『何者』の、続編というかスピンアウトというか・・・な本作、『何様』。
私、朝井リョウさんの作品読むと大抵、「朝井さん酷い人だよ!!」と唸ったり抉られたりと、大変イタイ思いをすることが多かったのですが、本作は割とライト感覚でした。良くも悪くも。
『何者』の登場人物やその関連人物のエピソードをつづる、短編集。
「それでは二人組を作ってください」は、ちょっと、うわぁ・・・ってなりました。いやいや、友達のルームシェア了承をもらってからだよねぇ、インテリア購入はさ・・・って。でも、わかるんですよ…理香が焦る気持ち。私も昔から2人組を作って、と言われるとアワアワしてるうちにあぶれちゃってましたから。理香みたいに暴走せずに済んだのは、ちょっとだけ客観視できてただけだよな…と(^_^;)。
「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」には、2方向から抉られましたね~。
いや、抉られたというか、ちょっと違うんじゃないの?と苦々しい思いをしたというか。主人公・正美の同僚である東郷晴香が「昔ヤンチャしてたから、今がある」的にもてはやされるの、なんだかなぁと思うんですよねぇ。正美が一生懸命頑張ってきたことを「つまらない生徒会長のお説教」ととらえられて、真面目ってダメなのかよ!!とちょっとむかっ腹が立ちました。
もう一つは、まあ・・・バカ真面目に優等生やってきた正美が「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」と田名部氏と関係を持つに至るというラスト。私も「むしゃくしゃしてたから」という理由で何かをやらかせない人なのですが、もしかしたら自分もふっとそういう八つ当たり的行動に出ちゃうんじゃないか…と、不安になりました。いや、男性と関係を持つとかそういう方向性は面倒いし、犯罪はやらないと思いますが、自覚をもって人を傷つけるようなことはしたくないなぁ…でも、自分を抑圧しすぎたら、もしかして?という、不安。
あ、やっぱり朝井さん酷い人だ(^^;)。
「何様」は、『何者』とは逆に、就活学生を選ぶ人事の若手の話。ついこの間まで選ばれる方だったのに…自分はそんな権利あるんだろうか、と迷ってる様子はわかるけど、「割り切れ、頑張れワカモノ!」と思ってしまう自分はやっぱりオバハンだなぁと、ちょっと笑ってしまいました。
本作は、『何者』の登場人物たちやその関係者の物語だったんですが、私としては「アンタ何言っちゃってんの?!」な拓人の物語を読みたかったです。
まあ『何者』自体、拓人の内心ダダ洩れだった気もしますが・・・。
(2017.09.17 読了)
この記事へのコメント
苗坊
うわぁ・・・って思わせる作品ばかりでしたよねぇ。朝井さんひどい!怖い!っていう^^;
「二人組」の話はうわぁ・・・でしたよね。この作品は違うアンソロジーで既読だったのですが、もうホラーでした^^;
「むしゃくしゃしてやった」は正美に感情移入してしまって困りました。何だか凄く分かりますよね…。真面目な人はずっと真面目に頑張ってきているのに。だからと言って投げやりにならないでね…と願うばかりです^^;
水無月・R
前作も本作も、理香の空回りが鼻に付くんだけどわかってしまって、切ないというか息苦しかったです…。
「むしゃくしゃ~」は、とにかく「真面目だったらダメなんですか・・・」と呻きたくなりました。正美があの行動を後悔しないとは思えないし…参るなぁ(^^;)。
latifa
確かに朝井リョウ君って、エグるような内容書く事ありますよねー^^
実際の朝井君の友人や周りの人達は、うかうか出来ないかも(#^.^#) ネタにされちゃいそう。
「それでは二人組を作ってください」
この言葉はねえ、ほんと、もう・・・
学校で、組になる時は、強制的にあいうえお順とか、隣の席の人と、とか先生が指示してもらいたいわー。
水無月・R
ええ、エグられました(笑)。
「二人組~」はホント、切ない一言ですよね~(^^;)。
なんでみんなあんなにするっと、2人組になれてしまうのか、不思議でした。
yori
何者のスピンオフと捉えていたので、何者の登場人物たちが登場するのかと思っていたら違いましたね 苦笑
「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」は痛かった。さすが浅井さんと思いました。
個人的には「水曜日の南階段はきれい」が最高に良かったです。この作品、男性の方が沁みるかもですね (^^♪
水無月・R
そう、『何者』のスピンオフだと思ってたので、私も???ってなりました。
とにかく、それぞれの短編で別方向から「浅井さんって酷い人だ!(笑)」と思ってしまうという、すごい作品だったと思います(笑)。