夏目漱石没後100年&生誕150年を記念して編纂された、猫好き作家による〈猫アンソロジー〉、『吾輩も猫である』。
どの〈猫〉も、愛らしく懸命に生きている姿が、とてもほほえましかったですねぇ。
どちらかというと猫派なワタクシ、どの物語も「うふふふ・・・」とニヤケ顔で読んでおりましたよ。
「いつか、猫になった日」赤川次郎
何故か猫になった私の死因は心中?
「妾は、猫で御座います」新井素子
天然作家の陽子さんが飼っている猫は、人を守っている。
「ココアとスミレ」石田衣良
猫が集会ですることは。
「吾輩は猫であるけれど」荻原浩
猫の四コマ漫画。猫って自由。
「惻隠」恩田陸
とある機械と語る猫の尻尾の数は?
「飛梅」原田マハ
公家猫の若様、京を下って筑紫に来た経緯。
「猫の神様」村山由佳
主を思う猫、背中を押す。
「彼女との、最初の1年」山内マリコ
芸大生の女の子と暮らし始めた野良猫。
どの猫も、それぞれその猫らしく小生意気ながらも健気に主を思っているのが、本当に微笑ましくて、良かったです。
特に「飛梅」の若様。かなりの苦難の生い立ちから、御所脇の和歌の先生のところで保護され、病がちで弱ってるところを福岡で「猫本専門」のネット本屋を営んでいる店主に引き取られるまでの経緯を描いたお話なんだけど。
弱っている若君を先生を始めとした女性たちが一生懸命に「乳母」として看病し、こんな病弱ではとてもではないけれど福岡まで連れ帰っても・・・と店主に伝えたのに対し、「私は若君を幸せにしたい、すべての猫は幸せになるために生きている」と応えた店主。
それを聞いて、それまでは「もうすぐ死ぬのだ、母上に会うこともなく」と絶望していた若君が、一瞬にして生きる気力を得て、懸命に一緒に連れて行ってくれと鳴く・・・・。
なんだかジーンとしてしまいましたねぇ。
そんな若様の名前は「太宰権師飛梅太」。うふふふ・・・なんて仰々しいお名前。通称は、若。可愛い・・・可愛いよ、若。
〈猫専門書店・我輩堂〉店長猫の親父さん、兄猫ちーちー、姉猫チロ、そして丁稚見習いの若、そして店主。ずっと仲良く、微笑ましく、暮らしていってほしいなぁ・・・と、ほのぼのとしました。
(2022.07.18 読了)
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