どんなに話しても、通じ合えないのは、考え方が別次元だから?ある日突然、同居することになった伯母の奇矯な言動は、彼女たち家族に多大なる迷惑と恐怖を与えた・・・。
水無月・R大絶賛!読んだら即萌え!萌えの女神降臨!
の有川浩さんの作品ですが、今回の「ヒトモドキ」は、萌えとは対極にありました。

ですがやっぱり有川さんですからね~。いいですよ~。ホント、色んな作風を出してきますね、有川さん。
今回飛び道具(巨大生物や大規模戦闘)もなければ恋愛要素もないという、今までの有川さんとはまた違った作風です。最初はあれあれ・・・?という感じなんですが、それでもどんどん惹き込まれてしまいました。
えぇ?この話、どこへ落ち着くの・・・?!大丈夫なの?というドキドキ感が・・・。
ケチというレベルを全く超えて、リサイクルと称してごみを拾い集めてくる伯母。近所のパン屋からパンの耳を貰って来ては、カビが生えてもその部分をちぎって食べ、さらにまた貰ってくる。
迷惑極まりない上に図々しい伯母に振り回され、あちこちからの苦情に対応し、あまりの汚さにしびれを切らした主人公・彼女は家出を決行、伯母はやっと出ていくことに。
だが、伯母は市内のビルの住み込み管理人になったうえ、あちこちの清掃アルバイトを掛け持ちして、どこにでも出没する。彼女の弟を、老後の世話人に仕立てようと付きまとい、お菓子→小金→家&大額通帳とチラつかせるものだんだんレベルアップする始末。だが弟はその危険に気付き、伯母の排除にかかる。伯母は、ついには彼女の結婚式にまで着古したジャージで現れて大騒ぎし、後にその伯母とのことが原因で離婚に至ってしまう。
そして、上京して暮らしていた彼女の元に、母から電話がかかってくる。伯母が変死したという。ゴミ屋敷と化した家の中で、孤独死していたと。彼女は爆笑し、弟は快哉を叫びそうになった。
自分の心に取り憑いた伯母を落とすために伯母の物語を描いた彼女は、伯母の事を振り返る。伯母は、愛して欲しかったのだろうか。そのやり方を知らなかっただけだったのだろうか。「ヒトモドキ」だった伯母。次は「人」に生まれ変われるといい、と彼女は思った。
実を言うと私は、物を多く持つのが苦手である。自分の管理できる範囲でしか物を持ちたくない。使わないモノは、場所ふさぎだから処分したい。なので、伯母の集め癖は、非常に読んでいて不愉快だった。人の迷惑になり、不快感を与えるような言動と相まって、私の周りにはこんな人間がいなくて良かった!と思ってしまったほどである。
彼女の弟が、伯母を「アレは人間じゃなくてヒトモドキだ」というのは、全くもって言い得て妙だと思いました。
伯母にはきっと、伯母の論理があったんでしょうけどね。話しても噛み合わないし、向こうは譲ることなく、猛然と自分のやりたいようにし、人を巻き込もうとする。
たぶんウチの子供たちなら、伯母に付け込まれてしまう気がする・・・。ああ、怖いなぁ・・・!
そんな伯母を嫌い抜いき、付け込ませることなく来た姉弟。姉弟も辛かっただろう。伯母は「ヒトモドキ」だったのだから。
そんな伯母でも、最後に思いやることが出来た彼女は、器が大きいなぁ・・・。
ちなみに。「叔母の物語を描いた彼女」、というのがちょっと引っかかります。『ヒトモドキ』というタイトルの魔除けのお札・・・?入れ子になってません?さりげなく。これは・・・追及すると怖い事になりそうですね(笑)。
ちなみに、『Story Seller vol.2』(小説新潮09年5月号別冊)の記事はコチラをどうぞ。
(2009.06.16 読了)
この記事へのコメント
香桑
片付けが苦手で、古い本や服をなかなか処分できないのです。
いったん、自分の管理できる範囲を超えると、モノって本当に気持ちのお荷物になりますね……。
水無月・Rさんを見習わなくちゃ!
白い怪鳥
こちらからもお返しいたします。
僕も、じつは片付けが苦手。(-_-;)
まだまだ「ヒト」ではあると思っています。
「ヒトモドキ」にならないよう、気をつけたいと痛感しました。
↑読んだ後、掃除が進む進む!w(^_^;)
すずな
私も上のお二人と同じように、片付けは苦手なのです;;;とりあえず「ヒト」であるよう、水無月・Rさんを見習って頑張ろう!と拳を握り締めました^^;
水無月・R
引っ越し続きの人生を送ってきた結果(人生38年にして13回(笑))、物を多く持つと結局面倒臭いということが分かりまして・・・(^_^;)。単に、人としてのキャパが小さすぎるだけということですよ~あはは。
>白い怪鳥さん、ありがとうございます(^^)。
私も読了後、溜まり始めてた紙袋やレジ袋の整理などやりました(笑)。
「ヒトモドキ」のレベルは相当向こうにあると思いますので、大丈夫ですよ♪
>すずなさん、ありがとうございます(^^)。
こういう作風も、いいですよね。現実的でうわぁ~、という物語でも、キチンと有川さんらしい柔らかく暖かい終わり方で、良かったです。
いやいやホント、脳の大部分を妄想のために使ってるせいで現実の物事に対処しきれないから、とにかく少なく!ってことなんだと思います(笑)。
相変わらずツッコミ処満載な私・・・(^_^;)。