)。
医療費亡国論、確かにタクシー代わりに救急車を使う人がいたり、やたら薬だけ欲しがる患者がいたり、検証しなくてはいけない部分は多いと思いますが、無医村などの地域格差、新技術の導入など、もっと国民の側に立った政策を進めてほしいですよね。
藍色
ジェネラルは学生時代からカッコよかったとか、清川は女難にあってたとか(笑)。一連の作品を読み続けてると、あちこち繋がっててなんだかもう楽しくなってきてしまいますね。
青春スポーツ小説としても、面白かったです。
すずな
海堂さんのスポーツ小説って・・・とちょっと不安になりながら読み始めたんですが、気がつくと夢中になって読んでいました。熱かったですね!!
高階の狸親父っぷりがツボでした(笑)
私もそろそろ白鳥に再会したいです。。。
水無月・R
清川、女難・・・(笑)。
確かに清川は女難の相が出てるかも(^_^;)。
海堂さんの作品のリンクは、素晴らしいです。読んでて「このキャラはもしかして別作品に出てなかったかな、いやこれから出るのかも?」とワクワクしちゃいます。
>すずなさん。
医療問題とスポーツがどうつながるのか、私も少々気になってたんですが、全く心配の必要なかったですね!
高階院長のタヌキは、筋金入りってことですね(笑)。
エビノート
『武士道シックスティーン』シリーズの男性版?男同士の剣道対決も読み応えがあって楽しかったです。
次は、いよいよ田口&白鳥が帰ってきますね~。発売日が待ち遠しい!
水無月・R
海堂作品と伊坂作品は、人物相関図が欲しいですよね(笑)。私も記憶力ダダ漏れなので・・・。
速水VS清川、爽やかでカッコ良くて、とても素敵でした~♪
次作は火喰い鳥とアンラッキー中年が大活躍なツッコミ処と笑いが満載なストーリー?、楽しみですよね~!
香桑
知り合いのお医者さんたちの中には、確かに学生時代には麻雀をしていたという話もよく聞きますし、大学に入ってからラグビー部に初めて入ったという人もいたりして、こういうノリだったのかな?と知り合いの学生時代を覗くような楽しみがありました。
高階さんが素敵すぎです。
水無月・R
はぁ~、医学生さんも、フリーダムでモラトリアムな大学生活を楽しんでるんですねぇ。
高階院長は、狸ですよねぇ。熱血なところもあり、なかなかに深い人物です。
海堂さんのあちこちのリンクが楽しみでたまりません。
山手のドルフィン
医療ものじゃないのか~と最初いまいちページをめくる手が進まなかったのですが、やっぱり速水先生かっちょいいですね!
最後の高階先生の速水・清川評がなかなかよかったです。
水無月・R
医学生の部活動という異色の物語でしたが、非常に面白かったですね。
ジェネラル・速水の片鱗がすでにうかがえ、カッコいいなぁ~とほれぼれしてしまいました。