『5人のジュンコ』/真梨幸子 〇

5人のジュンコ.png
う~わ~。ひっでぇ・・・。
イヤミスだっていう前情報があったにもかかわらず、ここまでとは思わず、ひたすら「うわぁ・・・」「ひっでぇ・・・」「気ィ悪いわ~」と呟きながら読む羽目になってしまいました。
だけど、あまりに酷いので、どうなっちゃうのか気になって気になって、かなりグイグイ読まされました。
真梨幸子さん、いろんな意味でヒドイですよ・・・!
とある連続不審死の容疑者から始まる『5人のジュンコ』、業の深い5人の「ジュンコ」たちの物語。

真梨さんと言えばイヤミス、って私の中で公式が出来ちゃってるんですが、よく考えたら、まだ『四〇一二号室』しか読んだことなかったんですよね。あの作品の印象が凄すぎだった(笑)。
自分で「イヤミスだって知ってた」と書きましたが、あんまりミステリーだと感じなかったですね。
ま、最後の最後に、とんでもない展開が待ってたので、その辺がミステリーだったのかもしれないんですけど。
ただまあ、とにかく言えることは、「イヤミス」ではないにしろ「厭な話」だったということですね。でも、読むのやめたくなるのではなく、とにかく「この厭な話の決着って、どうなるのよ?!」と読み続け、読み終えて「うわぁ・・・やっぱり、ひでぇ・・・」となるわけです。

あらすじを書くと、なんだかもうホントに厭な気分になるので、やめておきます(笑)。
とりあえず、5人のジュンコの人物像だけ。
佐竹純子:連続不審死事件の容疑者。
篠田淳子:佐竹の中学時代の親友といわれる女
田辺絢子:佐竹の事件を追うノンフィクション作家のアシスタント
守川諄子:佐竹の被害者と思われる男性の母。
福留順子:社宅のヒエラルキーに抑圧されている主婦

守川諄子についてはちょっと違うんだけど(なんせもうだいぶ前に死んでいる)、どのジュンコもねじ曲がったいやらしさがあからさますぎて、ホントに気分が悪い。
だけど、そのいやらしさは特殊なものじゃなくて、振り幅や方向性は違うものの、この世の中にもありふれてるし、たぶん私の中にも存在している。
そこが、真梨さんの怖いところ。「現実だって、ここまで酷くないけど、わかるでしょ?」って囁きかけられて、毒を流し込まれてる気がして来るんですよ。

ラストにかけて、2つのどんでん返しがあります。田辺絢子の起こした事件の真相、「諄子」の章の殺人事件の真相。
もう・・何を信じたらいいのかわかりませんね!!

ホントに、業が深い、としか言いようがない。特に田辺絢子の件は、ノンフィクション作家・久保田芽衣に対する思い入れの激しさが途轍もなくて、「自己実現できない分を芽衣に託しすぎ」と、ドン引きしました。そこまでやるか?
そして、それを見抜いた人がいたのにも、驚き。

どのジュンコが一番悪いとか、誰が発端で悪意の大元だとか、そういう単純な話じゃない。
ジュンコたちも悪いし、その周りの人間達も悪い、悪意の奔流といった感じ。
でも、誰もが持っている、嫉妬や恨み、人より優位に立ちたいと思う心、心の中に溜まっている澱。
〈人は人、自分は自分〉という居直りが大事だと、本当に身に染みる読書となりました(笑)。

この作品、ドラマ化されてるんですよね。
見てなかったので、キャストが気になって関連ページに行ってみたら、びっくり。
デブでブスのはずの佐竹純子が、小池栄子さん。まあ、ややぽっちゃりイメージにはなるけど(ナイスバディなだけともいう)。でも、なんか業が深い感じは、すごく伝わるわ~。
苦労人で入れ込みが激しい田辺絢子の松雪泰子さんと、平凡で社宅内の序列に躍起になってる福留順子の西田尚美さんは、すごいイメージぴったり。キャスティングした人、すごいわ(笑)。

(2017.10.30 読了)

5人のジュンコ [ 真梨幸子 ]
楽天ブックス
真梨幸子 徳間書店ゴニン ノ ジュンコ マリ,ユキコ 発行年月:2014年12月10日 予約締切日:


楽天市場 by 5人のジュンコ [ 真梨幸子 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック