
東山彰良さん、だいぶ前に『ラブコメの法則』を読んで「ラブコメっていうか、ヘタレな男性が美人親族に振り回される話だよねぇ(笑)」って苦笑してたのを思い出すのですが、今作『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた』 も、なんともトホホな感じです。
ていうか、タイトルがまんまネタバレってどうなの?それでいいの?(笑)
有象無象というネーミングどおりの、どこにでもいる平凡で女子にモテたくてちょっと情けない男子2人が、『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた』という、ホントにそのまんまな物語(笑)。
正確には、新歓ムード満載の4月から冬休み明けまでの期間、とにかくまあダブル主人公の有象くんと無象くんが、「女の子にモテたい、あわよくばムフフないい思いをしたい」とひたすらに思い続けてるんだけど。
彼らはネーミングの通り有象無象(種々雑多なくだらない人や物)な〈モブ〉なので、女子達は彼らが目に入らないのである。
たまさか、ちょっとだけ彼らに反応したとして、それは彼らが彼女らの踏切板として使える材料である時だけで、パ~ンと踏み切られたあとはあっさり捨て置かれてしまうのである。
・・・うわぁ、切な~い。女子って、怖~い。でも有象くんも無象くんも、その立場から抜け出すための行動を取れないんだよね、意気地がなくて。ということで、致し方ないのである。
そんな残念すぎる彼らが出会うのは、ハンサムくんや温厚教授、ビッチちゃんに抜け目なっちゃんなど、名は体を表すネーミングで、潔いまでにキャラ立ちがはっきりしてる人たち。
概ね、男子は情けなく、女子は強烈な個性を持って男性陣を振り回す。
でもね、そんな女子も、ただの嫌味なタカビー女(←この言葉、私世代には通じると思うんだけど、若い方は知らないかしら・・・)ではなく、自分に正直すぎるだけで実は情が深くて、女友達や家来だと思ってる男子のためには一肌脱いでビシッと事態を収めちゃったりするのですよ。
なんか、この物語の女子たちって、嫌いになれないわ~。・・・お友達には、なれないと思うけど(笑)。
恋心と邪心を行ったり来たりし、行動に出られず煩悶し、間違った行動で女子に鼻っ面を打ちのめされ、トホホ男子で徒党を組んでは打ちひしがれ・・・。
明らかにフィクションなんだけど、絶対〈あるある〉な残念男子の大学生活。
ここまで男子のことばっかり考えてたわけじゃなかったけど、30年前の私の大学生活だって、かなりトホホでしたもんね~。
多分、この物語を読んで〈身につまされるわ・・・〉って思った人は大勢いると思います。
残念レベルに愛おしい彼らのこれからのキャンパスライフ、きっとずっと有象無象なんだろうなぁ(笑)。
うん、頑張れ。面白かったよ。
(2021.12.12 読了)
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