織田家の継承者は織田信長の孫・2歳の三法師に決まった。
最終的な勝者は豊臣秀吉とされている。
さて、小説やドラマや映画にも何度も取り上げられ、様々な角度から描かれてきたこの題材を、稀代のコメディ脚本家(&小説家&劇作家?)三谷幸喜さんはどう描くのか?!
三谷さんの映画って、結構好きです。映画館に行くことはないんだけど、TVで放映されると、ついつい見ちゃいますね。
そしてぶぶぶ・・・と笑う。にゃはは、とニヤニヤする。あの間合いと捻りはかなり、好きですねぇ私。
あ、大河ドラマ『新選組!』も好きでした。芹沢鴨がよかったわ~(#^.^#)。
しかし三谷さん、思い切りましたなぁ(笑)。
物語のすべてを、会議関係者のモノローグや会議記録などという形で表現してるので、ほぼ全部一人称。
そして、現代語訳でカタカナ語続出。「プラン」だの「人生のピーク」だの、挙句の果てには「俺ってピュア」。・・・戦国武将がピュアって(笑)。
それぞれが胸に抱いている、欲やら意地やらがストレートに述懐される。ていうか、ダダ漏れ過ぎです皆さん(笑)。
取り繕った表面から、ボロボロ本音がこぼれ出てきて、おかしいのなんの。戦国武将も取り巻く女性たちも、人間らしすぎます(笑)。
まあ、ストーリーは語る必要なしでしょう。史実どおりの結果になるに至る、それぞれの心理戦を描いたものですから。心理戦をまとめて書けるようなアタマ、私にはないしな~(笑)。
なので、思いついたことをちょこちょこと書いていきます。
いいなと思ったのは、清州城での会議の裏方を担う前田玄以。接待役の責任者として、家来衆の前でふんぞり返って訓辞を垂れ、指示を出し、その合間で「自分は有能な事務方で・・・」なんて独り言がちょくちょくはさまれる。
いや、実際有能なんだと思うのよ。大勢の織田家家臣が押し寄せてくるのをさばき、会議のセッティングや食事に気を配り、会議前の娯楽〈イノシシ狩り〉の準備もばっちり、会議が始まれば書記を務め…それらを、そつなくこなしてるんだもの。
なのに、なんでか報われない感があるのよね~。多分、会議関係者からは、なんとも思われてないところが、哀れです(笑)。いわゆるトホホの香りが致しますね♪
いいねぇ、トホホには、ホント愛がある

秀吉が、人心掌握術に長け、かつ先を読む力もあり、しかしながらなんとも計算高く、いい奴とは絶対に言えないってのは、鉄板ですねぇ。ただ、この物語を読んで「それでも、秀吉が会議に勝利して、のちのち天下を取るというのは必然だったのかな~」という気はしましたね。
無骨一辺倒かと思ってた柴田勝家も時にはパフォーマンスを仕掛ける(しかも前田利家すら気づかない)し、池田恒興が意外なところでキーパーソンになったり、お市が秀吉嫌い極まり過ぎて勝家に色仕掛け(加齢臭を我慢して(笑))をしたり、いろんなことが起こるんだけど、一番笑ったのが〈第一回丹羽長秀杯夏のイノシシ狩り〉である。
まず前田玄以が名づけた〈第一回丹羽長秀杯夏のイノシシ狩り〉って大仰なタイトルも笑える。
勿論、織田信雄が残念すぎることや、黒田官兵衛の横やりの厚かましさとか、イノシシがとにかく右往左往し、それを追う人たちが輪をかけてドタバタすることとか、参加者たちが子供のけんか並みのやり取りをしてることなんかも、笑える。
信孝の勝利コメント、信雄の敗戦コメントも、ニヤニヤしちゃうんだけど、何が一番すごいって『仕留められたイノシシのモノローグ』が入ってることである。
仕留められたイノシシ・・・(笑)。もう死んでるのに(笑)。獣なのに(笑)。
信孝に「きちんと仕留めてくれてありがとう」なんて感謝してる。さらに、「信雄公?あれはまじでやばいね。」って言葉で〆めるって、どうよ(笑)。
一瞬だけ、ファンタジーになるところが、いいですね。
しかし、武将たちもだけど、女たちもなかなかに切れ者ぞろい。お市の方はもちろん、寧(秀吉の妻)も暗躍するし、そしてもう一人、執念の人がいます。いやぁ、この人の執念、結構すごい。そして、すごく用意周到。怖ろしい~。
歴史に詳しくない人も、明るく軽く楽しめます。
まあ、重厚な歴史ものがいいという人からは、かなり批判を受けそうな感じですが(^_^;)。
私は、ぶはぶは笑いながら、一気読みしちゃいました。最近には珍しく。
大変面白かったです~♪
(2013.06.17 読了)
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