この本の出版をもって、もう関西については書かない、と中島らもさんは本文中で宣言していました。
関西の人が関西を語る、というのは〈関西礼賛〉だったり〈関西卑下〉だったりが多く、ニュートラルなものが少ないと私は感じているのですが、本作『西方冗土』は・・・というと、判断が難しかったですね。
・・・ていうかですね、この本最初の出版が1991年、文庫化が1994年て、さすがに情報が古い(笑)。
何故これが、私の〈読みたい本リスト〉に入ったのか・・・??
実は水無月・R、立派な(?)エセ関西人であります。
生まれも育ちも他地方ではありますが、関西に住んで10年ほど(人生の中で2番目に長いし、何事も無ければ一番長く住むことになる)。
インチキ関西弁を操るものの、やはり関西人の話のうまさには及びもつかないという、残念なエセ関西人(笑)。
ネイティブ関西人て、ホントにすごいですよ。話は面白く、ちゃんとオチがあり、テンポがいい。その境地に至るには、どうしたらいいんでしょうねぇ・・・。
と、まあ、今一つ関西人になり切れない私、こういう本に弱いのですよ。
なにかで紹介されてると、つい読んじゃう。そして後悔する(笑)。
関西をたった1冊で理解しようなんぞ、おこがましい限りだったのでした・・・。
本作で中島らもさんが書いてるのは、1990年代の関西(大阪)。
当時の大阪は、だいぶディープだったようです。今もその片鱗は残りつつも、だいぶ洗練されたのではないでしょうか。
オシャレなお店が入っている百貨店やショッピングビルも、ここ数年でだいぶ増えましたしねぇ。
とはいえ今でも、変なところでそのカオスっぷりが顔をのぞかせたりして、ギョッとすることもありますが。
〈大阪は大きくなり過ぎた〉〈大阪は東京を意識しすぎた〉という説が出てきます。
まあ、そうですねぇ。特に、意識しすぎ、はホントにそうだと思います。そんなに意地を張らなくてもいいのにと思います(笑)。
大きくなり過ぎたも、かつての大阪を知ってるわけではないのですが、あちこちに特徴的な繁華街とタワービルの中の商業施設があり、オフィス街もあちこちにあり、関西のあちこちから「大阪で集まろうか」なんていうと、どこへ行くべきかワタワタしてしまう。
そんなとっ散らかり感も、大阪らしいっちゃ大阪らしいんですけどね。
つい、話が作品から外れてしまいますね(笑)。
というのも、冒頭にも書きましたが、いかんせん情報が古い。
本文中に出てくる珍妙な店はたぶん、現在では「風俗営業法」とかに引っかかるでしょうねぇ・・・。
本作を読んで、関西を学べたかというと、たぶん学べてません(笑)。
(2020.01.16 読了)
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