『最高のオバハン ~中島ハルコの恋愛相談室~』/林真理子 ◯

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フードライターの菊池いづみは、ヤケを起こして訪れたパリで、IT社長の中島ハルコと出会う。
押しと我が強く、ズケズケ物を言うハルコの勢いに流されつつ彼女に付き合ううちに、いづみの悩みの解消法を提示され、実行することに。
まさにタイトル通り『最高のオバハン ~中島ハルコの恋愛相談室~』ですよ(笑)。
まあ、ハルコが〈最高〉かどうかは、賛否分かれるところではあると思いますが。
調子よく、グイグイ読めました♪
林真理子さんの作品は沢山ある中、そんなに読めてないんですが、本作は気軽に読めて楽しかったです。

ただね~。ハルコが〈最高かどうか〉は、私的には微妙なんですよ。
ハルコは52歳。同年代です。まあこの物語が単行本として世に出たのが2015年、今から7年前・・・とすると私より◯歳上で・・・あ~、バブル期に20代半ばを過ごした人かナルホドな~、あの時期を過ごした上でガッツがあって、才気と愛嬌にも恵まれた(もちろん本人の努力も大きい)人なら、こういう人物像もアリかもしれないですね。
地味学生のうちにバブル崩壊、その後の就職、特に才のないまま主婦になっちゃった私とは、生きてきた世界が違いすぎて、ちょっと引いちゃうというか。ハルコからしてみたら、それこそ「そういうところが駄目なのよ!甘ったれてんじゃないわよ!」なんでしょうけどね(笑)。
すみません、バイタリティ不足ですわ~、私。もうちょっと精進・・・できるかな?う~ん・・・頑張ります(^_^;)。

自慢話が大好きで、「知らない」を言いたくなくて口から出任せでハッタリをかましてるうちに、なんだかそれっぽく聞こえてしまう説得力を持っているハルコ。2度の離婚、起業の苦労、女性として舐められないように且つうまく人間関係の波に乗り・・・本人の素質と努力の練り上がり具合が、彼女を構成してるわけですよ。
そしてその勢いに押されているように見えつつ、ちゃっかり〈フードライター仕事〉に結びつくような人脈を紹介してもらったり、めったに食べられない高級料理を食べさせてもらったり、時折自分の意見を言ってバッサリ斬られたり、といづみの方も案外タフですねぇ。
そのタフさというか、ハルコの物言いに物怖じせず付いて来るだけの自我をはっきり持ってるところが、気に入られてるんでしょうね。

このコンビが行く先々で、様々な人たちの様々な悩み(恋愛だけにとどまらない)を聞き、ハルコがガンガン自説をぶん回して悩み解決に放り込むという、なんとも力技的な展開なんだけど、実際そう簡単に行くかな?と思ってしまったりもしますね(笑)。
悩みを相談する人たちもスッキリしてるかというと微妙で、横で聞いてたり合いの手やツッコミ(内心)を入れてるいづみの方も「それってどうなのよ」と思ってたりして、「最高だ!!」とは叫べないんですよねぇ。
でも、それでいいのかもしれません(笑)。
ハルコがグイグイと持論を展開し、無理矢理感がありつつもなんとなく納得できてしまい、「ハルコさんだから仕方ないな」と思えてしまうのが、この物語の強さなのかもしれないですねぇ。

不倫をぶった切り(でも自分も不倫している)、甘ったれ主婦に現実を教え、親子関係を説き、とにかくバッサバッサと様々な悩みを「勢い」で片付ける(解決とか解消と言うには、力技が過ぎるのですよ(笑))、そのハイスピードさは感嘆しました。
ただの高飛車オバサンじゃないところが、いいのかもしれません。
お金持ちなのに自腹とそうじゃないところがシビアだったり、割り切り不倫をしてるのにちょっと悩むときもあったり、泥棒に入られて「宝石は女の歴史なのよ!」とキレたり、なんだか親しみが持てます。
友人に欲しいかというと、ちょっとご遠慮申し上げたいですが(笑)。

ちなみに本作、珍しく文庫本で入手(図書館じゃないんですよww)したのですが、2重表紙になってまして、一枚目がフジテレビでドラマ化したときの、大地真央さんと松本まりかさんの表紙。ちょっとオバハンというには、美人過ぎでセレブっぽ過ぎやしませんかね。
で、二枚目が春子の立ち絵のイラスト。これは・・・、オバハンだわ(笑)。濃いピンクのスーツをバチッと着こなした、でも年相応にお肉もついてる貫禄のある〈ザ・女社長!〉って感じ。押しの強うそうな不敵な笑顔が、いいです。友達にはなれない(なってもらえない)だろうけど、このカッコよさは少しだけ憧れる。私とはキャラが違うんで、少しだけですけどね(笑)。

続編『最高のオバハン ~中島ハルコはまだ懲りてない!~』も手に入れてるので、続きが楽しみです。

(2022.09.24 読了)


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