『あとかた』/千早茜 ○

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少しずつリンクする、人々の生活。危ういバランスで、ゆらゆらと危なっかしく生きている感じ。
千早茜さんが描いているのは、薄墨のようにうっすらと生きている彼らの不確かな繋がり感なのかなって、感じました。ちょっとずつリンクする人々を描くの、上手ですねぇ。
『あとかた』というひらがなのタイトル。最初の一章めで姿を消してしまう、男。その男にちょっとずつかかわった者たちの、現実感の薄い、それでいて剃刀のように鋭い、生活。

各章のひらがな三文字の章タイトルが、温かいのかと思いきや、足元をすくわれるかのような読後感。ささやかなつながりがあっても、やはり人はそれぞれ何を思うかは別。それでも、姿を消すと、心のどこかに、小さな爪痕が残る。
そんな切なさと、淋しさを何処かに感じても、人はそれぞれ生きていく。

「うろこ」のサキと松本が、いい。弱くて、苦しくて、強がってる二人が少しずつほぐれて、使い捨てのコンタクトレンズを踏んで割ってしまうように、自分を守るカラを割る瞬間が好きだと思いました。二人が、これからも互いに笑顔を見たいと思っていられたら、いいなぁ。
彼らは、前進した。彼らは、まだ若い。何が幸せかは人それぞれだけれど、それでも彼らが一緒に前を向いて進んでいけたらいいな、と思いました。うん。

(2013.12.10 読了)

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最近妙に気忙しく、全然読書ができません(T_T)。昔は、ちょっとした隙間時間に細切れで読んでも、TVがついてても物語に集中できたんですが、どうも切り替えが下手になったようで、読書スピードがガクッと落ちました。ううう。
来年は、もうちょっと集中したいなぁ。〈読みたい本リスト〉は長くなるばかり・・・

この記事へのコメント

  • 苗坊

    こんばんは^^
    松本とサキの関係は危うくてドキドキしましたけど、最後はほっとしました。
    2人は若いんですから、未来は明るいですよね。前を向いて良かったです。
    私は水草君の言う言葉が好きでした。
    2013年12月26日 18:21
  • すずな

    千早さんの危うい感じが堪らなく好きなんですが、この連作集もそんな雰囲気が存分に感じられて良かったです。
    切ないながらも、最後はちょっと希望が持てるようなそんなラストも良かったです。
    2013年12月27日 12:52
  • 水無月・R

    苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
    水草君も、ゆらゆらとしているのに、なんだかしっかり芯が通ってる感じがして、いいですね。
    優しいだけじゃなくて、強いんだと思います。
    2013年12月27日 22:56
  • 水無月・R

    すずなさん、ありがとうございます(^^)。
    生きづらい人たちが、現実味薄くそれでも自分なりに一生懸命生きている感じが、切なくなりました。
    ゆっくりと、少しずつ光がさしていくようなラストが良かったですね。
    2013年12月27日 23:00

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