『死因不明社会』/海堂尊 ○

死因不明社会.png
ええ・・・水無月・Rは、早とちりですよ・・・(-_-;)。
図書館の検索機で海堂尊と入れて、『死因不明社会』は未読だな~と思い、職員さんに本を出してもらい、確認もせずに家に帰って、よくよく見たらば・・・・。
これ、小説じゃないし。
学術書ではなくて、一般の人でも読めるような内容ですが、海堂さんが物語の中で提唱している「死亡時医学検索をAiで行う」という主張の専門書・・・と言っていいんですかね。
いや~、水無月・R、無知なもので。こういう分類にはお手上げ・・・あはは。

とりあえず、頑張って読みました。
海堂さんの次の作品は「田口センセが厚生労働省に殴り込み」という情報もありましたし、予習ってことにしよう・・・と居直って。
そして分かったことは「官僚とは、公僕じゃなくて、公のピンハネをする奴らだ」ということですよ。
海堂さんも病理医という立場から、厚生労働省のお役人さんには、かなり敵愾心をお持ちのようで、少しは割り引く必要があるのかもしれませんが。
でも、無知な一般市民をだまくらかして、税金の無駄遣い、天下り先確保、保身のために情報操作・・・。
・・・いや~、一応、国民のために働こうよ・・・ねぇ。

学術的なことはよく分からなかったけど、白鳥と『螺鈿迷宮』の時風新報・桜宮支社の別宮葉子女史の会話による解説は、なかなかに面白かったし理解しやすかったです。
ただし、やっぱり無教養な私。内容をきちんと紹介することは・・・無理ですな(笑)。

日本の解剖率は2%。先進国中最下位。というのも、予算が付かないは、時間はかかるはで、敬遠されてしまうからなのだ。
それを補い、そして医学進歩のためにも、Ai(オートプシーイメージング=死亡時画像病理診断)が必要となってくる。解剖とAiを組み合わせれば、飛躍的に情報量は増加、適切な死亡診断が出来る。そして、そこから犯罪発見、また犯罪抑制にすらなるだろう、もちろん死因確定による医療の発展もかなり貢献できる。
それに予算をつけない、厚生労働省はおかしい!ということになるわけですね。

もちろん簡単には、そうは問屋がおろさないんですが、海堂さんの言ってることは、正しいんじゃないんでしょうか。今後の医療に「死亡時医学検索」によって得られる情報がきちんと活かされれば医学は発展する、というのは、きちんと論理にかなってますもの。

なのに、それを抑えようと、暗躍する官僚たち。確かに、予算をつけるためにはどこかを減らさなきゃいけなくて、それに対して既得権の攻防があったりするのかも知れないけど、でも・・・ホントに必要なところに予算を使っているのか?官僚たちは、白鳥の語るような保身オンリーなのではないか、だとするとこれを見逃してはならない、という気がします。
このままで行くと「医療費亡国論」ではなく「官僚亡国」「官僚たちの保身のために国民が疲弊する」ってことになっちゃうんじゃないでしょうか(て言うか、もうなってる?!)。

ただ、いくつかの救いもあります。2007年8月、千葉大学医学部に「Aiセンター」が設立されたこと。日本医師会が2007年10月にAiを今日の基盤に据えるために検討委員会を設置して、活動を始めたこと。
知識無き、声無き、権力無き一般市民ではありますが、この流れを支持したいと思います。

(2008.10.19 読了というか・・・)

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