彦根の物語は、いつも権謀術数渦巻きすぎて、タイト・ロープ過ぎて、読んでるうちにどんどん追い詰められて苦しくなってしまいます。
海堂尊さんの描く、〈桜宮サーガ〉の番外編、『ナニワ・モンスター』に直接かかわるその後の攻防の物語、『スカラムーシュ・ムーン』は400ページ越え、しかも2段組みという大ボリュームでした…。読むのにすんごい時間かかりました…(^_^;)。
いやホント、彦根の物語っていつもジェットコースター展開で、読んでてついて行くのが大変なんですが、今作も相変わらずでしたわ。しかも大体、彦根が関わるとその計画は最終的に僅差で負けるか、刺し違えの引き分けになってしまう。実はその負けの先に彦根の目指すところがあるようなんですが、凡人の私にはその道筋が全くもって理解できませぬ。
それでも一生懸命読んでると、今度は村雨府知事が某元大阪市長を思い起こさせちゃったりして、もうホント嫌んなっちゃう。いや、村雨さんはいい政治家だと思うんですけどね。私、某元市長嫌いなもんで…。
浪速府にワクチン戦争が仕掛けられると予測した彦根は、それに対処するために浪速府独自でのワクチン生産体制を整えるため、新しい有精卵入手ルートを求め、加賀にやってくる。
卵農場・ナナミエッグの社長は難色を示すが、娘の加賀大学院生のまどかはその案に興味を示す。まどかは、幼馴染で同じ大学院研究室所属の拓也(運送会社の跡取り息子)と清一(獣医志望・実は院生ではなく獣医科の6年生)との3人で、毎日10万個の有精卵を四国の極楽寺まで納入することが可能かどうかの検討に入る。
一方、彦根は加賀・難波・極楽寺・桜宮・極北・モナコ・ジュネーヴ・ベネチアを飛び回り、画策する「日本三分の計」と「西日本医療立国」へ向けて綱渡りのような準備と策略を巡らせる。
暗躍する彦根に対し、霞が関も指をくわえて待つなどするわけもなく、無声狂犬・斑鳩が解き放たれ、その部下の雨竜が情報収集と策略実行へ向けての準備を着々と進めていく。
雨竜と彦根の頭脳戦、意外なところで明かされる彦根の二つ名・スカラムーシュの真実、村雨知事の新党結成とその後・・・。
結局、村雨知事は新党旗揚げにはこぎつけたもののその発表時に雨竜の襲撃を受け、資金源が全て幻の金であることを告発されてしまい、その後はお決まりのイメージダウン。彦根は西日本独立から撤退。
国外へ移動させられる雨竜を見送った彦根の隣に現れたシオン。シオンの再登場には、嬉しくなってニヤニヤしちゃいましたね♪
うわ~。毎度のことながら、色んなことをバッサリと切ったはずなのに長々しい要略になってます。しかも、必要エピソードを拾えてるかっていうと、全然拾えてない。
ホント、毎日が伏線(笑)で、この人たち大変だよねぇ・・・私には物語の登場人物は絶対勤まらないなぁと思います(^_^;)。
彦根パートはどうしても難しい話が多いので、多少なりとも理解しようと思うとなかなか進まなくて、正直辛かったです・・・。
それに反して、まどかたちのプチエッグ・ナナミ立ち上げから軌道に乗るまでの色んなストーリーは、サクサクと読めましたね。様々な壁が彼らの前に立ちはだかるけど、若さと情熱で無理にでも乗り越えちゃえるというのが、まあご都合的な面もある気はしますが、読んでて気持ちいいのはホントの話で。
あ、一つ気になったことが。雨竜がプチエッグ・ナナミの鶏たちを狙って夜中に侵入してきた件ですけど、なんで策略派の雨竜が実働しちゃったんでしょうねぇ。そんなの人にやらせる派の人間だと思うんですけど、やっぱり霞ヶ関の穴倉から表に出てきて、調子がくるってたんですかね。
ところで本作、残念なことに、白鳥&田口センセは影すらさしませんでしたなぁ。
またいつか、この人たちの暴れる(田口センセは丸投げされて引きずり回され?る)物語、読みたいです。
勿論、この物語の後、彦根がシオンと向かった九州の物語も。
懐かしの世良先生の現状や、天城先生が結局どうなったかなどが知れたのもよかったです。しかしホント海堂作品のリンク多すぎて、ツライ(笑)。
そんな記憶力がザルな私に心強いお助けサイト、〈海堂尊非公式ファンサイト!登場人物のリンクを見てみよう!〉さん。もうホントにいつもありがとうございます!!
(2016.04.03 読了)
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