ヨーロッパの架空の小国・ソヴュールにある、聖マルグリット学園。自国の貴族の子弟、そして同盟国の優秀な留学生が通うその学園に、極東の島国・日本からやってきた留学生・久城一弥。
真面目で優秀な彼が、何故か気に入られてしまったのが、学園の図書館塔に入り浸り、学園の外に出ることを許されていないという少女・ヴィクトリカ。
彼女は類稀なる頭脳の持ち主なのだが・・・そのせいでいつも退屈を持て余しており、退屈を紛らわせろ~とばかりに一弥を振り回すのである。
そんな彼らの第2の事件。桜庭一樹さんが描く、ゴシックミステリ、『GOSICKⅡ』は、ヴィクトリカの母の謎へと迫る。
うふふ・・・やっぱり一弥がトホホで、大変楽しかったわ~(笑)。小柄で人形のように可愛いのにしわがれ声で、辛辣でぶっきらぼうなヴィクトリカにぶんぶん振り回され、それでも彼女を守ろうと一生懸命なんだけど、それは恋心じゃなくて友情、なのがいい。
「灰色狼の子孫」に呼びかける新聞広告を目にしたヴィクトリカは、血相を変えて外出を禁じられている学園を抜け出し、一弥をお供にソヴュール王国の奥地、ホロヴィッツという町に向かう。そして、途中同道することになった修道女のミルドレッド、美大の学生アラン・デリク・ラウールらと共に、ホロヴィッツのさらに奥にある灰色狼の村と噂される正式名称のない村へ。そこは、ヴィクトリカの母・コルデリア・ギャロの出身地で、ヴィクトリカはコルデリアの罪を晴らしに来たのだと言う。
村はつり橋で外界と切り離されている。村の人々は皆、小柄で金髪で美しく、古風な服装をしている。
過去、村で殺人を犯し追放されたコルデリアの娘・ヴィクトリカの登場に緊張をはらみつつ、村の夏至祭りのさなか、アランとラウールが相次いで殺され、ヴィクトリカはとうとう母の冤罪を証明する。
ヴィクトリカの母に罪をなすりつけたものが村に火を付け、その混乱の中を、ヴィクトリカ・一弥・ミルドレッド・ヴィクトリカの兄のブロワ警部・デリク・村の青年アンブローズの6人は脱出。
そして、それぞれの場所へ戻って行く(デリクは逮捕だけど)。
今回、ヴィクトリカが有能であるがゆえに異端者として追われていた一族の末裔であるということが分かってきた。でもまだまだ、母・コルデリアが大戦のときに引き起こした様々な事ってなんだろう?とかブロワ家の男子のヘアスタイルの謎(笑)とか、気になることはいっぱいあるし、今回登場した新キャラ、お金が大好きでお金の話のときに色気がぶわっと出る修道女・ミルドレッドもこれからも出てきそうな感じ。
それに、一弥の同級生・アブリルちゃんはどうも、一弥に気があるらしい。一弥は全然気づいてないけど(笑)。
村の祭りの占いに、お互いに「相手とずっと一緒にいられるか」を尋ねていたりして、実はヴィクトリカも一弥の存在は特別。
焼け落ちるつり橋からの脱出の時も、崖から落ちた一弥の腕を必死でつかんで、小さな体の力のかぎり助けようとする。どんなに手が痛くても、絶対離さない、大事な友達だから・・・と(もちろんヴィクトリカがそれを口に出したりはしない)。
中途半端な秀才だの、凡人だのとけなされながらも、ヴィクトリカが知恵の泉から混沌(カオス)のかけらを再構築し、言語化するのを、無償で頼めるのは、一弥だけらしい。
ヴィクトリカの兄・グレヴィールは過去かなりの代償をむしり取られたらしい。そのせいで、グレヴィールはヴィクトリカのところへ訪れても、彼女の存在を無視し一弥にだけ話しかける。
え~、そうなんだ。前作読んだときには、もしかしたら学園に閉じ込められている妹の無聊を慰めようと、難問を一弥にかこつけて持ってきてるのかと思ってたんだけど。
いや、一応そういうのもありつつ、一族の中での義務としての妹の見張り、過去のやり取り上の不快感も全部ひっくるめて、グレヴィールはヴィクトリカを扱いかねているんだ・・・ということにしておこう、私の中では(笑)。
そうそう、今回は角川文庫版じゃなくて、富士見ミステリー文庫版で読んだんですが、挿絵がすんごく可愛いです。ヴィクトリカが占いを聞いた後に、目に涙をためてほっぺたを膨らませている絵なんか、ホントに可愛い・・・。一弥のトホホな感じも、よく出てました(笑)。
(2010.04.26 読了)
水無月・Rの『GOSICK』シリーズ記事
この記事へのコメント
苗坊
このシリーズ好きです!
といってもまだ2冊しか読んでいませんが^^;数冊持っているのですがなかなか読めず。
一弥が報われない感じがいいんですよねぇ。
挿絵がとっても可愛いので好きです^^
アブリルのツンデレっぷりも可愛いですし。
そして第2弾ではヴィクトリカが閉じ込められている理由がちょっと分かりましたよね。
分かったって言うのかなぁ^^;まだまだ気になります。
そして2人は離れちゃうの!?ってところも気になりますし。
早く続きを読まなければ。
水無月・R
一弥・・・ホント、報われない上に鈍すぎて(笑)。このトホホ感が私的に大変ツボなのです♪
ヴィクトリカのお母さんが、大戦中に何をやらかしたのか、気になりますねぇ。二重スパイかなぁ?それとも、ソヴュール王国を存亡の危機に貶めるようなことがあったとか?想像はどんどん広がっちゃいますよね。
本編で6巻、番外編で3巻も出てるんですねぇ。楽しみです♪
角川文庫版より、富士見文庫版の方がイラストが可愛くて好きです。
幸い私の住むN市は富士見文庫版を所蔵してるので、ヴィクトリカ可愛い!とか一弥トホホ!とか喜びながら、読めそうです。
june
このシリーズいいですねぇ。今回も一弥のトホホは全開でしたね(笑)。でも鈍いところも含めてかわいいんですけど♪
それにしてもイラストが見たいです!私もどうにかして富士見ミステリー文庫の方探してみます!
ヴィクトリカのお母さんのことも、ブロワ一族の男性の髪形のことも気になるので(笑)これからも読んでいきます。
水無月・R
一弥、最高(笑)!
正統派日本男児なのに、トホホなところがとても・・・。
もう~、オバちゃんとしては「こいつぅ~!」と頭をぐりぐりしてあげたくなりますね(←大迷惑)。
今後の一弥の、トホホ加減のグレードアップに期待!ですね(笑)。
そろそろ、Ⅲの予約を入れようかな~♪