『世界はハッピーエンドでできている(6)』/下西屋 ◎(コミックス)

せかハピ6.jpg
〈世界はハッピーエンドでできている〉シリーズの最終巻。
実を言えば、この『世界はハッピーエンドでできている(6)』 を入手してからすでに2年以上経っています。このシリーズが好きで好きでたまらなくて、終わるのがもったいなくて(アプリ連載中にすでに読了してるにも関わらず・・・)、ずっと手を付けられずにいました。
でも、年度が変わるという節目に、「やっぱり読もう!読んで、良いと感じたら何度だって読み返せばいいんだもの!そのための紙媒体じゃないの!」と思い直して、読むことにしました。
正直、読み終えてしまったことは、ちょっと寂しいです。でも、読み終えたことは、一切後悔してません。やっぱり読めてよかった、下西屋さんありがとうございます。素晴らしい作品を読めて、私は本当に幸せです!!と声を大にして叫びたいです。

このシリーズは、すべての登場人物(動物・モノなど人外も含む)が真摯に生きていくことで自らはもちろん周りの存在も幸せになる物語が丁寧に描かれているのですが、第6巻である本作は、今までの物語の伏線を回収し一つ世界のの歴史として齟齬なくまとめ上げられていくという、下西屋さんの卓越した構成力が輝く、素晴らしい作品でした!!
[!]マークをいくつ重ねても、この感激は表現できないです・・・ホントに。

どの物語も、本当に大好きなんです。一つ一つ取り上げて、ウェブリブログの1記事最大文字制限数を超えるぐらい、熱く語りたい(笑)。
まあ、それに需要がないことは重々承知なので、やりませんが(いや、短く書いても需要はないと思うよ・・・)。

一連の歴史の中心にあったのが〈執事ロボットと天才少女〉。あの少女が望んだ〈誰も不幸にならない物語〉が、少女の望みを叶えるためにずっとずっと世界を守り続けた執事ロボットの献身と豊かな愛情が、この物語そのものであったのですよね。
下西屋さんという素晴らしい語り手を得て、この世界は〈誰も不幸にならない〉歴史を繰り広げてきました。
甘ったるく生温い幸せではなく、それぞれがその立場の中で真摯に生き歯を食いしばった上での幸せを掴む、ほろ苦さも含んだ幸せ。
そんな優しくも力強い世界、本当に本当に、勇気をもらったし慰められたし、自分ももうちょっと真摯に生きよう、という気持ちになりました。

本作で取り上げられているのは、「幸福な王子」「北風と太陽」「フランダースの犬」「注文の多い料理店」「猿蟹合戦」「みにくいアヒルの子」「座敷童」「ごんぎつね」「魔法使いの弟子」
どれが一番かなんて、ホントに選べない。この巻で終わりになってしまい、そして今までの物語たちが一つの歴史としてまとめ上げられていく事がわかっているから、どんな些細なエピソードにも、涙ぐんでしまう私がいました。
あれ?私、なんでこんなに涙腺弱い?と訝しんでしまいましたよ。

・・・ああ、いかんいかん!感想を書こうと思って本を手にとったら、熟読を始めちゃったじゃないですか!もう、沼ですな(笑)。
どの物語も、学ぶところがたくさんあるし、ニヤニヤ笑えるネタは豊富にあるし、胸が苦しくなるような辛い展開から心が熱くなる様なドラマチックさもあるし、ちょいちょい別の話とつながってくるし、情報量がハンパないというか、本当に語彙力がなくなる・・・(笑)。
ダメだ、ホントに感想全然書けないや。あはは・・・。

ということで、内容には殆ど触れずに、巻末の「年代記および物語一覧」について、ちょっとだけ。
始まりが〈2017年〉なのですよ。当時の物語は「不思議の国のアリス」「アリとキリギリス」。確かにこれらの物語には、人間しか出てきませんね。
その後〈2028年〉から、家庭用ロボットがヒット商品になって・・・という、まだ私達読者には訪れていない時間が描かれ始める。
ここのね、〈家庭用コミュニケーションロボットのヒット〉というのが、私の大好きなテーマ〈ひとと機械の狭間で揺れ動くもの〉だったと気が付いて、雷に打たれたような衝撃を受けました。
そうか、ここから広がっていく物語たちを私が好きでたまらないのは、この物語の根底にこのテーマがあったからなんだ!って。
正確には〈人と機械の狭間〉だけではなく、〈人と機械と人外と・・・様々な存在〉という範囲はもっと広がるんですが、もう全然それでOK!です。
年代記を追っていくと、最後は〈3017年〉。千年に渡る、壮大な世界の歴史を、こんな優しくて楽しくて心温まる物語で読めたことを、私は本当に感謝しています。

(2022.03.15 読了)

水無月・Rの〈『世界はハッピーエンドでできている』シリーズ〉記事

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック