『カクレカラクリ』/森博嗣 ○

皆様、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。
今年も良い作品に、たくさん出会いたいです。
いえ・・・きっと出会えることでしょう!
そんな今年の記事・第1弾は、森博嗣さんの『カクレカラクリ』です。『スカイ・クロラ』シリーズで「現実感を削ぎ落とした〈キルドレ〉の儚さ」を描き、水無月・Rの陶酔を存分に引き出した作家さんですが、今作は、全く違った世界が展開。
とある村に隠された、百二十年後に動き出すという伝説の「カラクリ」をめぐる、ライトな青春ミステリ(ジャンル分けに自信がないんですが・・・)です。

実は森さんの作品は『すべてがFになる』などが合わなかったので、結構不安だったんですよね~(^_^;)。
幸いにして今度は、理解できない数学の話や類稀な才能の話もなく、割と普通な工学部の大学生&物象部の高校生がメインに出てきて、いかにも楽しげにカラクリの謎を追っていく、というストーリーでしたので、気軽に楽しめましたね。

工学部の学生・郡司と栗城は、古い道具や建物に魅せられる「マニア」であり、同級生の真知花梨にあこがれている。花梨の故郷の村にある廃工場を話題にして、なんと彼女の実家に招かれることに。その村には、村の有力者の2家が、120年前に絡繰(からくり)の天才に依頼した「隠れ絡繰り」があり、今年の祭りの時それが動き出すという。
ただ、それがどこにあるのかは誰も分からないし、120年もの間どうやって時間をカウントしていたのかなども不明で、ほぼ唯の伝説と思われていた。
郡司・栗城・花梨・花梨の妹の玲奈・玲奈の友達の太一(真知家と対立する山添家の跡取り)の5人が、120年前の絡繰職人の子孫である磯貝先生(物象部顧問)の手助けを受けながら、「隠れ絡繰り」を探す。
磯貝家の資料を読みなおしたり、村に残る不思議な文様を読み解こうとしたり、カンを働かせたりして、ついに5人と先生は隠れ絡繰りの駆動部を発見するのだが、それはすでに動いていなかった。
ところが祭り当日、神社で「隠れ絡繰り」が動き出す。そして、駆動部には、ある秘密の文書が現れ・・・。真知家と山添家の対立の真の理由が明らかになる。

とまあ、こんな物語である。ミステリと言っても、誰かが死にそうになったり、トリックがあって誰かが騙されるわけではなく、5人の若者が「隠れ絡繰り」を探しながらも楽しい夏休みを過ごす、って感じ。
最初の方に出てきた不思議な文様の謎は、見ただけで解けちゃいました。逆に、途中でこれを解く暗号のカギとして出てきた「風静蝶休」の方が、分からなかったです。

両家の対立の真の理由、そして60年前に明かされた秘密、両家の現当主たちの過去の出来事なんかが、あっさりと最後の方で明らかにされるんですけど、それを隠すためにあの大がかりな「カラクリ」を作ったというのは、・・・なんか手が込み過ぎてて、なんでそこまで?って気もしました。でもまあ、そういうことなのかしらん・・・。今後は両家は仲良くやっていけるのかな?実は玲奈と太一は恋人同士らしいですし、ね。

一番最後に「この作品はコカ・コーラ120周年を記念した作品」というような書き添えがあったんですけど、・・・確かにコーラは頻繁に出てきたけど、全然ストーリーに関係がないような・・・。まあ、「謎のカギはコーラだ」みたいなことになると、それはそれでわざとらしいというか、うっとおしくなるから、こんな感じでいいのかしらん。

あっさり、サクサクと読めました。
・・・え?だったら、前の記事UPから時間が経ち過ぎ?
ダンナ実家に正月帰省、子供たち冬休みで、全然落ち着いて読めなかったんですよぅ~(←言い訳)。
明日から学校、明後日から幼稚園も始まるので、もう少し落ち着けると思います(笑)。
あ~あ、ダンナ実家・・・今年も疲れたよ(^_^;)。

(2009.01.05 読了)
カクレカラクリ
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ダ・ヴィンチブックス 著者:森博嗣出版社:メディアファクトリーサイズ:単行本ページ数:301p発行年


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