『続 わけあって絶滅しました。』/丸山貴史(監修:今泉忠明) ○

昨年『わけあって絶滅しました。』を読み、あまりにトホホな絶滅理由に膝から崩れ落ちたり、「人間のせいで、申し訳ない・・」という気持ちになったりしたのですが、本作『続 わけあって絶滅しました。』 でも、なんというかもうホント、思うところ多々ありすぎで情報量の多い読書となりました。
なんとまあ地球という星には、幾種類もの生命が生まれ、進化し、絶滅し、生き伸びてきたことかと・・・感慨深くなりますなぁ。
今回も、丸山貴史さんの軽快な文章で、スイスイと楽しく読めました!

前作同様、週刊誌の見出しみたいな絶滅理由がコラムタイトルとなり、そこからその生き物の「こうしてたら絶滅しちゃったんだよねぇ」という語りが入り、最後に「こうすりゃよかった」反省点を一言述べるという構成。
それぞれの生き物の語り口が、軽やかで笑える。
〈巨大化しすぎ〉にも、「食べるものがなくなった」「体が重くて逃げられなかった」「方向性を見失った」など、理由は多々。
巨大化して最強生物になったとしても、過酷な環境変化(自分の身体・獲物・気候変動・外敵の登場など)に対応できなければ滅びちゃうわけで、なんとも切ないですなぁ。

そして、なんといってもやっぱり〈人間の登場〉は、ディープインパクトだったのよねぇ。
他の生物を知能で圧倒し、道具を使い集団で策謀を巡らせながら狩猟をする。己の欲に忠実に、生態系バランスなどガン無視で狩り尽くす。または、どんどん自然環境を自分たちに有利に替えてしまって、そこで生物が生きられなくなる。
・・・うん、申し訳ないと思うよ。とはいえ、黎明期のニンゲンは生きてくのに必死だったし、他生物を思いやるなんて考えもつかなかったし、まさかこんなにあっという間に絶滅しちゃうなんて、思いもよらなかったと思うんですよ。
願わくば、今後はできるだけ生物多様性を失わない生命活動を行っていけるといいなぁとは思います、ハイ。

「絶滅しました」な章で一番印象に残ったのは、〈防御を固めすぎて絶滅〉シちゃったメイオラニアさんですかね。
硬い甲羅にトゲトゲしっぽ、アタマには角まで生やしちゃって、パッと見には防御力MAXかもしれないけど、そのアタマは甲羅にしまえない、甲羅が重くて逃げられないという弱点が・・・。頑張りすぎて、逆にそれがダメだったって感じで、切ないねぇ。何事もバランスが大事ってことですね。とはいえ、バランスに徹すると平々凡々で、それはそれで生き抜くのが大変なんだろうなぁ。とは思います(笑)。

人間に絶滅させられた生き物たち、どれもまあ非常に申し訳なかったんですが、とりわけ〈火事で絶滅〉したヒースヘンさんと〈地球温暖化で絶滅〉したブランブルケイメロミスさんには、ホントに悪かったなぁと思っておりますよ。ガッツリ、人間のせいですもんねぇ。イワナに駆逐されちゃったチチカカオレスティアさんも、「すまなかった・・・」と謝りたい。私に謝られても、復活できないから、どうしょうもないんですけど・・・。

「絶滅しそうで、してない」生き物、「わけあって繁栄しました」な生き物たちには、今後も頑張って欲しい・・・と言いたいところですが、〈蚊〉はちょっとな~。困った病気を拡大させてしまったりするからなぁ。羽音も、うっとおしいしな~。刺されて痒いのも嫌だし、この歳(オーバー50)にもなると、掻き壊した跡がなかなか治らないのよ!!まあ、もしかすると掻き壊すぐらいのレベルの虫さされは蚊のせいじゃないかもしれないけど・・・。

「シアノバクテリア」と「ミトコンドリア」が繁栄してくれたおかげで、多様な生物が生まれ、繁栄してきたという最後の2コラム、圧巻でしたなぁ(笑)。この連中がいなかったら、人間どころか〈地球上に生物が繁栄〉することもなかったでしょう。・・・進化って素晴らしい。

とまあ、様々な生物の絶滅や繁栄、しぶとい生き残りを読んできました。今作も、面白かったです。
基本物語読みのワタクシですが、たまにはこういう生物学?地球環境学?いやいや愛と笑いとツッコミ処が満載な記録?も良いものですね。
続巻も、いずれ読みたいと思っております。

(2021.12.09 読了)

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