もう、これはやられました。
ほっこりしたり、涙したり、ドキドキワクワクしたり・・・、ホントもう参っちゃうなぁ、吉野万理子さん!!
『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』で、表題作「ロバのサイン会」を読んで、ああウサウマくん可愛いよ健気だよ!って心揺さぶられたものですが。
そのすぐあとぐらいに本屋さんに行って、平積みになってる本作『ロバのサイン会』を発見、店頭で喜びのあまり挙動不審になりましたわ♪
いやはや、ウサウマくんだけじゃないもんね。みんな健気で、切なくて、心が暖まって。
出てくる動物たちは、ホントに優しいし、一生懸命生きてて、仕事をしてる動物は仕事に対しての責任感やプライドもあって、こんな風に動物たちが私たち人間を見ててくれるなら、素敵だなぁ…って思いました。
私たち人間も、動物たちに対してあまり驕り高ぶっちゃいけないですな。
「女優のプライド」
チンチラシルバーのリリアン。あの子が見ていてくれるから。女優猫のプライド。
「波乗り5秒前」
バンドウイルカのミント。水族館のショーの仕事。
「おれ害獣」
野生のシカのサンカク。冬を生き延びるために、奈良公園へ遠征し。
「うまれないタマゴ」
グリーンイグアナのネムリン。タマゴを産む。産む。
「お値段100万円」
ティーカッププードルのココア。大事にしてくれる若ちゃんが大事。
「アゲハひとりぼっち」
人に保護されて、早く羽化してしまったジャコウアゲハ。巡り巡ってたどりついた場所。
「青い羽眠る」
セキセイインコのパピプー。蓮くん、ありがとう。
「ロバのサイン会」
ロバのウサウマ。ずっと一緒に旅した山田ちゃんのためにサインを。
あぁ、どの動物もホント健気で一生懸命で、愛おしい。
どの物語が一番好きかって考えても、どれも好きで、優劣つけ難いですよ。
「青い羽眠る」は、ボロボロ泣いちゃったしさ。
「波乗り5秒前」のミントの気持ちを思って複雑になったり、ほっとしたり、水族館に行きたくなったり。
「女優のプライド」のリリアンの心の動きがホントに細やかで、切なくなったり。
「おれ害獣」のサンカクだって、奈良公園への旅路の危険やたどりついてから馴染もうと努力したりとか、角切り行事への恐怖とか、ラストの思いきりとか・・・凄いなって思ったし。
でもやっぱり、表題作「ロバのサイン会」かな。
ウサウマくん、ホントにやさしくて可愛くて、本屋の沢村とのシーンとか、すごくいいなぁって思いました。
TVの番組が終わって、農場に売り払われて、そこへ沢村が迎えに来てくれて。山田ちゃんと再会して、山田ちゃんが幸せになれそうなのを喜んでて。
本屋のサイン会は写真撮影会になっちゃったけど、練習したサインは、ちゃんと山田ちゃんに披露できたもんね。よかったね。うん、ホントに良かったね。
動物プロダクションに所属する動物たちを中心に、ウサウマくんの旅の途中で知り合う動物(虫)達の物語が、とても暖かくて素敵でした。
優しくて、切なくて・・・。読んでる間中、そして読み終わってからも、とても幸せでした。
(2016.05.15 読了)
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