うわぁ・・・。コレはまた(笑)。
どうも私、カズオ・イシグロさんの作品は、長編の方がいいみたいですね~。
サブタイトル~言葉と夕暮れをめぐる 五つの物語~のとおり、夕暮れ迫る中に繰り広げられるささやかな音楽と微妙な人間関係の不和が、静かに、物悲しく漂っていました。
ただねぇ・・・ちょっと、難しかった(笑)。
『夜想曲集』、というタイトルからショパンのノクターンを勝手に想像し、その優美なイメージで読み始めちゃったのが、失敗だったかもなぁ・・・。
「老歌手」
有名な老歌手に頼まれ、ゴンドラで彼の歌の伴奏をすることになったギタリスト。老歌手は、妻に愛の歌を送るという。
「降っても晴れても」
友人夫妻の不和をとりなすハメになったぼくは、何故か奇矯なふるまいをしてしまい。
「モールバンヒルズ」
姉夫婦の家に居候する青年が出会ったのは、旅の音楽家夫婦。彼らの不和と、音楽性は。
「夜想曲集」
離婚をきっかけに美容整形した男は、同じく整形した有名人の元妻と共に、包帯まみれのまま療養滞在中のホテルを探検をする。
「チェリスト」
若きチェリストに訪れた転機。言葉だけで彼を指導する女は、何故チェロを弾かないのか。
カズオ・イシグロさんのよさは、古き良き礼儀正しいイギリス紳士的な品のよさだと勝手に思ってるんですが、今回それがあまり感じられなかった。
いえ、下品とかそんなことは全くないんだけど、短編なせいか、世界観が軽いんですよね。
もっと重厚で、哀愁の漂う頑なさが、欲しかったなぁ・・・と思うのですよ。
なんだろう、・・・ううむぅ~。
それぞれの物語に男女の不和があり、その背後にあるのは愛し愛された記憶と薄れゆく愛情と見切らなければならないと思い込む心の弱さ。それを緩和させようと音楽が織り込まれるのだけれど、その音楽が心に響くほどに、不和(理解不足)は広がってゆく。
そんな印象を受けました。
美しい音楽は、すべてに幸せを運ぶものである、という美しい幻想が、少しずつ崩壊していく物悲しさ。
音楽は、確かに何かを生み出すことが出来るけれど、同じくして終息させ失わせる力もあるのだと、哀しいかな、理解させられてしまったような。
何かを失うことで、新しく得ることもあろう。
より良きものを新しく得ることで、失ってしまう物もあろう。
そんな真理もある・・・と、秘かに教えられた作品です。
(でも多分、知っていたのに見ぬふりをしたかった・・・ともいえますね。)
(2010.09.04 読了)


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