『コロナ黙示録』/海堂尊 ◎

コロナ黙示録.png
え?これ、大丈夫なの?
フィクションだけど、現在進行形のコロナ(COVID-19)で小説?現政権批判?
海堂尊さん『コロナ黙示録』、あまりにリアルタイム過ぎて、私が動揺っておかしいけど、めっちゃ動揺しながら読んでたですよ。
長く描かれてきた〈桜宮サーガ〉の中に、こういうリアルの事態を取り入れても不自然さも矛盾もないのが、スゴイですよね。
現政権批判やら現在進行形の感染症を描いてるので、のちのち「小説の通りではなかったが…」ってことになるのかもしれないけど、なんていうか、「今の日本の医療と政治と国民」の問題点をきっちりクローズアップしてくれた作品でしたね~。

しかし、いつも思うんですが、こんなにフラグや伏線だらけの人生を送ってる海堂作品の登場人物たちって、すんごいバイタリティですよね。
私だったら絶対、早死にするだろうなぁ(笑)。ガッツリ〈その他大勢体質〉なので・・・。
そんなバイタリティ満載・轟き渡る二つ名持ち・頭脳弁舌冴え渡りすぎて凡人置いてけぼりな登場人物たちとガッツリ相対する〈新型コロナウィルス感染症〉。サーガの重要メンバー総動員の物語です。
『ナニワ・モンスター』よりも現実にオーバーラップしてて、小説だとはわかってても首相の「お友だち優遇」だの官僚亡国だの、「今の日本って、こんなにダメダメなの・・・?!」と切なくなりましたね。
そして、コロナには特効薬もないしワクチン開発も難しい(同じ系統のSARSから20年たっても、有効なものがないだなんて・・・!)という事実を突きつけられ、ああ本当に今までとは色々なことが変わって行ってしまうんだなぁと、辛い気持ちにもなってしまいました。

しかし・・・。
●田口センセ、ただのアンラッキー中年だと思ってたら、〈イケメン枠〉扱いなんだ!とか、
●サーガきっての哀愁キャラ・世良先生が結婚して子供もいる(え?誰と結婚したの!!あの人?!)とか、
●彦根と白鳥が、がっちりタッグ組んでる!!マジか!とか、
●梁山泊って・・・資金源は?あんな有能なAI使ってるってことは持ち出しじゃないよね?とか、
●あ、キャメル騒ぎの時の貴国先生、お久しぶりで~す!(イエローモヒカンくんはどうしてるかな)とか、
●安保宰三ってネーミングどうよ?中身ひどすぎなのに、もしかしたら現実もそんなものかと思えるほどの出来のリアリティだわ、とか
●風刺が効きすぎてる?いやいや、現政権の無能と〈お友だち政治&忖度〉って、実際こんな感じじゃね?とか、
はぁ・・・深掘りしたいことが山ほどありすぎて、逆にもう何も言えなくなってしまいました・・・。
(でもやっぱり書き留めておきたいことがあるので、いくつかは後述します)

一体、フィクションなの?ノンフィクションなの?!!ドキドキしながら読んでました。
ただし、医療のムズカシイ話になると眠くなったのですが(笑)。

しかし、ホント田口センセのイケメン枠には、驚きました(^^;)。
いやあ、田口センセの容貌は〈好青年がそのまま年を取った優しげなおじさん〉だと思ってたので。でも、作中の誰も異議を唱えないんだから、田口センセはイケメンなんですねぇ。私の中での、田口センセの姿はちゃんとアップデートさせておきますね!
そんな田口センセの白鳥への逆襲(ECMO調達)、素晴らしかったですね♪

大曽根(遅太郎)、死なないで!!って祈ってたので、ECMO離脱できた時にはちょっとウルっと来てしまいましたね。
最初はダメダメ新人医師だと思ってたけど、彼のバックグラウンドや成長を読むにつれ、いいキャラに育ちそうだなぁという期待が湧いてきました。今後、出てくるかな?出てきて欲しいなぁ。

そして、世良の奥さんって・・・やっぱり花房かなぁ?!
速水、相変わらずモテモテなのに、いつも最終局面で逃げられるな!!
たぶん、保坂看護師も少しいい感じっぽかったのに、大曽根に持ってかれたと思います(笑)。

この作品読んでる最中に「安倍首相が辞意」なんてニュースが流れ、リアルはリアルでどんどん進んでるんですよね。
コロナも日本の政治も、同じままではいられない。
「新しい生活様式」、コロナ対策、日々新しい情報が更新され、原則に縛られ過ぎることなくその時々でよいものを取り入れていくしかない。
現在進行形の事態だから。評価はのちのちされること。
〈コロナの今(2020年夏前まで)〉を物語化してくれた海堂さん、ありがとうございました。

(2020.09.02 読了)

ブロガーさんにご許可頂いたレビューをご紹介します♪
☆おすすめです!☆
海堂尊ファンさんには、ホントお世話になってます。レビュー、人物相関、考察など、素晴らしい網羅ぶりです!是非!

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