隣国に侵攻され、囚われた国王とその娘の王女・レイア。レイアは侵攻からの逃亡の際に事故に逢い、失明している。
目の見えないレイアを慈しみ、育ててゆく国王。
しかしレイアは、ある日突然、全く違う事実に直面することになってしまう。
『この闇と光』という不穏なタイトルや裏表紙のあらすじ紹介文から想像していた展開と全く違う、驚くべき物語へと鮮やかに変化しました。
服部まゆみさん、もうすでにお亡くなりになってる作家さんなんですね。残念です。
いやぁ、最初の方は「中世ヨーロッパの小国の話か、ファンタジーなんだろう」と勝手に思ってたんだけど、妙に現代的な要素が紛れ込んできて、あれあれ?どういうことなんだろう、どうしてその技術がある世界で、こんな感じになってるの?という疑問がふつふつとわきながらも、それでも読み進めていくと、突然大きなどんでん返しが。
そこから、怒涛の衝撃の事実が押し寄せてきて、レイアであった者は新しく目の前に開けた世界で生きていくことになる。直面する事実と自分の認識の狭間で、振りかざさざるを得なかった自尊心、諦観。
そして、レイアであった者は真相だと本人が思うところに到達し、とある者のもとを訪れる。
さて。
レイアだった者の到達した真相は、真実なのだろうか。
さまざまに符合するその別荘地の状態。だが、訪れた先の住人は、一切それを認めない。
レイアだった者が書いた文章は、どこまで真実を暴いたのだろうか。
途中から、なんだかおかしいなと思いつつも読み進め、最初のどんでん返しに驚愕しつつもそれを受け入れ、レイアだった者の心情や周りの状況を読みながら、どうなるんだろうと思ったら、新たな文章が現れ。
その文章を書くに至ったレイアだった者の執念が凄い。色々なことを調べ上げ、組み立て、そして物語として文章化する。
それを「創作だ」として取り合わない相手は、どこまで正しいかを知っているが、何も語らない。
ただ、「今度、中庭でピクニックをしましょう」という。
レイアとその父王が好んだ、中庭のピクニックを。
物語として、こういう終わり方もありかなとは思います。
ただ、私はどうにも中途半端で腑に落ちないんですよねぇ・・・。
動機は、そんな風に曖昧だったのか。そんな強い思いもなく、その後9年もの間、盲目の子供を慈しみ、教養を与え、世話をしてこれるだろうか。
3歳の目の見えない子どもを、子供を育てたこともないものが、養育できるものなのか。
その辺のリアリティがちょっと…ね。
とはいえ、そこまで全部書いてしまったら、別の話になってしまうのかしら・・・。
不思議な読み心地で、読了しました。
どこまでも追及したいような、あるがままを受け入れて、足りない情報でもそのまま流してしまいそうな。
(2018.02.17 読了)
※最近、トラックバックが出来ないブログサイトが増えてきました(T_T)。
ブロガーさんに直接ご許可頂いたレビューのURLを載せることにしました♪
☆おすすめです!☆
この記事へのコメント
latifa
この作家さん、もうお亡くなりになられていたんですか・・?それは知らなかった・・・。
私もこれ、前に読んだ事があります。
もやもやするの、解ります。
すっかり騙されて、そうだったのかーっていう驚きはあるのだけれど、ちょっと、ん??ってところもある作品でした。
水無月・R
私が読んだのは文庫版だったのですが、その文庫版の解説で皆川博子さんが「51歳の若さで亡くなった」と書かれてて、初めて知りました。
レイアだった者の書いた「動機」では、あまりにも弱すぎると思うし、本当の動機を知りたい…と思ってしまいますよね~。でも、彼は絶対に認めないだろうし…モヤモヤしました。
latifa
なんだか大した記事じゃないのに、恐縮しちゃうなー(^-^;
それで、ちょっと自分の記事のアドレスを貼って、投稿出来るかな?って、上でやってみました。
これで良かったら、今度から、こういう風にアドレスのっけて、コメント投稿しようかな?^^と、思うのですが、いかがでしょうか。
重複しちゃったやつは、片方、削除しちゃってくださいまし。お手数おかけしてしまい、すいません!
水無月・R
トラックバックの作業と比べてそんな手間でもないですし、大丈夫ですよ♪
文章や引用URLはコピペですし(^_-)-☆
本文の方が、私のブログを読んでくださる方の目に留まりやすいかな・・・と思いますし。
お嫌じゃなかったら、本文追加でお願いします♪
latifa
お忙しい中、かえって、何度も返信するようになってしまって、すいません。
了解です♪色々ありがとうございます(^^)
今日あたりから、少し暖かくなるそうで、ちょっと楽しみですね!
春の嵐で交通機関の遅れとかは困りますが・・。
それじゃ、また!
水無月・R
暖かくなって、少しは楽になりますね~(´▽`*)。もう冷え込まないで欲しい(笑)。
今後ともよろしくお願いします♪