人間嘘発見器・成瀬。演説の達人・響野。スリの名人・久遠。正確無比な体内時計の持ち主・雪子。
伊坂幸太郎さんの9年ぶりの〈ギャングシリーズ〉第3作、『陽気なギャングは三つ数えろ』は、この4人組の2年ぶりの銀行強盗で、幕を開ける。
銀行強盗そのものは成功したのだが、ひょんなことからゴシップ記者と知り合いになってしまい、彼らは脅され追い詰められる。
9年ぶりか~。確かに、ちょっと忘れてるところもありましたが、読み始めたらすぐに入り込めました。
4人とも、相変わらずだなぁ(笑)。特に響野。とにかく喋り捲る。意味あることないこと、散々っぱら喋りまくり、どんどん脱線していくのに、何故か物語を牽引してたりして、絶妙すぎます。
その響野を「はいはい・・・」とあしらう他の3人も、もちろん相変わらずというかより特性がグレードアップしてるかも。
雪子は体内時計だけじゃなく、逃走経路の防犯カメラの位置を計算して映らないようにしたり、映ることで混乱を起こすようにするという、きわめて複雑な役割を担ってるし。
久遠は動物だけじゃなく、昆虫の知識も持っていて計画に活かすし、成瀬の深謀遠慮は各所で炸裂。
そんなグレードアップしてるはずの4人を追い詰めるのは、ゴシップ記者・火尻。事件被害者のプライバシーを晒して読者の好奇心や悪意を煽り、関係者を死に追いやることもあるような、悪質な記事を書く火尻は、自分が借金をしているカード賭博グループを利用して4人組にトラブルを仕掛ける。
火尻にを恨みを持つ別グループと協力して、火尻との対決に挑むギャングたちだが、作戦は次々に後手に回り、追い詰められた最後の最後に・・・・!
やっぱり成瀬が凄い(笑)。どこまで計算だったのか、どこから計算だったのか・・・。全部かもしれないってところが、ホント、とんでもないやつですわ。
結構、ハラハラしてたんですよ。いやきっと大丈夫、そう思いながら、それでも展開はどんどんギャング組へ不利な方向に進んでいくし、火尻は本当に嫌な奴だし。
でもちゃんと、事態をうまいこと片付けたので、安心できました~。敵の敵を利用ね(笑)。自分たちの手は汚さないわけだ~(笑)。ちょっとご都合・・・な気もしますが、まあエンターテイメントとしてスルーですわ♪
4人での会話がポンポンと弾み(まあ大体、響野がしゃべりすぎる)、お互いが本当にそれぞれの能力を信用しあってるから、成瀬がちゃんと説明しなくてもやるべきことをやり、それがどんどん伏線回収になっていく。
まあ、今回は今までほど「怒涛の伏線回収!」って感じなかったんですけど、もしかするとこれは、私が伊坂さんの伏線回収に慣れすぎちゃったのかもしれませんなぁ。
でも、楽しかったです。また4人の活躍を読みたいけど、年々銀行強盗は難しくなってきてるので、どうだろうなぁ。銀行強盗のシーンは無しでも、いいんだけど、私(笑)。
(2017.04.24 読了)
この記事へのコメント
苗坊
このシリーズ、私はあまり長く待たないで1と2を読みましたが、ファンにとっては待ちに待ったですよね^^同じく9年の月日が流れていて4人もいい感じに年を取っていて。そういえば「チルドレン」の続編も年を取ってたなぁ。
時代が変わって銀行強盗もやりにくくなったんでしょうね。やらなくてもいいのですが^^;
4人は相変わらずですが、成瀬は相変わらずすごかったですね。
同じく強盗シーンは無くても良いのでたまに4人に会いたいです^^
水無月・R
ホント銀行強盗ナシでもいいから、この4人とまた会いたいですよね~。
銀行強盗に変わる何か・・・何かいいものないですかねぇ(笑)。
4人の特性、ストーリーに上手く絡んで、楽しいですよね!