伊坂幸太郎さん、デビュー20周年だったんですねぇ、この作品が出た2020年。
『オーデュボンの祈り』を初めて読んだ時は、あの怒涛の伏線回収に度肝を抜かれましたね。もう16年も前のことです。
あれから、ゆっくりですがずっと読み続けてきました。
本作『逆ソクラテス』は〈先入観をひっくり返す〉をテーマにした短編集。
先入観を打ち破る子供たちの物語が、とても爽快でした。
微妙な繋がりがありつつも、独立したそれぞれの物語は、どれもが〈思い込み〉や〈大人の意識操作〉などを、素直な気持ちで打ち破ろうと活躍する子供たち(一部子供~大人の過程も含まれるけど)の真っ直ぐさが、気持ちよかったです。
まあ、子供なだけにちょっと短絡思考で突っ走ってしまって、「大丈夫?」ってドキッとするシーンもありましたが、それでも彼らの頑張りが報われてスッキリ収まる感じは、痛快でしたね。
「逆ワシントン」のラスト、良かったですねぇ。あの物語のあの人、あのあとちゃんと「永遠」を活かすことが出来たんだな、きちんと自分に向き合って、償うものを償って、真摯に生きた結果、あの瞬間を見ることが出来たっていうことは、きっとこれからの彼の心の中の光になると思うんですよね。
~~もしアンスポーツマンライクファウルだったら、相手はフリースローが与えられた上で、さらにリスタートの権利がもらえる。~~(本文より引用)
私、バスケットだけじゃなくスポーツ全般苦手だし全然ルールも動きもわからないんですが、「アンスポーツマンライク」の彼らの流れるような動き、目に見えるような気がしました。5人がお互いの特性を充分に理解し合い、信頼しあってのあの連携プレーは、すごくなめらかで力強かったんだろうなって、そう思えました。
かっこいいなぁ。
5編全部読み終えて、ちょっと反省しました。
多分、私の中に根付いてしまってる〈先入観〉って、他人を決めつけてるだけじゃなく、自分をも縛っちゃってるんだろうなぁと。
もっとフラットに、広い視野を持って、物事を見ていきたいなと思いました。
あと、まだまだ私も〈永遠〉を持ってるんだから、諦めたりヤケになったりしちゃだめだな~って。ふふふ。
(2022.05.17 読了)
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☆おすすめです!☆
この記事へのコメント
苗坊
水無月・Rさんがおっしゃるように主人公が子供だからハラハラドキドキすることも多かったですし、いじめがリアルさを感じて読んでいて最初はちょっと辛いなと思うことも多かったのですが、逆転劇なので最後はスカッとすることが多くて読んでいて楽しかったです。
大人になってくると先入観が固定されるというか分かったような気になっちゃうことが多くなる気がするので、まさに打ち破ってくれた作品でしたし、先入観を持たずに生きていきたいなと思いました^^
水無月・R
大人になって「わかったような気」担ってしまってることって、たくさんあるなぁと、思いました。柔軟に物事を見て、先入観を持たずに生きていきたいものですね!
伊坂さん、ありがとう!って思いました。
latifa
今更ですが、これを読みました。
凄く良かったです。
伊坂さん、ちょっと足が遠のいていましたが、やっぱり伊坂さんの小説良いなーって思わせてもらいました。
読み終わった後、また最初から読み直しました。
伏線回収、大変でしたが楽しかったです^^
水無月・R
伊坂さんの作品は伏線がすごくて、毎回「あれも伏線だったのか!」と唸らされるのですが、本作も意外なところでつながるのが、とても面白かったですね。
〈先入観〉をひっくり返して、世界を広げていく物語、とても面白かったですね!