『さんかく』/千早茜 ◯

さんかく.png
・・・この作品、評価が難しいわぁ。
内容は、全然難しくないんですけどね~。
タイトルの『さんかく』の意味は、三角関係を示すのかしら。と言っても、ある部分は恋愛感情というわけではなさそうで、ずるい関係かな。
ちなみに千早茜さんの描く男性って、いつもは〈体温低そうで儚げ〉って感じることが多いんですけど、今回は違うタイプでした。

しかしまあ、なんとも食テロで、「誰か、こういうご飯を私に作ってくれないかなぁ・・・」という悲しい欲望(笑)が揺さぶられました。
高村さんが作る食事が、豪華ではないけど、丁寧なんですよね。
何気なく、色んな種類のおかずを冷蔵庫に用意してあったり、ご飯を土鍋で炊いてたり。
でも、京都の町家でトイレとお風呂は外(中庭?)にあるような家での生活、味わいはあるんだろうけど、私には無理かな(笑)。

フリーで自宅で働いている高村さん、会社員の伊東くん、伊藤くんの恋人で大学院生の華。
高村さんと伊東くんはかつてのアルバイト仲間で、久し振りに偶然再会し、なんとなく飲み仲間となった。
華は大学で動物の体の構造の研究をしており、動物の解剖が入れば研究室から離れられないような生活をしている。

・・・ここまでは、いいのよ。全く問題ないの。
伊東くんは礼儀正しく控えめに高村さんと関わって、変な下心もなさそうで、いいなぁ・・・って思ってたのに。
途中から、なんだか高村さんに甘えだして、高村さんもそれを許容する感じで、なんとなく流れで同居することになってしまう。
え?なんじゃそりゃ。恋愛感情じゃなくて、食べる物の世話をしてくれてあまり干渉してこないから良い、ってこと?君、恋人いるんだよね?確かにあまり会えてなくて、会えてもすぐに研究室に呼ばれて行ってしまう子だとしても、それってアリなわけ?

高村さんの方も、恋愛感情ではなくて〈年下の男に必要とされてるという嬉しさ〉のためにとはいえ、「部屋空いてるよ」なんて誘うか?・・・全然わからん。逆に下心ある方が、まだ理解できる気がするんですけどね。
そして、伊藤くんから「彼女がいて・・・」という話を振られた途端、「関わり合いになりたくない」と宣言する。
まあ、そりゃそうだな。
最終的に、高村さんは町家を出て東京に行くと宣言して、伊藤くんとの関係を断つわけだけど。

なにより、伊藤くんですよ。読んでて、イライラする。高村さんの料理に甘え、同居し、それでいて華と会えば愛情を感じて体の関係を持ち、彼女が大学に呼ばれてしまえば、かすかに嫉妬したりもする。
最後の方で「彼女のこととか、ちゃんとするから」とか言うのは、どういう意味だったのかしら。彼女とは別れて、高村さんとの生活を取りますっていう意味かなと思ったんだけど、そこは高村さんから「東京行く」宣言でなし崩しに。で、高村さんからそう言われて安堵したのが見えたっていう描写があったということは、結局なんだったのかな~と。

そこまで読んで、性格の悪い私は思いました。
「華にもキッパリ振られてしまえ!」と。中途半端に恋愛感情と甘えの両天秤でいい思いをしようとしてた甘ったれ男なんぞ、振られて痛い目にあえばいい!ってね。
なのに、なんでかなし崩しに一時的に音信不通にすらなってたのに、二人は一緒に歩きだしちゃうんですよねぇ。
・・・わからん。わからんよ、50代のオバハンには・・・。

なので、3人の関係に関しては上っ面なところしか読み取れませんでした。無念。そこが難しいところでしたね。
ただ、3人共ひっそりと生きながらも〈自分〉をちゃんと見失わないように、頑張って生きてるんだなぁというのは、感じ取れました。
特に華には、動物の体の構造に関して夢中になってしまうという、あまり一般的な女子らしくはない性質があるけれど、そこは無理して隠さず、学究に勤しんでほしいなと思いました。子供の頃から、人と違うことに傷ついてきた彼女が、研究室ではいきいきと真剣に解剖に取り組んでいる姿は、清々しいと思います。

手作りの食事の描写がたくさん出てくるんですけど、ホントに飯テロですよねぇ。読んでて、お腹が空きましたよ。
あと、結構沢山の種類の料理が、いっぺんに食卓に並ぶんですよね(外食にしろ、家での食事にしろ)。
私、そんなに食べられない・・。私、そんな少食ではないはずなんだけど、あの量は結構多いと思うんですが、どうなんでしょう。
あれだけいろいろな料理を食べられたら、素敵ですよねぇ(誰かが作ってくれるものなら尚いい)。
人参づくしの朝食・パン屋の焼き立てパン・ベトナム料理とか・・・手作り・お持ち帰り・外食、色々な食べ物が出てきて、非常にそそられました。

(2022.11.06 読了)

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